今日は新しいネクタイをして、気分一新で出勤。午前中は展覧会の反省点をまとめ、来週から始まる現職教育(学校の先生方が夏休みに受講する研修のこと)で私が恐れ多くも「作品鑑賞の方法」について指導することになったので、その原稿をまとめていました。こうした試みは、今回が初めてなので、少し戸惑い気味ですけれども、楽しく、そしてわかりやすくを心がけて、講義(そんな大それたものではないけれど)に臨みたいと思います。午後からは収蔵庫整理。前回展示した作品たちを、丁寧に保存箱へ収納していきます。お疲れさまでした、の心をこめて。
さて、今日はブッツァーティの「七階」について御紹介したいと思います。ブッツァーティ(1906~1972)は、イタリアの作家。解説によれば「幻想文学の鬼才」と呼ばれているそうです。私はこれまで、イタリアの作家とはあまりなじみがありませんでした。せいぜい、ボッカチオの「デカメロン」ぐらいでしょうか。(古い!ルネッサンス期です)そんな、余り馴染みのない国の小説。でも・・・読んでみると結構面白い。
主人公のコルテは病気持ち。ある町の療養所で治療に当たることになりました。一日目、コルテは七階に案内されます。七階はとても快適な部屋でしたが、窓から下を見ると、一階のブラインドのほとんどが閉ざされているのに気づきます。コルテは、病状が重くなった人から、下の階へどんどん回されていくことを知ります。つまり、下になればなるほど重い病気を治療しているということ。一階は死を待つ人ばかりがいる階層なのです。コルテは恐ろしくはなったものの、自分は七階。医者の話によれば、すぐに全快するそうだから、一階なんて関係がない・・・そう思いきや・・・。
「幻想文学の鬼才」と呼ばれるだけあって、すこぶる怖くて、面白い作品です。読み進めていくうちに、自分もコルテと同化するのを感じて、医者の言葉になぜ?と思わず問いかけたくなります。巧妙な医者の話術は、なかなかにして曲者です。死への階段。ひょんなことからどんどん落ちてゆくさまは、人間が死に向かって生きていることを訴えかけているかのようにも読むことが出来ます。ドイツのホフマンやノヴァーリスなど幻想的な小説がお好きな方には、より楽しめる作品ではないかと思いました。
※「七階」は、光文社古典新訳文庫「神を見た犬」に収録されています。
さて、今日はブッツァーティの「七階」について御紹介したいと思います。ブッツァーティ(1906~1972)は、イタリアの作家。解説によれば「幻想文学の鬼才」と呼ばれているそうです。私はこれまで、イタリアの作家とはあまりなじみがありませんでした。せいぜい、ボッカチオの「デカメロン」ぐらいでしょうか。(古い!ルネッサンス期です)そんな、余り馴染みのない国の小説。でも・・・読んでみると結構面白い。
主人公のコルテは病気持ち。ある町の療養所で治療に当たることになりました。一日目、コルテは七階に案内されます。七階はとても快適な部屋でしたが、窓から下を見ると、一階のブラインドのほとんどが閉ざされているのに気づきます。コルテは、病状が重くなった人から、下の階へどんどん回されていくことを知ります。つまり、下になればなるほど重い病気を治療しているということ。一階は死を待つ人ばかりがいる階層なのです。コルテは恐ろしくはなったものの、自分は七階。医者の話によれば、すぐに全快するそうだから、一階なんて関係がない・・・そう思いきや・・・。
「幻想文学の鬼才」と呼ばれるだけあって、すこぶる怖くて、面白い作品です。読み進めていくうちに、自分もコルテと同化するのを感じて、医者の言葉になぜ?と思わず問いかけたくなります。巧妙な医者の話術は、なかなかにして曲者です。死への階段。ひょんなことからどんどん落ちてゆくさまは、人間が死に向かって生きていることを訴えかけているかのようにも読むことが出来ます。ドイツのホフマンやノヴァーリスなど幻想的な小説がお好きな方には、より楽しめる作品ではないかと思いました。
※「七階」は、光文社古典新訳文庫「神を見た犬」に収録されています。
hoyhtさんの豊富な読書量すごいですね。西洋、東洋問わずジャンルの幅広さに頭が下がります。「我輩は…」高校の現代文で習いましたし、昨年地元新聞でも注釈入りで半年間連載していました。切り抜きがあるので、改めて読み直してみます。
学校の先生に「作品鑑賞の方法」をご講義されるそうですね。作品を味わうポイントを伝えると先生方も学生とともに作品や美術館に親しみを感じられてるでしょう。これは学校側からの要請で始められた試みでしょうか?私が勤めている記念館では、学校教育に故人について関心をもってもらおうと、積極的に取り組みたいのですが、実際どのような活動を他館では行なっていらっしゃるのか、とても関心があります。
こんにちは。
自分でも変わっていると思うのですが、私は年に数回ほど、異様に読書をしたくなる時期がやってきます。この時期が来ると、活字に飢えるせいか、あらゆる本を読み出します。ふだんなら読むのを敬遠するような長編小説も、まったく苦にならずに読めてしまうのです。ただ、この読書ブームも突然収束に向かうので、そろそろ終わるのかもしれません(笑)
今回の「作品鑑賞の方法」は、学校からの要請で行います。これまで、当館と学校教育の連携は、ほとんど皆無に等しいものでしたが、数年前に学校の授業で、木版画の教室を開催するようになってから変わり始めました。これは美術館が、学校側に募集をかけて始ままった事業です。美術館から働きかけることで、少しずつ垣根がなくなってきたのかもしれません。ちなみに、当館が学校教育と関わる事業は、この現職教育と木版画教室、子供たち向けの公募展の3つです。そのほか、子供向けのパンフレット(小学校低学年と高学年・中学生)の3種を作って配布もしました。
あと・・・当館では各小中学校の美術の先生に集まっていただき、現場の御意見も伺っています。美術館の独りよがりにならないように、色々な意見を承ったあと、求められる企画を練っていくというやり方で進めています。
少し長くなってしまいましたが、当館の学校教育との取り組みについては、このような感じです。
学校教育との取り組み、詳しく教えて頂きどうも有難うございます!とても参考になります。学校の授業に木版画教室を取り入れたことがきっかけとありましたが、なるほど、授業に取り込みやすいなあと思います。そこで、質問ですが、なぜ木版画を題材に学校に募集をかけたのでしょうか?(授業に取り込みやすいという理由もあるのかもしれませんが)以前、私も小学校から要請で、故人について出前授業を行いましたが、郷土の文化人を知る目的には達せられたものの、後が続かないというか。
先生方からも、それまで名前は聞いてことがあったが
何をした人なのか分からない。そうすると、先生方も
分からない人物を生徒に教えることは出来ないので、授業に取り入れることが難しいとおっしゃっていました。故人の業績を伝えることも大切なのですが、故人の作品を教材として、故人の信念や心を伝えるような取り組みをしたいと考えております。
木版画を通して、先生方が積極的に鑑賞教育に取り組もうとする動きがとても良いですね。
この木版画教室。実は生徒を指導しつつ、先生方への指導も同時に行っています。先生方へ版画の指導をするメリットは、生徒が卒業しても、その学校の版画レベルが変わらないことにあります。また、その先生がたとえ移動したとして、その移動先でも版画を学んだ知識が充分に生かせ、赴任先の学校の版画レベルも上昇する波及効果を狙っています。
先生方が版画教室や現職教育などに積極的になる理由は・・・おそらく、私の居る県では新聞社が企画する美術展(美術全般)と当館が企画する美術展(版画のみ。当市の小中学校に在籍する生徒のみ応募可)の2つがあり、子供たちの作品を発表できる場が多いことが挙げられるのだと思います。子供だけではなく、先生方もモチベーションが大変高いです。他の学校には負けたくないと、競争心が出ているようです。
当館も10年以上、教育普及活動を行って、ようやく今の状態です。学校に関心を持ってもらえるようになった理由は、版画コンクールの設立、子供向けワークショップ開催、子供向けパンフレットの配布などが効果を挙げたように思われます。なかなかすぐには効果はでないのかもしれませんが、学校教育との連携は、地道に進むしかないようです。
今日は政局が若しかしたら変わるかもしれないだけに気が抜けませんね。大変でしたね。
明日はお休みですか?ゆっくり休んで下さいね。
さて、この度の学校との連携では、詳しく教えて頂きどうも有難うございます。版画教室を企画した経緯納得しました。hoyhtさんの美術館が木版を扱う美術館であること、この特性を見事に地域に生かして活動されている、まさに地域密着型の美術館として運営されていらっしゃるようですね。当館も見習わなければ!やはり地道に活動を続けていくことが、学校との信頼関係を築き上げる秘訣なのでしょうね。とても参考になりました。時々ブログ上でも、普及活動の報告など、期待しています。
こんばんは。
おかげさまで、今日はゆっくり休めました!
そうですね。
教育普及活動のこと、ブログでも書いていきたいと思っています。今年も秋~冬にかけて、また木版画教室を開催する予定です。お役に立つかわかりませんが、なるべく具体的に書いていきたいと思います。