語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】ネット利用の3大原則 ~最強の読み方(6)~

2017年03月19日 | ●佐藤優
 第3章 僕らのネットの使い方 ~上級者のメディアをどう使いこなすか
 【ネットの3大原則】の「ネットは「上級者」のメディア―玉石混淆のネット情報から「玉」だけ選び出すのは難しい」「ネットは「非常に効率が悪い」メディア―二次情報、三次情報が多い」「ネットには「プリズム効果」がある―自分の偏見が増長される仕組み(ネット空間の論説=世論ではない)」の以下、要旨。

(1)ネットは「「上級者」のメディア」
 ネットの情報は玉石混淆で、そこから「玉」の情報だけ選ぶのは、かなりの知識とスキルが必要だ。
 ネットは「速報性」に優れているし、誰でも発信できる素晴らしさを持つが、それだけに情報の真偽を見極めにくい。個人のサイトやSNSの投稿の中には、専門家が書いた優れものがある一方、デマや思いつき、偏見も数多く見受けられる。
 誰でも発信できるとは、裏返しに見ると、新聞・雑誌が持つ「編集」「校閲」という重要な2つの機能が欠如しているということだ。他者の目を通さないと、自己中心的な意見や強い偏見を含んだ論説もそのまま載ってしまう。また、校閲機能もないので、誤字脱字どころか、明らかに事実関係を間違えている記事もネットにしばしば見受けられる。誰かが書いたことに対して「裏をとる」こともなく、そのままツイッターやフェイスブックなどで容易に拡散してしまう人も少なくない。
 ネット空間は「ノイズ過多」なのだ。いい加減な情報=ノイズ情報をいかに除去するか。これがネットから「玉」の情報を得るポイントだ。
 ネットは、うまく使えば便利で有益なツールになる反面、時間を浪費したりノイズ情報に惑わされる危険性もある「諸刃の剣」だということだ。
 多くの人が誤解しているが、じつはネットは「上級者のメディア」なのだ。上手に活用すれば、マスメディアが報じない情報を広く深くとることもできるが、活用するスキルを持たないと、時間ばかり浪費してしまう極めて効率の悪いツールにしかならない。

(2)ネットは「非常に効率が悪い」メディア
 ネットサーフィンの誘惑を含めて、費やす時間に対して得られる情報が少ないのがネットの特徴だ。
 同じ時間をかけてニュースを読むにしても、①新聞社の無料サイトを見るのと、②新聞紙面で読むのとでは、とれる情報がまったく違う。①もカテゴリーごとに分かれているが、時系列順に新しい記事が並ぶため、記事の重要度がわかりにくいし、クリックしてみないと記事の概要がわからない。
 新聞は、「どの記事を大きく載せるか」を編集デスクや整理部のベテラン記者が毎日会議を開いて決めている。一般のビジネスパーソンが自分で一つひとつ判断するより、まずは「プロのフィルター」に乗っかったほうが効率がいいのは間違いない。
 無料のニュースサイトのように記事が並んでいるということは、「自分で記事の重要度を判断しなければならない」ということだ。多忙なビジネスパーソンにとって、その時間と労力をかけるメリットがあるか。
 ネットを「効率の悪いメディア」にしているもう一つの要因は、そもそもネットで入手できる情報の多くが二次情報、三次情報だからだ。根っこになる一次情報は、新聞をはじめマスメディアの情報がほとんどだ。「ヤフーニュース」も含めて。
 新聞雑誌できちんと精度の高い情報をチェックしたほうが、効率は何倍もいい。お金はかかるが、「時間は希少材」ということを考えると、ビジネスパーソンにはメリットのほうが大きい。
 やはりネットは、付き合い方になかなか高度な技術のいるメディアであることは間違いない。

(3)ネットにある「プリズム効果」
 ネットには特定のものだが大きく見えたり、別のものが見えなくなったりする「プリズム効果」がある。ネットを頻繁にチェックしているヘビーユーザーほど、その影響を受けやすい。
 ネット空間では、自分でアクセスしなければ、見たくない情報には触れずに済む。逆に、自分が知りたいことや自分の考えを補強する情報が欲しければ、いくらでも見つけ出すことができる。
 ツイッターやフェイスブックなどのSNSには特にその傾向が顕著だ。自分が選んだ人の言説しかフォローしないのだから。その人が自分の気に染まない意見を言い出したら、フォローを止めればいい。そうなると、自分と違う意見や考え方は、ネット上には存在しても、なかなか目に入ってこなくなる。
 するとどうなるか。関心のあることについてはどんどん詳しくなる一方で、それ以外はまるで知らないまま、どんどん視野が狭くなる。
 ここのところは、本当に誤解している人が多い。ネットには非常に多くの情報が溢れているので「視野が広くなる」と勘違いしている人がいるが、「知りたいことだけ知ることができる」というのが、ネットの長所であり短所でもあるわけだ。よほど気をつけて使わないと、視野を狭め、偏見を助長させてしまう。
 ネットをよく使う人の中には、「ネットの論調=社会全体の論調」と思い込んでしまう人も少なくない。するとどうなるか。「メディアの報道には偏りがある」「真実を報道していない」と容易にマスコミ批判や陰謀論に走ってしまう。メディアが報道しないのは、ほとんどの場合「裏がとれない」からなのだが。
 マスコミの仕事は「隠蔽」することではなく、「曝露」することなのだから。
 また、ネットで支持が多い言説だからといって、国民的支持があるとは限らない。同じ人が「××反対」「〇〇は素晴らしい」と1日に3回書けば、その意見が強いように見えるが、社会全体で見ればそうとも限らない。ネットの論調が主流とは限らない。ネットで不特定多数に向けて情報発信している人は全体で見ればまだ少数派だ、くらいに考えておいたほうがバランスがいい。

□池上 彰×佐藤優『僕らが毎日やっている最強の読み方―新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける77の極意』(東洋経済新聞社、2016)
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 【参考】
【佐藤優】ネットの使い方、情報の新しさを判断する目安 ~最強の読み方(5)~
【佐藤優】雑誌の読み方、『失敗の本質』 ~最強の読み方(4)~
【佐藤優】雑誌の読み方、「文藝春秋」は論壇カタログ ~最強の読み方(3)~
【佐藤優】新聞の読み方 ~最強の読み方(2)~
【佐藤優】新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける77の極意 ~最強の読み方~
 


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【南雲つぐみ】春苗の植えどき ~ハーブ、青菜、花~

2017年03月19日 | 医療・保健・福祉・介護
 チェコの作家カレル・チャペックの「園芸家12カ月」の3月の章に「産毛をはやして眠っている芽よ、目をさませ。スタートの命令が、もう出たのだ」という一節がある。
 日本の「啓蟄」は3月5日。冬ごもりの虫が地面の穴から顔を出し、自然界は芽吹きのときで、ガーデニングも忙しくなるころではないだろうか。
 春は種まきの時期。「花より食の充実」をという人には、ハーブや青菜もいい。シュンギク、コマツナなどの種をプランターにまいておけば、約1カ月後から収穫できる。種を1~2週間ずつずらしてまくと、長期間にわたって自家製の新鮮野菜でビタミンやミネラル類が食べられる。
 でも私のような初心者にとって種からまくのは大変で、成果の見えやすい花苗のほうがやる気が出る。春咲きの花の最盛期は4~5月だが、ちょうど今はその花苗が園芸店に出回っている。
 ルピナス、アネモネ、ロベリア、ネモフィラなど、4~5月の花を組み合わせて植えると、2カ月後にはすてきな花壇になるはずだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「春苗の植えどき ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年3月15日)を引用
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 【参考】
【南雲つぐみ】お彼岸 ~その心~
【南雲つぐみ】せきを抑えるツボ ~自衛法~
【南雲つぐみ】加齢黄斑変性とその治療法
【南雲つぐみ】頭痛が続く時 ~「気象病」~
【南雲つぐみ】クラゲの癒やし ~ストレス解消~
【南雲つぐみ】アレルギー性結膜炎 ~目の花粉症~
【南雲つぐみ】遺伝子検査と生活習慣
【南雲つぐみ】早春の香り ~匂いとセラピー~ 
【南雲つぐみ】白酒と甘酒 ~甘酒は栄養豊富~
【南雲つぐみ】背骨の新しい治療法
【南雲つぐみ】ビーナスベルトと地球影 ~西の空~
【南雲つぐみ】火災を防ぐ ~春季全国火災予防運動~
【南雲つぐみ】温泉かれい ~北陸~
【南雲つぐみ】がんと就労 ~仕事と治療の両立~
【南雲つぐみ】富士の笠雲
【南雲つぐみ】歩き方いろいろ ~室内でできるスロージョギング~
【南雲つぐみ】飲酒のメカニズム ~前頭葉を刺激~
【南雲つぐみ】ハリーアップ症候群 ~時間に追われると~
【南雲つぐみ】おでんの日 ~車麩~
【南雲つぐみ】フローズンショルダー ~肩関節周囲炎~
【南雲つぐみ】更年期女性と心疾患 ~微小血管狭心症~
【南雲つぐみ】梅の季節
【南雲つぐみ】皮膚の乾燥やかゆみ ~傾向と対策~
【南雲つぐみ】お菓子の日とビタミンB1
【南雲つぐみ】午の時刻、方位、初午の名物料理
【南雲つぐみ】添加物が気になる時 ~ワカメのみそ汁の効果~
【南雲つぐみ】揺さぶりに注意 ~赤ちゃんの脳震盪や硬膜下出血~
【南雲つぐみ】喉あめの効果 ~唾液分泌~
【南雲つぐみ】静電気を防ぐには ~綿や麻は電子を帯びにくい~
【南雲つぐみ】目の温浴 ~蒸しタオル~
【南雲つぐみ】海苔の日 ~「海の緑黄色野菜」~
【南雲つぐみ】大豆とエクオールは女性にとって健康の秘訣 ~今日は節分~
【南雲つぐみ】体の痛みが示すもの ~臓器の健康~
【南雲つぐみ】飲む乳酸菌の役割 ~明日2月3日は「乳酸菌の日」~
【南雲つぐみ】マスクで花粉症の予防 ~ダイエットにもなる~
【南雲つぐみ】寒灸の習慣 ~関節の痛みやこりを和らげる~
【南雲つぐみ】タイの天ぷら ~徳川家康の死因考~
【南雲つぐみ】アボカドの栄養とその調理法
【南雲つぐみ】フェリチンに注目 ~貧血対策~
【南雲つぐみ】ショウガを飲む ~その薬効~
【南雲つぐみ】ナマコとコノワタ ~三河湾では今が旬~
【南雲つぐみ】寒たまご ~1日2個以上も可~
【南雲つぐみ】安納芋の栄養価と味わい ~焼くか蒸す~
【南雲つぐみ】小正月には小豆がゆ ~むくみによる体重増の対策~
【南雲つぐみ】「おなかの風邪」の予防と事後処理 ~ノロウイルス、「ロタウイルス」~
【南雲つぐみ】食事制限だけのダイエットは危険 ~運動が大事~
【南雲つぐみ】温泉の安全な入り方
【南雲つぐみ】七草がゆ
ミカンのうんちく ~延命長寿の果実~
【南雲つぐみ】鍋で養生 ~今年1月5日は小寒~
【南雲つぐみ】お雑煮の食べ方 ~事故の防止法~
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【南雲つぐみ】お彼岸 ~その心~

2017年03月19日 | 医療・保健・福祉・介護
 春分と秋分は、太陽が真東から昇って真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになる。その日を挟んだ前後3日の計7日間を「彼岸」という。彼岸に仏様の供養をすることで、極楽浄土へ行けるとされている。
 彼岸は仏教で、人間の生きる「此岸」が欲や煩悩にまみれた世界なのに対して、欲や煩悩から解放された世界を示している。このことと、春分とはどういう関係にあるのだろうか。
 祝日法によると、春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」とされる。これは、日本に古くからある「森羅万象」という考え方を示しているようにも感じる。
 日本では樹木、山、海、葉の一枚、米の一粒にまで、すべてのものに神性、仏性が宿るとされる。その感性が春の種まきや秋の収穫と結びつき、自然をたたえ、先祖に感謝する心へつながっているのではないだろうか。
 春の彼岸には「ぼた餅」を食べる。これは春に咲くボタンにちなんだ名で、「おはぎ」は秋に咲くハギの花にちなんでいる。もち米は五穀豊穣(ほうじょう)、小豆は魔よけに通じている。

□南雲つぐみ(医学ライター)「お彼岸 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年3月17日)を引用
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 【参考】
【南雲つぐみ】せきを抑えるツボ ~自衛法~
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