学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

祖父のむかしばなし

2015-01-08 20:37:49 | その他
私は祖父母から昔の話を聞かせてもらうことがとても好きです。

私が生まれる前、どのように毎日を暮して、家族の間でどんな出来事があったのか、
あるいは住んでいる街がどのように変わってきたのか。

祖父母の口から語られる話は、写真よりもずっと鮮明に私の心にイメージされていきます。

お正月に祖父母から聞いたのは、不思議な狐火の話でした。

私の祖父は山形県の西村山郡の出身で、昭和7年に生まれました。その祖父がまだ
幼かった頃の話です。

祖父の住む家の付近は、今でこそ住宅が道に面して連なっていますが、祖父が子供の
頃は辺りは一面の田んぼでした。夜になると、よく狐火が見えたそうです。

田んぼを遠く眺めると、青白い炎がいくつも点いたり、消えたりする。そんなとき、
祖父は両親から「今日は狐の嫁入りだね」と聞かされたそうです。

そんななか、ときどき狐に化かされる事件も起きました。

ある男性がお酒やお土産ものを持って、村内の集会から帰る途中、狐に持ち物を取られて
しまった話。

同じく男性が雪のなかを狐に歩かされ、朝になると田んぼの真ん中で亡くなっていた話。

狐に化かされて、肥溜めに落ちた話もよく聞かれたそうです。

私は、それらの話を聞きながら、怖くなって子供のように体が震えました。

祖父母が亡くなってしまったら、こうした話を間近で聞く機会は訪れないでしょう。
私はできるだけ、祖父母から聞いた話はメモに取って残し、いつか、私の子供や孫に
祖父母から聞いた話を教えてあげたいと思っています。