学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

鴨長明『方丈記』

2011-07-27 22:45:15 | 読書感想
夕方からまた雨が降りました。晴れたり、雨が降ったり、近頃は忙しい天気が続きます。仕事に関しては、展覧会が立ちあがったこともあり、やや落ち着いた日々が続いています。でも、この落ち着いている時期に、仕事を先に進めておくと、あとで慌てることがないのですよね。しっかり気は引き締めなければと思います。

鎌倉時代、鴨長明の『方丈記』を読みました。「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」の出だしから始まる有名な古典ですね。もうご存じの方が多いと思いますが、時間は留まることなく流れてゆく、栄えた家もいつの間にか没落してしまう。『方丈記』は世の無常を書いたものとして知られています。物語は初めに京での度重なる災害について書き、その後、作者自身の隠遁生活が書かれていきます。人の世を離れて、質素な生活のなかで孤独に生きる。

「世にしたがへば、身苦し。したがわねば、狂せるに似たり。」

このあたりの件は、夏目漱石の『草枕』を彷彿とさせるものがあります。というよりも、漱石は『方丈記』を意識しながら『草枕』を書いた?と想像をしてみました。

作者の隠遁生活、どんな住まいだったのかも具体的に書かれているのですが、とても質素で無駄のない家であったようです。また、この住まいでどんな生活を送っているのかも書いているのですが、その場面を書いた文章は美しいの一言。私は文章を読んで感動することは滅多にないのですが、これは滅多にないうちのひとつ(笑)長すぎるので引用しませんが、とても良いものです。

『方丈記』、日本の古典ではぜひ読んでおきたい一冊です。

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