ギオルギ・マルグベラシビリ・グルジア大統領が10月末に訪日する。
そのとき日本は、かねてからグルジアが要請していた国名表記変更を認めるらしい。
<政府は、旧ソ連諸国の一つ「グルジア」の国名表記を、同国からの要請に応じて「ジョージア」に変更する方針を固めた。今月下旬で調整が進んでいるマルグベラシビリ大統領の来日の際、安倍首相に改めて変更の要請がある見通しで、日本政府はこれを受けて必要な法改正を検討する。
グルジアの国名はグルジア語では「サカルトベロ」だが、関係者によると、国連加盟193か国のうち約170か国は、英語表記に基づく「ジョージア」の呼称を使っている。ロシア語の表記が起源の「グルジア」と呼んでいるのは、ロシアなど旧ソ連圏と中国、日本などだけだという。グルジア政府は、2008年にロシアと軍事衝突して国民の反露感情が高まったのを背景に、「ジョージア」と呼ぶよう各国に働きかけていた。>【2014年10月05日付け読売新聞】
グルジアがジョージアに変更しても、日本政府の負担は、「在グルジア日本国大使館」(於トビリシ)の看板の日本語表記を変更する(「在ジョージア日本国大使館」)ことくらいなので、カネはほとんどかからない。
それでグルジアが喜ぶなら、大いにやってやればいい。
マルグベラシビリが大統領になって、グルジアはようやく普通の国家になろうとしている。
サーカシビリ前大統領は、米国のネオコン・グループと手を握って、極端な反露政策をとった。もともとグルジアが要請して同国の南オセチア自治州に駐留していたロシア軍に対して、サーカシビリは攻撃をしかけた(2008年8月7日)。にもかかわらず、「ロシア軍によって攻撃された」と大嘘をついた。
もっとも、同年11月28日、サーカシビリは、「実はグルジア軍がロシア軍に攻撃をしかけた」と認めざるを得なくなった。
サーカシビリ政権下で日本がグルジアの国名変更を認めていたら、日露関係に悪影響を与えただろう。
目下、ロシアはウクライナ問題で頭に血が上っているので、日本・グルジア関係をフォローする余裕はない。国名変更を認めるのは今がチャンスだ。
この機会に、安倍政権の政治主導でバチカン(ローマ法王庁)の日本語名も変更すべきだ。
<1981年2月のヨハネ・パウロ2世の来日を機会に、「ローマ教皇」に統一することにしました。「教える」という字のほうが、教皇の職務をよく表すからです。
(中略)日本とバチカン(ローマ法王庁、つまりローマ教皇庁)が外交関係を樹立した当時の定訳は「法王」だったため、ローマ教皇庁がその名称で日本政府に申請。そのまま「法王庁大使館」になりました。日本政府に登録した国名は、実際に政変が起きて国名が変わるなどしない限り、変更できないのだそうです。
(中略)
皆様には、「教皇」を使っていただくよう、お願いする次第です。>【カトリック中央協議会ウェブサイト】
ここでバチカンに恩を売っておけば、対中索制で日本・バチカン連携がやりやすくなる。
□佐藤優「この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~佐藤優の人間観察 第85回~」(「週刊現代」2014年10月25日号)
↓クリック、プリーズ。↓
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【参考】
「【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~」
「【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~」
「【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~」
「【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~」
「【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず」
「「森訪露」で浮かび上がった路線対立」
「【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~」
「【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」」
「【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~」
「【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~」
「【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~」
「【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~」
「【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~」
「【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~」
「【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~」
「【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ」
「【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 」
「【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 」
「【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~」
「【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 」
「【佐藤優】独裁者の「再選」が放置される理由 ~バッシャール・アル=アサド~」
「【佐藤優】経済と政治を行き来する新大統領の過去 ~ペトロ・ポロシェンコ~」
「【佐藤優】安倍首相とイスラエル首相「声明」の意味 ~ベンヤミン・ネタニヤフ~」
「【佐藤優】ロシアが送り込んだ「曲者」の正体 ~ウラジーミル・ルキン~」
「【佐藤優】ロシアは日本をどう見ているか ~日本外相の訪露延期~」
「【佐藤優】ウクライナ衝突の「伏線」 ~オレクサンドル・トゥルチノフ~」
「【ウクライナ】危機の深層(2) ~ブラック経済~」
「【ウクライナ】危機の深層(1) ~天然ガス~」
「【ウクライナ】エネルギー・集団的自衛権・尖閣問題 ~日本外交のジレンマ(3)~」
「【ウクライナ】米国の迷走とロシアの急成長 ~日本外交のジレンマ(2)~」
「【ウクライナ】と日本との歴史的関係 ~日本外交のジレンマ(1)~」
「【佐藤優】ウクライナ危機と米国が陥った「恐露病」」
「【佐藤優】プーチン政権がついに発した「シグナル」の意味 ~ロシア外交~」
「【佐藤優】プーチンは「世界のルール」を変えるつもりだ ~クリミア併合~」
「【ウクライナ】暫定政権の中枢を掌握するネオナチ ~クリミア併合の背景~」
「【佐藤優】北方領土返還のルールが変化 ~ロシアのクリミア併合~」
「【佐藤優】ロシアが危惧するのは軍産技術の米流出 ~ウクライナ~」
「【佐藤優】新冷戦ではなく帝国主義的抗争 ~ウクライナ~~」
「【佐藤優】クリミアで衝突する二大「帝国主義」 ~戦争の可能性~」
「【佐藤優】「動乱の半島」クリミアの三つ巴の対立 ~セルゲイ・アクショーノフ~」
「【佐藤優】ウクライナにおける対立の核心 ~ユリア・ティモシェンコ~」
「【ウクライナ】とEU間の、難航する協定締結に尽力するリトアニア」
「【佐藤優】ロシアとEUに引き裂かれる国 ~ウクライナ~」
そのとき日本は、かねてからグルジアが要請していた国名表記変更を認めるらしい。
<政府は、旧ソ連諸国の一つ「グルジア」の国名表記を、同国からの要請に応じて「ジョージア」に変更する方針を固めた。今月下旬で調整が進んでいるマルグベラシビリ大統領の来日の際、安倍首相に改めて変更の要請がある見通しで、日本政府はこれを受けて必要な法改正を検討する。
グルジアの国名はグルジア語では「サカルトベロ」だが、関係者によると、国連加盟193か国のうち約170か国は、英語表記に基づく「ジョージア」の呼称を使っている。ロシア語の表記が起源の「グルジア」と呼んでいるのは、ロシアなど旧ソ連圏と中国、日本などだけだという。グルジア政府は、2008年にロシアと軍事衝突して国民の反露感情が高まったのを背景に、「ジョージア」と呼ぶよう各国に働きかけていた。>【2014年10月05日付け読売新聞】
グルジアがジョージアに変更しても、日本政府の負担は、「在グルジア日本国大使館」(於トビリシ)の看板の日本語表記を変更する(「在ジョージア日本国大使館」)ことくらいなので、カネはほとんどかからない。
それでグルジアが喜ぶなら、大いにやってやればいい。
マルグベラシビリが大統領になって、グルジアはようやく普通の国家になろうとしている。
サーカシビリ前大統領は、米国のネオコン・グループと手を握って、極端な反露政策をとった。もともとグルジアが要請して同国の南オセチア自治州に駐留していたロシア軍に対して、サーカシビリは攻撃をしかけた(2008年8月7日)。にもかかわらず、「ロシア軍によって攻撃された」と大嘘をついた。
もっとも、同年11月28日、サーカシビリは、「実はグルジア軍がロシア軍に攻撃をしかけた」と認めざるを得なくなった。
サーカシビリ政権下で日本がグルジアの国名変更を認めていたら、日露関係に悪影響を与えただろう。
目下、ロシアはウクライナ問題で頭に血が上っているので、日本・グルジア関係をフォローする余裕はない。国名変更を認めるのは今がチャンスだ。
この機会に、安倍政権の政治主導でバチカン(ローマ法王庁)の日本語名も変更すべきだ。
<1981年2月のヨハネ・パウロ2世の来日を機会に、「ローマ教皇」に統一することにしました。「教える」という字のほうが、教皇の職務をよく表すからです。
(中略)日本とバチカン(ローマ法王庁、つまりローマ教皇庁)が外交関係を樹立した当時の定訳は「法王」だったため、ローマ教皇庁がその名称で日本政府に申請。そのまま「法王庁大使館」になりました。日本政府に登録した国名は、実際に政変が起きて国名が変わるなどしない限り、変更できないのだそうです。
(中略)
皆様には、「教皇」を使っていただくよう、お願いする次第です。>【カトリック中央協議会ウェブサイト】
ここでバチカンに恩を売っておけば、対中索制で日本・バチカン連携がやりやすくなる。
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【参考】
「【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~」
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