学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

ウィルキー・コリンズ『恐怖のベッド』

2021-08-06 21:00:53 | 読書感想
毎日、暑い日が続いています。夏を涼しく過ごすには、扇風機やクーラーを使うか、怖い話を聞いて背筋を寒くするのが良いというもの。そこで、昨夜はミステリー小説の名手、ウィルキー・コリンズの『恐怖のベッド』(中島賢二訳、岩波文庫)を読みました。

大学を卒業して、パリに滞在していた「私」は、友人と共に、刺激を求めて、いかがわしい賭博場へ入り込みます。ふだんはギャンブルに興味のない「私」でしたが、そこで連戦戦勝を重ねることで有頂天。話がうまくいきすぎる、と警告した友人を追い出すと、何も目に入らなくなってしまいます。賭博場がお開きになったころには、たくさんの金貨を手にすることができました。ところが、祝いのシャンパンと酔い覚ましのコーヒーを飲んだところ、体の調子がおかしくなり、部屋に案内されるものの…。

「君はこれまでの勝ちでよしとしてここは引き上げた方が無難だぞ。」

私も子どもの付き合いでゲームセンターに行き、見境なくのめり込むと、ときどき妻から同じことを言われます(笑)

上手い話には裏がある、ということですね。最後に事件自体は無事に解決して、一安心となりますが、どこまで犯人のシナリオ通りだったのか、そして何人の犠牲者がいたのかは、結論めいたところがぼかされていて、背筋がすぅーと寒くなります。幽霊こそ出てきませんが、夏には最適な一冊です。


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