学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

画集による記憶

2009-03-10 17:19:36 | 仕事
今日は久しぶりの休日でしたが、掃除、洗濯、買い物をしているとあっという間に時間が過ぎて、もう夕方5時をまわったところです。時間はあるようで、ないようなものですね。

家事の合間、古代オリエントやエジプト、ギリシアの彫刻や陶器の画集を眺めていました。人間(あるいは民族)の美というのが素朴に表現されていて面白く、ページをペラペラとめくっていましたが、次第にある記憶が思い出されてきました。

あるお客様からギリシア陶器の質問を受けたことがあったのです。作品のタイトルはわかっているが、写真でどういう作品なのか知りたい、といったことだったと思います。当館ではギリシア陶器の展示をしたことはありませんし、私もまったくの専門外でした。わからない、といってしまうのは簡単。けれども、おそらく最後の砦として学芸員に質問したのでしょうから、最後の砦がこうもあっけなく落ちてしまってはどうしようもない。調べてみましょう、とお引き受けしました。

作品のタイトルがわかっているのだから、そう難しくないだろうと思ってインターネットで手がかりをつかもうとしましたが、引っかからず。では、図書館で、と調べてみましたが、これもなかなか見つからず。3、4日かけて仕事帰りに図書館へ立ち寄って画集を手当たり次第にあたったところ、ようやく見つかりました。お客様にお知らせすると、とても喜んでくださり、お客様の笑顔に私もとてもうれしかったという話…。

あるものから、記憶が次第に広がりをみせてゆく。なんだか『失われた時を求めて』のようですが(笑)、画集をみて、そんなことを思い出し、少し良い心持になった一日でした。

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