安倍政権が、政府系金融機関・政策投資銀行の完全民営化を先送りにする・・・・という報道が出始めている。
これは何を意味するか。
鏡の奥に入りこむには、後退りすればよい。
これまでの経緯をおさらいすれば、財務省の思惑が見えてくる。
かつて政策金融改革が行われた。小泉純一郎政権下で。
公的金融システムにおける
(1)資金調達
(2)資金運用
というコインの裏表を改革する、という内容だった。具体的な方針が示された。
(1)’資金調達部門の郵政(郵貯と簡保)を完全に民営化する。
(2)’資金運用部門の政府系金融もスリム化する。
(a)日本政策投資銀行(政投銀)と商工中金は完全民営化する。
(b)その他の各省ごとに存在していた政府系金融機関は、国際協力銀行(JBIC)を含めて日本政策金融公庫一つに統合する。
同時に、それぞれのトップは各省次官の天下り先になっていたものを民間人にすることとなった。
しかし、民主党に政権交代すると、
(1)’’ゆうちょ銀行とかんぽ生命の完全民営化が後退。事実上、再国有化。
(2)’’政府系金融も完全民営化を見送り。2011年(東日本大震災)、再度延期。
(a)日本政策投資銀行と商工中金・・・・当初は2015年10月までに政府保有株をすべて売却する予定だったが、見送り。
要するに、民営化先送りは、今回で三度目だ。
二度あることは三度あった。
しかも、自民党への政権交代後、次の者が就任し、天下りも復活している。
①商工中金社長に杉山秀二・元経済産業次官。
②日本政策金融公庫相殺に細川興一・元財務次官。
③JBIC総裁に渡辺博史・元財務官
官僚、とりわけ財務省がどうしても政投銀を手放したくない理由は、単純明快、天下り先の確保だ。
財務省は、諸先輩の覚えがめでたくないと出世できない。事務次官も事務次官OBが推してくれるから就任できるわけだ。で、それら事務次官OBの関心事といえば、「どこに天下るか」。特に、政投銀とJBICは事務次官OBにとって気がかりな天下り先だった。
政投銀とJBICは特別な天下り先だ。両者に「銀行」という名前がついていることからも分かる。
他の政策金融機関は「公庫」などの名称だが、公的機関で「銀行」とは日本銀行と並んで格が高い。
事実、政投銀とJBICには事務次官OBの中でも切れ者といわれる人が天下ってきた。
小泉政権下、政投銀の完全民営化とJBICの統合が決定されると、「戦艦大和と武蔵を同時に失った」とささやかれたほどだ。
そこで財務省は、
まずは民主党政権下で、一つになっていた日本政策金融公庫からJBICを分離させるのに成功した。
そして今、政投銀の完全民営化を撤回させれば、小泉政権下の悪夢から復権できる、という思いがあるのだ。
むろん、こんな天下り機関がなくても、政策融資は、今の天下り先に投入している公的支援を民間金融に与えればできる。そのほうが、民業圧迫にならない。
ただし、官僚は、自分たちの天下り先確保のためには、政府方針も簡単に葬り去る。
そして、国民の生活を守るための「消費増税見送り」は頑としてやらない。
身勝手が明治時代の着物を着て歩いているのが財務省である。
□ドクターZ「消費増税の裏で財務省が動く「利権温存」 ~ドクターZは知っている~」(「週刊現代」2014年10月11日号)
↓クリック、プリーズ。↓
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これは何を意味するか。
鏡の奥に入りこむには、後退りすればよい。
これまでの経緯をおさらいすれば、財務省の思惑が見えてくる。
かつて政策金融改革が行われた。小泉純一郎政権下で。
公的金融システムにおける
(1)資金調達
(2)資金運用
というコインの裏表を改革する、という内容だった。具体的な方針が示された。
(1)’資金調達部門の郵政(郵貯と簡保)を完全に民営化する。
(2)’資金運用部門の政府系金融もスリム化する。
(a)日本政策投資銀行(政投銀)と商工中金は完全民営化する。
(b)その他の各省ごとに存在していた政府系金融機関は、国際協力銀行(JBIC)を含めて日本政策金融公庫一つに統合する。
同時に、それぞれのトップは各省次官の天下り先になっていたものを民間人にすることとなった。
しかし、民主党に政権交代すると、
(1)’’ゆうちょ銀行とかんぽ生命の完全民営化が後退。事実上、再国有化。
(2)’’政府系金融も完全民営化を見送り。2011年(東日本大震災)、再度延期。
(a)日本政策投資銀行と商工中金・・・・当初は2015年10月までに政府保有株をすべて売却する予定だったが、見送り。
要するに、民営化先送りは、今回で三度目だ。
二度あることは三度あった。
しかも、自民党への政権交代後、次の者が就任し、天下りも復活している。
①商工中金社長に杉山秀二・元経済産業次官。
②日本政策金融公庫相殺に細川興一・元財務次官。
③JBIC総裁に渡辺博史・元財務官
官僚、とりわけ財務省がどうしても政投銀を手放したくない理由は、単純明快、天下り先の確保だ。
財務省は、諸先輩の覚えがめでたくないと出世できない。事務次官も事務次官OBが推してくれるから就任できるわけだ。で、それら事務次官OBの関心事といえば、「どこに天下るか」。特に、政投銀とJBICは事務次官OBにとって気がかりな天下り先だった。
政投銀とJBICは特別な天下り先だ。両者に「銀行」という名前がついていることからも分かる。
他の政策金融機関は「公庫」などの名称だが、公的機関で「銀行」とは日本銀行と並んで格が高い。
事実、政投銀とJBICには事務次官OBの中でも切れ者といわれる人が天下ってきた。
小泉政権下、政投銀の完全民営化とJBICの統合が決定されると、「戦艦大和と武蔵を同時に失った」とささやかれたほどだ。
そこで財務省は、
まずは民主党政権下で、一つになっていた日本政策金融公庫からJBICを分離させるのに成功した。
そして今、政投銀の完全民営化を撤回させれば、小泉政権下の悪夢から復権できる、という思いがあるのだ。
むろん、こんな天下り機関がなくても、政策融資は、今の天下り先に投入している公的支援を民間金融に与えればできる。そのほうが、民業圧迫にならない。
ただし、官僚は、自分たちの天下り先確保のためには、政府方針も簡単に葬り去る。
そして、国民の生活を守るための「消費増税見送り」は頑としてやらない。
身勝手が明治時代の着物を着て歩いているのが財務省である。
□ドクターZ「消費増税の裏で財務省が動く「利権温存」 ~ドクターZは知っている~」(「週刊現代」2014年10月11日号)
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