学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

久隅守景展をみる

2015-10-23 20:54:27 | 読書感想
サントリー美術館で開催中の「久隅守景 親しきものへのまなざし」展を見てきました。

久隅守景は、慶長年間に生まれて、元禄時代頃に亡くなったといわれる絵師です。

ちょうど乱世の戦国時代が終わりを遂げ、江戸の平和を享受した世代ですね。

久隅守景は狩野派の絵師でしたが、事情があって、のちに距離を置くようになりました。


彼の代表作といえば《納涼図屏風》です。

夕顔棚の下にのんびりと寝そべる男性、若い女性、そして子供を描いた図。

図版では何度も見たことがありますが、本物を見るのは初めてでした。

いつものように日が暮れていくという日常、それが至福の時間であるような気持ちにさせられます。

私たちは人として毎日かけがえのない時間を生きている、そんな気がしました。

また、夕顔(ひょうたん?)から生命のあふれんばかりの鼓動が聞こえてくるようです。


もう1つ、久隅守景の作品で面白いと思ったのは山水画です。

解説によれば、畳の上で描いた作品とのことで、その跡が画面上の和紙にもくっきり残っています。

その跡が、空間のゆらぎ、あるいは水面のゆらぎのように見えてくるのです。


まとまって久隅守景の作品を見る機会は滅多にないこともあり、とても興味深く見ることができました!


●「逆境の絵師 久隅守景 親しきものへのまなざし」11月29日まで開催中。
  ※《納涼図屏風》は11月3日までの展示になるようです。
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