学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

無言館の画集

2008-07-05 20:03:56 | 仕事
昨夜、書棚を眺めていたら「無言館」の画集があったので手にとってみた。長野県上田市にある「無言館」はいわずもがな、戦没画学生が残した絵画、彫刻を展示している美術館である。私は昨年の夏に初めて訪れ、そこでこの画集を購入した。

画集には、戦没画学生たちの写真とプロフィール、そして作品が掲載されている。作品は心なしか、どれも物悲しい。制作年は記されていないため、画学生たちに召集礼状が来てから描かれたものなのか、そうでないのかはよくわからない。けれども、ページをめくるたびに、心は悲しみに暮れる。

絵画は人間の内面を表現したもの、と言い切ってしまっていいのか不安だけれども、こうして彼らの絵を見ていくとそう思わざるえない。内面を表現したものだからこそ、心に酷く響くのかもしれない。

画集を見ると、心が悲しみに暮れる。しかし、しだいに心が悲しみを消化していくと、勇気がわいて奮い立つ。彼らの死と自分の存在、勇気の所在。若くして散った彼らのぶんまで、人生は必死に生きねばならない、と思うのである。

また今年も「無言館」へ行ってみようか。