第二次安倍晋三改造内閣が9月にスタートした。
今の臨時国会を安全運転で乗り切ろうとしているらしい。裏を返せば、野党から突っ込まれそうな危ない政策が目白押しだ、とも言える。
集団的自衛権
特定非陸奥保護法
消費増税
アベノミクスの失速
・・・・案外、綱渡りだ。
今国会で避けて通れない法律審議の一つが、労働者派遣法の改正問題だ。
<登録型派遣・製造業務派遣の在り方、いわゆる専門26業務に該当するかどうかによって派遣期間の取り扱いが大きく変わる現行制度の在り方等に関して有識者による検討を進め、本年8月末までを目処に取りまとめる。>【日本再興戦略(2013年6月14日閣議決定)】
派遣法改正は、労働の自由化の一環だ。もともと先の通常国会で成立させる予定だったが、失態(法案の罰則規定を書き間違えた)をさらし、廃案になってしまった。
今回、そこを修正し、改めて改正法を成立させようとしているわけだ。
そうまでして推進する労働の自由化。
そこにはパソナをはじめとする人材ビジネスとの因縁がある(パソナの迎賓館「仁風林」の接待)。
本来、派遣法は労働者の権利擁護のために制定された。派遣労働者を雇う企業に対し、同一職場での派遣受け入れ期間を1年と定め、それ以上働かせるなら正社員雇用を申し出なければならなかった。
その派遣期間が2004年3月に3年に延長され(小泉規制改革)、さらに今度の派遣法改正で、企業側は3年の派遣期間終了後も、同じ職場で別の派遣労働者を使うことが許される。つまり、永遠に低賃金の派遣社員を使い回しできるようになる。
むろん、派遣会社にとっても、この上なくありがたい話だ。恩恵を享受する代表格がパソナ(人材派遣のパイオニア)だ。
安倍政権下の労働政策において、政府の諮問機関である産業競争力会議の民間議員として、あの竹中平蔵が大活躍している。パソナの取締役会長でもある竹中には、我田引水批判が絶えない。
安倍政権が取り組んでいる労働の自由化は、派遣法の改正だけではない。
昨年閣議決定された日本再興戦略に基づく政策だ。ハローワークを民間開放し、働き先の紹介事業を委託するというものだ【注】。
これまでの人材ビジネスは、労働行政にとって労働者の権利が守られているかどうかを監視する規制対象業種だった。だが、この閣議決定により明確にその位置づけが変わった。人材ビジネスを扇の要にし、職安(ハローワーク)や自治体とともに職業紹介の担い手と位置づけている。そのためのハローワークの民間開放、民間委託だ。【厚労省の中堅幹部】
実際、その動きはすでに始まっている。
厚労省のホームページには、提携する業者を掲載する。
職安では、パソナを始めとする人材ビジネス会社のリーフレットを配布され、「どうぞ相談に」と宣伝される仕組みになっている。
労働の規制緩和が着々と進む。これについて、安倍政権は、固定されていた労働環境を流動的にさせ、転職や雇用のあり方を自由にして正規雇用を増やすためだ、と謳う。
だが、その実、ハローワークに職を求めるのは非正規の元派遣社員だらけだ。
だからといって、今国会で野党が労働の自由化や派遣法改正に待ったをかけることはできそうもない。
そこが、また問題だ。
【注】<ハローワークの情報等の民間開放を図りながら、学卒未就職者等の若者や復職を希望する女性等の幅広いニーズに迅速・効果的に応えられるよう、民間人材ビジネスを最大限に活用する。>【日本再興戦略にある三つのアクションプランのうちの一つ「雇用制度改革・人材力の強化」】
□森功「ハローワークを民間に!? パソナと安倍政権が目論む労働市場「改悪」 ~ジャーナリストの目 第225回~」(「週刊現代」2014年11月1日号)
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今の臨時国会を安全運転で乗り切ろうとしているらしい。裏を返せば、野党から突っ込まれそうな危ない政策が目白押しだ、とも言える。
集団的自衛権
特定非陸奥保護法
消費増税
アベノミクスの失速
・・・・案外、綱渡りだ。
今国会で避けて通れない法律審議の一つが、労働者派遣法の改正問題だ。
<登録型派遣・製造業務派遣の在り方、いわゆる専門26業務に該当するかどうかによって派遣期間の取り扱いが大きく変わる現行制度の在り方等に関して有識者による検討を進め、本年8月末までを目処に取りまとめる。>【日本再興戦略(2013年6月14日閣議決定)】
派遣法改正は、労働の自由化の一環だ。もともと先の通常国会で成立させる予定だったが、失態(法案の罰則規定を書き間違えた)をさらし、廃案になってしまった。
今回、そこを修正し、改めて改正法を成立させようとしているわけだ。
そうまでして推進する労働の自由化。
そこにはパソナをはじめとする人材ビジネスとの因縁がある(パソナの迎賓館「仁風林」の接待)。
本来、派遣法は労働者の権利擁護のために制定された。派遣労働者を雇う企業に対し、同一職場での派遣受け入れ期間を1年と定め、それ以上働かせるなら正社員雇用を申し出なければならなかった。
その派遣期間が2004年3月に3年に延長され(小泉規制改革)、さらに今度の派遣法改正で、企業側は3年の派遣期間終了後も、同じ職場で別の派遣労働者を使うことが許される。つまり、永遠に低賃金の派遣社員を使い回しできるようになる。
むろん、派遣会社にとっても、この上なくありがたい話だ。恩恵を享受する代表格がパソナ(人材派遣のパイオニア)だ。
安倍政権下の労働政策において、政府の諮問機関である産業競争力会議の民間議員として、あの竹中平蔵が大活躍している。パソナの取締役会長でもある竹中には、我田引水批判が絶えない。
安倍政権が取り組んでいる労働の自由化は、派遣法の改正だけではない。
昨年閣議決定された日本再興戦略に基づく政策だ。ハローワークを民間開放し、働き先の紹介事業を委託するというものだ【注】。
これまでの人材ビジネスは、労働行政にとって労働者の権利が守られているかどうかを監視する規制対象業種だった。だが、この閣議決定により明確にその位置づけが変わった。人材ビジネスを扇の要にし、職安(ハローワーク)や自治体とともに職業紹介の担い手と位置づけている。そのためのハローワークの民間開放、民間委託だ。【厚労省の中堅幹部】
実際、その動きはすでに始まっている。
厚労省のホームページには、提携する業者を掲載する。
職安では、パソナを始めとする人材ビジネス会社のリーフレットを配布され、「どうぞ相談に」と宣伝される仕組みになっている。
労働の規制緩和が着々と進む。これについて、安倍政権は、固定されていた労働環境を流動的にさせ、転職や雇用のあり方を自由にして正規雇用を増やすためだ、と謳う。
だが、その実、ハローワークに職を求めるのは非正規の元派遣社員だらけだ。
だからといって、今国会で野党が労働の自由化や派遣法改正に待ったをかけることはできそうもない。
そこが、また問題だ。
【注】<ハローワークの情報等の民間開放を図りながら、学卒未就職者等の若者や復職を希望する女性等の幅広いニーズに迅速・効果的に応えられるよう、民間人材ビジネスを最大限に活用する。>【日本再興戦略にある三つのアクションプランのうちの一つ「雇用制度改革・人材力の強化」】
□森功「ハローワークを民間に!? パソナと安倍政権が目論む労働市場「改悪」 ~ジャーナリストの目 第225回~」(「週刊現代」2014年11月1日号)
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