学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

09.11.03.横浜Ⅱ

2009-11-04 18:24:26 | 展覧会感想
昨日のブログで幕末から明治初期の美について書きます、と宣言したものの、これはなかなか一筋縄ではいかないですね。論文で発表するようなテーマですが、私なりに感じたことを書いてみたいと思います。

日本美術は外来文化を摂取し、消化することで作り上げられてきた背景があります。江戸時代も鎖国をしていたものの、オランダや中国とは貿易をしていましたから、全く外来文化が摂取できなかったわけではなく、美術の世界でも遠近法やベロリン藍などの顔料が取り入れられました。さて、幕末から明治初期になると西欧の文物がどっと入ってきます。これまでの考え方で当てはめると、西欧文化を摂取して、日本美術が作り上げられることになりますね。ところがあまりにどっと入りすぎたために、とまどっているように見える、というのが私の感想です。特に工芸品が顕著に見られるようです。幕末以前は豪華で贅沢ながらも、どこか奥ゆかしい調子でしたが、以降はちょっと奇をてらい過ぎているのかな、と。技術はとても素晴らしくて江戸の遺風を確かに持っているのですが…。難しい、私の課題です。

わかったような、わからないような感想で申し訳ありません。「大・開港展」では、思わずうなってしまうような優れた絵画、工芸品がずらりと展示されており、それらを通して150年前の日本が目の前に見えてくるような内容です。ぜひご覧下さい!


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