学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

勝てない組織から

2020-01-26 20:00:00 | 読書感想
私たちのほとんどが、何かしらの組織に所属して仕事をしています。私であれば、それは美術館であって、さらにその設置母体に所属しているわけです。もちろん、美術館の展覧会は学芸員が主となりますが、その運営については受付、監視、経理、広報など様々なスタッフがいてこそ成り立つもので、人の集まりである組織がとても重要であることはいうまでもありません。

先日から『阪神タイガース1985-2003』(中川右介、ちくま新書、2019年)を読んでいます。1985年の優勝時から、90年代は一向に試合に勝てなくなり、2003年に再び優勝するまでの一球団のストーリーを追った本です。この90年代、私は夢中になってプロ野球中継を見ていた時期でしたが、確かにこの時期、阪神タイガースはなかなか勝てませんでした。スター選手はそろっていましたが、勝ちきれない試合が多く、連敗でずるずると後退するのです。なぜ、組織として勝てなかったのでしょう。膨大な参考文献に基づく著者の洞察によって、球団組織の意思疎通、監督の指揮能力やコーチとのコミュニケーション、主体となる選手たちの能力の伸び悩みなど複合的な理由が明らかにされます。そして、野村克也氏のあとを受けた星野仙一氏が監督を務めて、ようやく18年ぶりにセ・リーグを制覇する。

優勝することがなかなかできなかった阪神タイガース。その勝ち切れなかった複合的な理由を、自分たちの組織に当てはめて考えれば、私は多くのことを学べる気がしています。私自身、学芸員としての仕事だけでなく、美術館の運営を考える立場にもなりました。組織としてどうあるべきなのか、どうあってはならないのか、日々の仕事に活かしていきたいと考えています。そして、今の私にひいきのプロ野球チームはありませんが、これも何かの縁。今年は阪神タイガースを応援したいと思っています!


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