現在、栃木県の那珂川町馬頭広重美術館で開催されている「没後100年記念 小林清親展」を見てきました。
小林清親は幕末に生まれた武士ですが、浮世絵(開化絵)を手掛け、のちに「光線画」と呼ばれる一連の作品を生み出しました。
それは、江戸時代の浮世絵には見ることのできない写実性であって、大気や水面のゆらぎ、洋灯の明かりなどの表現方法に妙があります。
なかでも、私が面白いと思った作品は《梅若神社》。
猛烈な雨が降る神社の前の場面で、雨宿りする人力車の人夫や傘を差した女性が駆け足で往来を行く図です。
雨のけぶる空気感の表現が今までにないもので、同じ雨の場面でも歌川広重の《大はしあたけの夕立》とは全く異なります。
この作品は「光線画」のなかでも異色のようですが、なかなか見ごたえがあるものでした。
展示会場には「光線画」のほかに歴史画、美人画、ポンチ絵なども展示されていましたが、やはり「光線画」の風景が最も好きです。
武蔵百景之図や日本名勝図会などのシリーズを江戸浮世絵風の風景画として手掛けていますが、歌川広重や葛飾北斎のスケールと比べるとなかなか…。
以前何かの本で、小林清親は日本橋付近の火災がショックとなって、以降は傑作には恵まれなかったと書いてあったのを思い出しました。
小林清親の晩年、つまり明治末期頃から創作版画という新しい機運が湧きあがります。
こうした動きを小林清親がどのように思っていたのか、興味のあるところです。
●「没後100年記念 小林清親展 新しい時代の息吹と浮世絵の終焉」11月23日まで開催
小林清親は幕末に生まれた武士ですが、浮世絵(開化絵)を手掛け、のちに「光線画」と呼ばれる一連の作品を生み出しました。
それは、江戸時代の浮世絵には見ることのできない写実性であって、大気や水面のゆらぎ、洋灯の明かりなどの表現方法に妙があります。
なかでも、私が面白いと思った作品は《梅若神社》。
猛烈な雨が降る神社の前の場面で、雨宿りする人力車の人夫や傘を差した女性が駆け足で往来を行く図です。
雨のけぶる空気感の表現が今までにないもので、同じ雨の場面でも歌川広重の《大はしあたけの夕立》とは全く異なります。
この作品は「光線画」のなかでも異色のようですが、なかなか見ごたえがあるものでした。
展示会場には「光線画」のほかに歴史画、美人画、ポンチ絵なども展示されていましたが、やはり「光線画」の風景が最も好きです。
武蔵百景之図や日本名勝図会などのシリーズを江戸浮世絵風の風景画として手掛けていますが、歌川広重や葛飾北斎のスケールと比べるとなかなか…。
以前何かの本で、小林清親は日本橋付近の火災がショックとなって、以降は傑作には恵まれなかったと書いてあったのを思い出しました。
小林清親の晩年、つまり明治末期頃から創作版画という新しい機運が湧きあがります。
こうした動きを小林清親がどのように思っていたのか、興味のあるところです。
●「没後100年記念 小林清親展 新しい時代の息吹と浮世絵の終焉」11月23日まで開催