語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】春休みの時差ぼけ

2017年03月30日 | 医療・保健・福祉・介護
 人間は目が覚めて朝日を浴びてから16時間後にまた眠たくなるという睡眠リズムを持っているとされる。これはメラトニンという睡眠ホルモンの分泌によるものだ。
 日本と昼夜が逆の国に行くと、朝、日本をたって9時間後に到着したのに、着いた先ではまだ日中というような時間のズレが生じる。
 このような場合に起こるのが時差ぼけ。体内時計と環境にズレが生じるのが原因だが、同じ場所にいても生活リズムが崩れると、時差ぼけのような睡眠リズムのトラブルが起こりやすくなる。
 夜勤(交代勤務)がある仕事、試験勉強、締め切りなどがある仕事で、夜も昼と同じような緊張状態が続く人は要注意だ。夜遅くまでインターネットや携帯電話での情報のやりとりをしている場合も、眠れない状況になりやすい。その結果、朝も起きられなくなる。
 春休みは学生にとって、昼夜逆転しがちな時期だが、そのまま新学期を迎えると、新年度からいい生活リズムがつかめない。休み中もできるだけ普段と同じ生活リズムで過ごすことが理想なのだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「春休みの時差ぼけ ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年3月29日)を引用
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【ウィトゲンシュタイン】『論理哲学論考』

2017年03月30日 | 批評・思想
---(引用開始)---
1 世界は成立していることがらの総体である。
1・1 世界は事実の総体であり、ものの総体ではない。
1・11 世界は諸事実によって、そしてそれが事実の〈すべて〉であることによって、規定されている。
1・12 なぜなら、事実の総体は、何が成立しているかを規定すると同時に、何が成立していないかをも規定するからである。
1・13 論理空間の中にある諸事実、それが世界である。
---(引用終了--

 といった独特な構成で議論が展開される『論理哲学論考』。読み通すのは骨で、事実途中で挫折したりするが、何が書いてあるのかぐらいは知っておきたい本があって、本書もその1冊だ。
 幸い、訳者解説が丁寧懇切なので、少し引用しよう。

---(引用開始)---
1 目標と方法--序
 「私にはどれだけのことが考えられるのか」、これが『論考』の基本問題である。思考の限界を見通すことによって思考しえぬものを浮き彫りにする。ウィトゲンシュタインはそこに二つのことを賭ける。ひとつは、哲学問題が思考不可能な問題であることを示し、いっさいの哲学的お喋りに終止符を打とうとする。もうひとつは、倫理、価値、生に関わることを、思考によってではなく、ただ沈黙のうちに生きることによって受け入れようとする。
 しかし、「どれだけのことが考えられるのか」という問題に対して再び〈思考によって〉答えようとすることには、困難がある。そこでウィトゲンシュタインは、言語の限界を明らかにすることによって思考の限界を示そうとする。かくして、思考の限界の問いに代えて、「私にはどれだけのことが語りうるのか」という問いが問われることになる。まさにこれこそが、『論考』の核心をなす問いにほかならない。
---(引用終了)---

 以下、タイトルのみ。

2 世界/世界の可能性--1~2・063
3 像--2・1~2・225
4 思考--3~3・05
5 像としての命題--3・1~4・128
6 真理操作--4・2~5・5423
7 基底/独我論--5・55~5・641
8 操作と形式/数・論理学・自然科学--6~6・3751
9 倫理--6・4~6・45
10 謎の解消--6・5~7

□ウィトゲンシュタイン(野矢茂樹・訳)『論理哲学論考』(岩波文庫、2003)の「訳者解説」
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【保健】1日あたり0.5合程度が上限 ~認知症を予防する飲酒量~

2017年03月30日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)飲酒は認知症の発症リスクになることが知られているが、少量飲酒は予防に働くらしい。中国海洋大学(山東省)の研究チームからの報告。

 (2)研究者らは、飲酒量と認知症発症との関係を検討した複数の試験結果を体系立てて再解析。データは次のものである。
  (a)全認知症・・・・4,586症例を含む73,330人、11試験のデータ。
  (b)アルツハイマー型認知症・・・・1,267例を含む52,715人、5試験のデータ。
  (c)血管性認知症・・・・542例を含む49,535人、4試験のデータ。
 解析の結果、(a)と大量飲酒との間には、以前から指摘されているように、発症リスクが増加する傾向が認められた。その一方で、少量飲酒では(a)の発症リスクが低下していた。
 具体的には、
   ①リスク低下に働くアルコール摂取量(純アルコール換算)は、1日あたり12.5グラムまで。
   ②アルコール度5%のビールなら350ミリリットル缶の8分目程度だ。ロング缶なら、二人で半分ずつ飲むといい。
   ③アルコール度数15度の日本酒なら0.5合が1日の上限である。
 最もリスク低下効果が示されたのはm、6グラム/日だった。この場合、ビールは135ミリリットル缶1本でおしまい。日本酒ならぐい飲み1、2杯である。
 逆に、1日あたりアルコール摂取量が38グラムを超えると、(a)の発症リスクが明らかに上昇。
 また、飲酒の影響は60歳未満の中高年で一層大きかった。

 (3)同じような調査研究は欧米でも行われている。
 各国でおおむね一致しているのは、
   ①1日のアルコール摂取量が12グラム以上だと認知症の発症リスクが上昇すること。
   ②逆に、1日5~10グラム程度の摂取量は酒を全く飲まない人よりリスクが低下する点。試験によっては、リスクが半減するとの報告もある。とはいえ、下戸の人は無理に飲酒する必要はない。

 (4)厚生労働省は、「節度ある適度な飲酒(アルコール摂取量)」を1日あたり20グラムとしている。しかし、認知症予防の見地からすれば、その半分でも多い。
 今日の1杯が、明日の認知機能に影響するのだ。

□井出ゆきえ(医学ライター)「認知症を予防する飲酒量は?/1日あたり0.5合程度が上限 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.343~」(「週刊ダイヤモンド」2017年4月1日号)
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 【参考】
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【保健】不安やうつはがんの初期症状? ~結腸・直腸、膵臓などで関連~
【保健】赤身肉は魚や鶏肉に置き換えて ~大腸憩室炎の発症リスクを軽減~
【保健】学会監修の防災セットが限定発売 ~心臓を守るリストも~
【保健】前立腺癌の手術で優れているのは ~ダ・ヴィンチvs人の手~
【保健】サウナで認知症リスクが低下 ~本場フィンランドの報告~
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【保健】「過剰診断」か「見落とし」か ~マンモグラフィー検診のリスク~
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