語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】が大事か、車が大事か ~トランプ外交に巻き込まれるな~

2017年02月21日 | 社会
 (1)米国のトランプ新大統領に世界中が振り回されている。日本も例外ではない。
 トランプ大統領は、1月、TPPを離脱する大統領令に署名し、今後は2国間交渉にシフトすることを明言した。米国の離脱が決まったことで、今後日本側がいくらTPPの重要性を強調しても、空中分解する可能性が高くなった。

 (2)1月25日、財務省が2016年分の貿易統計を発表した。
 総額では輸出70兆392億円、輸入65兆9,651億円、黒字が4兆741億円。、対米国だけに絞れば輸出14兆1,431億円、輸入7兆3,084億円、黒字が6兆8,347億円。日本は、1年間で、米国に輸入するよりも6兆円以上も輸出しているということだ。米国が「貿易不均衡だ」と追求するゆえんだ。
 米国への輸出のトップが自動車で、約4兆4,000億円。第2位が自動車の部品で約8,630億円。自動車関連だけで約5兆2,630億円輸出している。米国が「貿易不均衡の元凶が車だ」と主張するゆえんだ。

 (3)「米国第一主義」を掲げるトランプ大統領は、「米国が赤字になる貿易は許せない」のだ。6兆円も日本が黒字になっていることこそ、貿易不均衡を証明している。米国側は、「日本の貿易黒字をどこまで減らすことができるか」を要求しているはずだ。
 TPPのように5年10年かけて輸入を増やす、というような生ぬるいことは、米国は許さぬであろう。トランプ政権には、「今年中にどれだけ米国の貿易赤字を減らせるか」が最重要課題の一つである。日本側にも強硬姿勢で臨むはずだ。そこで日本側が無回答であれば、「自動車の輸入に関税を20%プラスする」といったことにもなりかねない。

 (4)安倍政権は、自動車の関税が引き上げられ、米国への輸出が減る事態は極力避けたいだろう。
 そうなると、貿易黒字を減らすには、米国からの輸入を増やさねばならない。数兆円の貿易黒字を一気に減らすことはないにしても、米国から日本への輸出量を拡大する具体的な品目と数量を明示せよと米国側は要求してくるだろう。
 そこに浮上するのは「食」だ。食料品全部合わせても、輸入額は1兆3,250億円しかない。そのうち肉類は約3,500億円。穀物類は約3,600億円だ。米国側が要求してくるのは、「米」と「牛肉」だろう。

 (5)穀物の小麦、トウモロコシ、大豆と、肉類の豚肉はすでに輸入量が多いので、米国産の輸入拡大はあまり見込めない。ところが、米と牛肉は国産の消費量が多いので、安い米国産が輸入されれば相当な需要が見込められる。
 この2品目は、米国での大量生産が可能で、関税をゼロにすえば、日本への輸出額が数千億円増加するだろう。逆に言えば、日本の米農家と畜産農家に大打撃を与えることになる。

 (6)TPPが実施されても国産農家への影響が大きいと言われているのに、2国間協定で米国の言いなりになって、自動車を守るために食を犠牲にすれば、まさに「トランプの思うつぼ」になる。
 2月10日の日米首脳会談について、安倍首相は衆議院予算委員会で「TPPと同じで、守るべきものは守る。攻めるところはしっかり攻めていく」と発言しているが、何を守ってどこを攻めたのか。
 日本の第一次産業を犠牲にしてまで自動車を守る必要はない。米国依存の経済から抜け出すいい機会だ。輸出ばかりに頼らず、国内需要を高める政策に方向転換すべきだ。

□垣田達也(消費者問題研究所代表)「車が大事か、食が大事か トランプ外交に巻き込まれるな」(「週刊金曜日」2017年2月10日号)
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【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ

2017年02月20日 | ●佐藤優
   
 ①NHK取材班『総力取材! トランプ政権と日本』(NHK出版新書 780円)
 ②仲正昌樹『ポスト・モダンの左旋回』(作品社 2,200円)
 ③青野太潮『パウロ 十字架の使徒』(岩波新書 760円)

 (1)①では、トランプ米大統領に係る各分野の専門家による現時点での評価を知ることができる。
 〈例〉日米関係と安全保障に詳しい森本敏氏(元防衛相)は、こんな見方を示している。
 <森本氏の個人事務所を訪れたのは、トランプ氏当選の2日後。森本氏も「驚きの結果」だと振り返る一方で、今後の日米同盟への影響については、「トランプ氏は今までに政治経験がないため、政府が持っている本当のインテリジェンスをまだ知らされていないのであろう。(新政権のスタッフが)実態をきちんと説明することによって、彼が理解し、路線の現実的かつ柔軟な修正をしてくるという要素は多分にあるでしょう」と冷静な見方を示した>
 この方向でトランプ大統領が進んでくれればいいのだが、イスラム諸国7ヵ国の国籍所持者の米国入国を禁じるなど、エキセントリックな政策をトランプ大統領が取っていることに鑑みると、米国のアジア外交についても楽観は禁物だ。

 (2)②は、現下日本の思想状況に対する優れた批判的紹介の書だ。
 <あらゆる人間が自分の生活をしているのであって、それを「言語」という抽象的なもので一般化して表現することにはそもそも無理がある。仕方がないので自分にとって印象的な経験だけ抜き出して「言語化」したものが、たまたま他の人にも共感するような表現であった場合に、“生きた言葉”として響くことはあるだろう。それを一般化して「生きた言葉」と言ってみたところで何の意味もない>
 この作品全体が、「生きた言葉」なるものの虚妄性を鋭く衝いている。

 (3)③は、現代キリスト教神学の標準的な見解を知るために最適な本だ。イエスは自らをユダヤ教徒と考えていた。ユダヤ教と訣別しイエスを救世主とするキリスト教という新しい宗教を創ったのは、生前のイエスと会ったことがないパウロだ。
 <パウロ自身もまた、たしかにイエスを「神の子」と信じていたが、神とイエスとの間に厳として存在する不可逆な順序、つまり神がいるからこそイエスはいるのであって、決してその逆ではない、という順序を重視していた。イエスの直弟子たちとは違って、イエスの十字架による「贖罪」と、それゆえに起こされたイエスの「復活」という理解に偏った、贖罪論一辺倒の信仰をパウロが回避できたのは、そのためである>
 パウロのような波乱の人生を歩み、権謀術数に長けた人間でないと、パレスチナで生まれた小さな宗教を世界宗教にできなかったことがよくわかる。

□佐藤優「「生きた言葉」という虚妄 ~知を磨く読書 第1回~」(「週刊ダイヤモンド」2017年2月25日号)
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 【参考】
【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
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【南雲つぐみ】更年期女性と心疾患 ~微小血管狭心症~

2017年02月18日 | 医療・保健・福祉・介護
 「動くと心臓がチクチク痛い」「食事と関係なく胃痛や吐き気がする」「喉からあごにかけて上ってくるような痛み」「就寝前に動悸がする」「背中の痛み」など、胸部のさまざまな不調に悩むAさん(46)。しかし、心臓カテーテル検査などを行っても異常は見つからず、「更年期の症状では」と漢方薬などを処方されていたそうだ。
 つい最近、循環器専門の病院でやっと「微小血管狭心症」ではないかと診断された。米国立衛生研究所(NIH)のグループによって、近年になって提唱された疾患で、更年期に起こる女性ホルモンの減少が関与しているのではないかといわれている。一般的な狭心症は、心臓の表面にある太い血管の動脈硬化で起こるもので、男性に多い。微小血管狭心症は心臓の細い血管がけいれんすることによって起こり、7割以上は女性ではないかといわれている。太い血管が詰まるわけではないので、すぐに死の危険はないが、自覚症状がある人の5~6%が、2年以内に虚血性心疾患で入院しているという報告もあるそうだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「更年期女性と心疾患 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年2月17日)を引用
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 【参考】
【南雲つぐみ】更年期女性と心疾患 ~微小血管狭心症~
【南雲つぐみ】梅の季節
【南雲つぐみ】皮膚の乾燥やかゆみ ~傾向と対策~
【南雲つぐみ】お菓子の日とビタミンB1
【南雲つぐみ】午の時刻、方位、初午の名物料理
【南雲つぐみ】添加物が気になる時 ~ワカメのみそ汁の効果~
【南雲つぐみ】揺さぶりに注意 ~赤ちゃんの脳震盪や硬膜下出血~
【南雲つぐみ】喉あめの効果 ~唾液分泌~
【南雲つぐみ】静電気を防ぐには ~綿や麻は電子を帯びにくい~
【南雲つぐみ】目の温浴 ~蒸しタオル~
【南雲つぐみ】海苔の日 ~「海の緑黄色野菜」~
【南雲つぐみ】大豆とエクオールは女性にとって健康の秘訣 ~今日は節分~
【南雲つぐみ】体の痛みが示すもの ~臓器の健康~
【南雲つぐみ】飲む乳酸菌の役割 ~明日2月3日は「乳酸菌の日」~
【南雲つぐみ】マスクで花粉症の予防 ~ダイエットにもなる~
【南雲つぐみ】寒灸の習慣 ~関節の痛みやこりを和らげる~
【南雲つぐみ】タイの天ぷら ~徳川家康の死因考~
【南雲つぐみ】アボカドの栄養とその調理法
【南雲つぐみ】フェリチンに注目 ~貧血対策~
【南雲つぐみ】ショウガを飲む ~その薬効~
【南雲つぐみ】ナマコとコノワタ ~三河湾では今が旬~
【南雲つぐみ】寒たまご ~1日2個以上も可~
【南雲つぐみ】安納芋の栄養価と味わい ~焼くか蒸す~
【南雲つぐみ】小正月には小豆がゆ ~むくみによる体重増の対策~
【南雲つぐみ】「おなかの風邪」の予防と事後処理 ~ノロウイルス、「ロタウイルス」~
【南雲つぐみ】食事制限だけのダイエットは危険 ~運動が大事~
【南雲つぐみ】温泉の安全な入り方
【南雲つぐみ】七草がゆ
ミカンのうんちく ~延命長寿の果実~
【南雲つぐみ】鍋で養生 ~今年1月5日は小寒~
【南雲つぐみ】お雑煮の食べ方 ~事故の防止法~

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【旅】長良川の鵜飼 ~漱石・多佳子・三鬼~

2017年02月18日 | 詩歌
 蔵書を処分する前、ざっと読み返した1冊。
 本書は夏目漱石から石田波郷まで、近現代の俳人47家を収録。口絵写真に例えば「匠と鵜」あり、これをめぐって3句が紹介されている。

  鵜飼名を勘作と申し哀れ也  夏目漱石
  つかれ鵜のこゑごゑ鵜匠ききわけて  橋本多佳子
  昼の鵜や鵜匠頭(うしょうのかみ)の指ついばみ  西東三鬼

 漱石句の注にいわく、
 <「鵜飼名を」の句。明治28年作。漱石の句は古く明治22年の作から記録されているが、その多くは手なぐさみという程度にすぎない。漱石の俳句開眼は明治28年松山中学赴任以後といっていい。以下その当時の句。すでに漱石独自の世界を開いている。【安住敦】>

□『俳句集』(日本の詩歌30)(中央公論社、1970)
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 【参考】
【旅】岐阜 ~長良川~
  
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【南雲つぐみ】梅の季節

2017年02月18日 | 医療・保健・福祉・介護
 梅の開花時期は1月中旬から5月の初めまで。「梅は百花の魁(さきがけ)というそうで、春を彩る花々の先頭を切るようにして咲き、約3カ月間もかけて日本列島を北上していく。桜と違って咲き方も散り方もゆっくりなのだ。
 梅の名所は全国全国各地にある。日本三名園のひとつ、偕楽園(水戸市)には、約100品種、3,000本の梅が植えられている。品種によって開花時期が少しずつ違い、3月末ごろまでいろいろな梅を楽しめる。
 京都府城陽市の青谷梅林では約1万本の白梅が、和歌山県みなべ町の南部梅林では、高級銘柄の梅干しで知られる南高梅を中心に、約8万本が広大な敷地に咲き誇るそうだ。
 梅を描いた日本画の名作といえば、尾形光琳作の国宝「紅白梅図びょうぶ」。江戸時代に描かれたもので、最近、デジタル顕微鏡などで解析した結果、びょうぶ全体を占める金地には金箔が用いられていることが確認できたという。収蔵するMOA美術館(静岡県熱海市)では、梅の開花時期に合わせて2月と3月に一般公開している。

□南雲つぐみ(医学ライター)「梅の時期 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年2月11日)を引用
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 【参考】
【南雲つぐみ】皮膚の乾燥やかゆみ ~傾向と対策~
【南雲つぐみ】お菓子の日とビタミンB1
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【南雲つぐみ】皮膚の乾燥やかゆみ ~傾向と対策~

2017年02月17日 | 医療・保健・福祉・介護
 外気の湿度が30パーセント以下になると、皮膚の乾燥が起きやすいという。現代の生活では、エアコンやホットカーペットなどの暖房器具を使用し、キッチンや洗面所でもひんぱんにお湯を使うので、冬はさらに肌が乾燥しやすい状況なのだろう。
 女性は、手、指だけでなくウェストやもものつけ根、胸や背中もかゆみが起きやすい。これは下着やブラジャーの布地がこすれる部分だからだ。うっかりかいてしまうとさらなるかゆみを呼び、炎症を起こして赤黒いしみなどの原因にもなりやすいので、できるだけかかないようにケアしたい。
 米国皮膚科学会では、乾燥肌ケアについての皮膚科専門医のアドバイスを動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信している。ここでは、
 ①シャワーはぬるめのお湯でさっとすませる
 ②水分を丁寧に拭きとり、軟こうなどの保湿剤を塗る
 ③スキンケア製品には、制汗剤や香料など肌に刺激のある成分を含まないものを使う
 ④加湿器で部屋の乾燥を防ぐ
 ⑤荒れがひどいときは寝る前にワセリンを塗る、
などの対策が紹介されている。

□南雲つぐみ(医学ライター)「皮膚の乾燥やかゆみ ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年2月14日)を引用、一部改行変更
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 【参考】
【南雲つぐみ】お菓子の日とビタミンB1
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【南雲つぐみ】お菓子の日とビタミンB1

2017年02月17日 | 医療・保健・福祉・介護
 毎月15日はお菓子の日。全国菓子工業組合連合会が制定した。
 甘いお菓子は、脳の疲れを取るといわれる。脳を構成する神経細胞は、ブドウ糖をエネルギー源にしているからだ。ただし、食べた糖質を体内でブドウ糖に変換するためには、補酵素としてビタミンB1が必要になる。不足すると、糖質をエネルギーに変えられず太りやすく、倦怠感やイライラを起こしやすいという。
 ビタミンB1不足の典型的な症状は、江戸期から明治時代にかけて流行した脚気。特に都会暮らしで白米を食する者に流行したことから、「江戸わずらい」「大坂腫れ」と呼ばれたそうだ。
 栄養状態が改善した現在でも、偏食やアルコール依存症で飲酒を続けると、ビタミンB1不足によるウェルニッケ脳症が発症により昏睡や意識低下が起こることもある。
 ビタミンB1は、穀物の胚芽、豚肉、レバー、豆類などに含まれる。やはり脳の疲れを取るにも、バランスよい食生活が必要なのだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「スイーツとビタミン ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年2月15日)を引用
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 【参考】

【南雲つぐみ】お菓子の日とビタミンB1
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【佐藤優】沖縄報道の植民地主義的な認識 ~朝日新聞~

2017年02月16日 | ●大岡昇平
 (1)2017年1月31日から2月3日まで、翁長雄志・沖縄県知事が米国を訪問した。訪問の目的は、米海兵隊普天間飛行場の移設を口実とする辺野古(沖縄県名護市)への新基地建設を断念させることにあった。客観的に見て、この訪米は成果をあげた。
 <アメリカのワシントンを訪れている沖縄県の翁長知事はアメリカ議会の下院議員と相次いで面談し、アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設には多くの県民が反対していて工事は進まないなどとして、計画を見直すよう訴えました。
 アメリカのワシントンを訪れている沖縄県の翁長知事は、日本時間の1日夜遅くから2日朝にかけて、共和党の下院議員1人と外交委員会や軍事委員会などに所属する民主党の下院議員6人の合わせて7人と相次いで面談しました。
 面談の様子は公開されませんでしたが、翁長知事によりますと、この中でアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設について「多くの県民が反対していて、民意を大切にしないと日米安保体制が不安定になる。工事は順調にいっても10年かかるだろうし、そう簡単には進まない」と述べ、計画を見直すよう訴えたということです。
 これに対し、下院議員からはトランプ政権の外交・安全保障政策は、これから定まっていくだろうという見解などが示されたということです。
 翁長知事は記者団に対し、「相手の発言内容は明かせないが、長い人で1時間ぐらい議論ができた。多くの議員と面談でき、アメリカ議会には柔軟性があると思っている」と述べました。>【注1】

 (2)東京の外務本省は、ワシントンの日本大使館に極秘電報で「翁長知事と米要人との会談を妨害せよ」という訓令を送ったことだろう。中央政府の意向を受けたワシントンの日本大使館が陰湿な妨害活動を行ったにもかかわらず、7人の下院議員との会談が成立したのは大きな成果だ。沖縄県のワシントンにおけるロビー活動(そこには沖縄系米国人も大きな役割を果たしている)が力を持っている証拠だ。
 3日、ワシントンで行った記者会見んきおいて、翁長知事は、安倍晋三・首相と米国のマティス国防長官が沖縄の頭越しで、辺野古新基地推進を確認したことを弾劾した。沖縄が外交においても自己決定権を強化しつつあることの現れだ。
 <翁長知事は、マティス米国防長官と安倍晋三首相が会談で米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設推進を確認したことについて「辺野古が唯一の解決策という考え方に固執すると、日米安保体制に大きな禍根を残す」と強調した。その上で「今後も辺野古新基地建設反対を継続的に訴えていく。私の決意はかえって強くなっている」と述べ、移設阻止への決意を新たにした。 知事は会見で、日米両政府が自身の訪米中に辺野古移設を推進することで一致したことに対し「沖縄県民に対して大変失礼なやり方ではないか」と反発。「辺野古反対の大きな政治勢力がつくられ、選挙で世論も示されている。県民に対し強硬なやり方では(安保体制への)大きなダメージとなる」と指摘した。
 訪米に同行した稲嶺進名護市長も会見で、首相と国防長官の会談について「辺野古が唯一と言うが、根拠が全く説明されていない。絶対に県民は納得できない」と批判。「市長の権力を市民のために行使していきたい」と述べ、市長権限を駆使し移設阻止を目指す考えを改めて示した。
 知事は上下両院の連邦議員らとの面談を通じて、新基地建設など沖縄の基地問題への理解が深まったと総括。「ワシントン事務所を通じて、今回の面談で得られたネットワークを活用して、継続的に新基地問題を訴える」と強調した。>【注2】

 (3)しかし、朝日新聞を読むとまったく異なる印象を受ける。そもそも、「訪米の翁長知事、成果乏しく 政権有力者と会えず」と否定的な見出しを立てていることからして奇妙だ。外交上の成果とは、当初建てた目標をどの程度実現したかによって決まる。
 翁長知事は、米国の要人会見ではなく、同国の政治エリートとマスメディアに沖縄の基地問題を理解させることが目標だった。偏見に満ちた不愉快な記事だが、「朝日新聞」の沖縄観を示す資料として、敢えて執筆記者の姓名を含めて全文を引用しておく。
 <沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事が3日(日本時間4日)、訪米で予定された日程を終えた。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対をトランプ政権に訴える目的だったが、有力者には会えず、逆に米国防長官が入れ違いに訪日して辺野古移設推進を再確認する結果となった。
 「(面会者の)3分の1くらいは、沖縄の問題が出たら今日聞いたことを伝えて議論したいと言ってくれた。(過去と比べて)柔軟な議論が出来た」。3日夕、翁長知事はワシントンで会見し、成果を強調した。
 翁長氏が基地問題を訴える目的で訪米するのは、2014年末の就任以来3度目。今回は下院議員12人や政府機関の日本担当者らと面会したほか、大統領も参加する朝食会で、ティラーソン国務長官にも接触した。ただ、ティラーソン氏とはあいさつを交わした程度で、トランプ氏に近い議員らとの面会もできなかった。面会できた国務省の日本部長らは「辺野古が唯一の解決策」と日本政府と同じ見解を示した。
 翁長氏の周囲の状況は厳しさを増している。訪米のさなか、マティス米国防長官が来日して安倍晋三首相や稲田朋美防衛相らと会談し、「辺野古が唯一」を再確認。政府は今月6日にも辺野古の海上での新たな工事に着手する構えだ。
 足元も揺らぐ。側近中の側近だった安慶田(あげだ)光男氏が教員採用をめぐる口利き疑惑で副知事を辞任し、後任は空席のまま。1月には宮古島市長選で自身が支援した候補が敗れた。
 こうした状況に、県内からも冷ややかな声があがる。5日に告示される浦添市長選で自公が推す現職の集会に参加した中山義隆・石垣市長は「知事は訪米するより、政府に頭を下げて日本で国防長官に会わせてもらった方がいい」と皮肉った。
 今回の訪米で、辺野古移設阻止に向けた決意が「かえって強くなった」と語った翁長氏。ただ、辺野古移設を阻止する方法について問われると、「戦術は言えない」と明言しなかった。(小山謙太郎、ワシントン=吉田拓史)>【注3】

 (4)翁長氏の訪米と安慶田前副知事の疑惑は何の関係もない。
 また、中山石垣市長は、辺野古新基地建設推進を明言する中央政府に過剰同化した人物だ。
 この記事を読んだ読者は、翁長知事の権力基盤が脆弱で、しかも辺野古新基地建設を阻止する術を沖縄は持っていないという印象(実態から乖離している)を受ける。
 小山、吉田両記者の植民地主義的認識が滲み出ている。

 【注1】記事「訪米の翁長知事 米議員に基地移設計画の見直し訴え」(NHK NEWS ONLINE 2017年2月2日)
 【注2】記事「知事「安保に禍根」 新基地阻止訪米要請 辺野古強行、日米を批判」(琉球新報 2017年02月05日)
 【注3】記事「翁長知事、米で有力者に会えず マティス氏とは入れ違い」(朝日新聞デジタル 2017年2月4日)

□佐藤優「『朝日』沖縄報道の植民地主義的な認識 ~飛耳長目 第128回~」(「週刊金曜日」2017年2月10日号)
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【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
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【佐藤優】マティス国防長官来日/尖閣は安保適用の範囲/北方領土との整合性は

2017年02月15日 | ●佐藤優
 (1)2月3日、首相官邸で、安倍首相がトランプ米政権の閣僚として初来日したマティス国防長官と会談した。
 <会談は約50分間行われ、稲田朋美防衛相らが同席。首相は冒頭、「トランプ政権との間で日米同盟が揺るぎないことを内外に示していくことを確信している」と述べ、マティス氏は「100%米国は、首相と日本国民と肩を並べて歩みをともにすることに対し、一切誤解の余地がないものにしたい」と応じた。
 日本側の説明によると、会談では中国が活動を活発化させている東シナ海や南シナ海の情勢について懸念を共有。マティス氏が「尖閣諸島は日本の施政の下にある領域であり、安保条約5条の適用範囲だ」と明言し、「米国は、尖閣に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する」と表明した。>【注】

 (2)日米安保条約第5条は、次のように定める。
 <各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。>【注2】
 尖閣諸島は、日本の施政下にあるので、日米安保条約第5条の適用範囲になり、米国が日本と共同して防衛するというのは、当たり前のことだ。オバマ前大統領もこのことを認めていた。
 首相官邸と外務省は、マティス長官が尖閣諸島を日米安保条約の適用範囲と再確認したことを大きな成果のように演出しているが、このこと自体にニュース性はない。

 (3)ちなみに、米国は、尖閣諸島が日中いずれの国の主権下にあるかについては、態度を明確にしていない。つまり、現時点で尖閣諸島を日本が実効支配しているという事実は認めるが、これら諸島が日本領であることは認めていないのだ。
 米国は、中国が尖閣諸島に対する日本の実効支配を武力で覆すことは認めていないという立場を明確にしている。しかし、中国が釣魚諸島(尖閣諸島に係る中国側の呼称)を自国領と主張することに対して異議を申し立てていない。尖閣諸島に関して、米国は日本の立場を全面的に支持しているわけではないのだ。

 (4)安倍政権は、ロシアとの北方領土交渉を精力的に進めている。1956年の日ソ共同宣言に基づいて歯舞群島と色丹島が日本に引き渡されることになれば、この2島に対して日本の施政が及ぶようになるために安保条約5条が適用され、米軍が展開することが可能になる。
 しかし、日本に引き渡した後、歯舞群島と色丹島に米軍が展開する可能性があるということならば、プーチン露大統領が2島を日本に引き渡すことを拒否するだろう。
 日本政府としては、歯舞群島と色丹島は日本の施政下にあるが、米軍が展開することはないという仕組みを作る必要に迫られるが、このとき、尖閣諸島との整合性をどうつけるかが、大きな問題となるだろう。

 【注1】記事「マティス氏「尖閣は日米安保の適用範囲」 首相に明言」(朝日新聞デジタル 2017年2月4日)
 【注2】日米安保条約

□佐藤優「マティス国防長官来日/尖閣は安保適用の範囲/北方領土との整合性は/2.2-2.8 ~7DAYS/実践ニュース塾80~」(「AERA」2017年2月20日号)
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 【参考】
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【佐藤優】テロリズムに対する統一戦線構築 ~カトリックとロシア正教~
【佐藤優】北方領土「出口論」を安倍首相は訪露で訴えよ
【佐藤優】ラブロフ露外相の真意 ~日本政府が怒った「強硬発言」~
【佐藤優】プーチンが彼を「殺した」のか? ~英報告書の波紋~
【佐藤優】北朝鮮による核実験と辺野古基地問題
【佐藤優】サウジとイランと「国交断絶」の引き金になった男 ~ニムル師~

【佐藤優】矛盾したことを平気で言う「植民地担当相」 ~島尻安伊子~
【佐藤優】陰険で根暗な前任、人柄が悪くて能力のある新任 ~駐露大使~
【佐藤優】世界史の基礎を身につける法、決断力の磨き方
【佐藤優】国内で育ったテロリストは潰せない ~米国の排外主義的気運~
【佐藤優】沖縄が敗訴したら起きること ~辺野古代執行訴訟~
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【佐藤優】プーチンの「外交ゲーム」に呑まれて
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【佐藤優】『日本でテロが起きる日』まえがきと目次 ~日本でテロ(1)~
【佐藤優】小泉劇場と「戦後保守」・北方領土、反知性主義を脱構築
【佐藤優】【中東】「スリーパー」はテロの指令を待っている
【佐藤優】東京オリンピックに係るインテリジェンス ~知の武装・抄~
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【佐藤優】知的技術、情報を拾う・使う、知をビジネスに ~知の教室・抄(1)~
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【佐藤優】ネット右翼の終わり、解釈改憲のからくり、ナチスの戦争
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【佐藤優】聖地で起きた「大事故」 ~イランが怒る理由~
【佐藤優】テロ対策、特高の現実 ~知を磨く読書~
【佐藤優】フランスにイスラム教の政権が生まれたら恐怖 ~『服従』~
【佐藤優】ロシアを怒らせた安倍政権の「外交スタンス」
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【佐藤優】ロシアと提携して中国を索制するカードを失った
【佐藤優】中国政府の「神話」に敗れた日本
【佐藤優】日本外交の無力さが露呈 ~ロシア首相の北方領土訪問~
【佐藤優】「アンテナ」が壊れた官邸と外務省 ~北方領土問題~
【佐藤優】基地への見解違いすぎる ~沖縄と政府の集中協議~
【佐藤優】慌てる政府の稚拙な手法には動じない ~翁長雄志~
【佐藤優】安倍外交に立ちはだかる壁 ~ロシア~
【佐藤優】正しいのはオバマか、ネタニヤフか ~イランの核問題~
【佐藤優】日中を衝突させたい米国の思惑 ~安倍“暴走”内閣(10)~
【佐藤優】国際法を無視する安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(9)~
【佐藤優】日本に安保法制改正をやらせる米国 ~安倍“暴走”内閣(8)~
【佐藤優】民主主義と相性のよくない安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(7)~
【佐藤優】官僚の首根っこを押さえる内閣人事局 ~安倍“暴走”内閣(6)~
【佐藤優】円安を喜び、ルーブル安を危惧する日本人の愚劣 ~安倍“暴走”内閣(5)~
【佐藤優】中小企業100万社を潰す竹中平蔵 ~安倍“暴走”内閣(4)~
【佐藤優】自民党を操る米国の策謀 ~安倍“暴走”内閣(3)~
【佐藤優】自民党の全体主義的スローガン ~安倍“暴走”内閣(2)~
【佐藤優】安倍“暴走”内閣で窮地に立つ日本 ~安倍“暴走”内閣(1)~
【佐藤優】ある外務官僚の「嘘」 ~藤崎一郎・元駐米大使~
【佐藤優】自民党の沖縄差別 ~安倍政権の言論弾圧~
【書評】佐藤優『超したたか勉強術』
【佐藤優】脳の記憶容量を大きく変える技術 ~超したたか勉強術(2)~
【佐藤優】表現力と読解力を向上させる技術 ~超したたか勉強術~
【佐藤優】恐ろしい本 ~元少年Aの手記『絶歌』~
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【佐藤優】ロシアが警戒する日本とウクライナの「接近」 ~あれかこれか~
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【佐藤優】ハワイ州知事の「消極的対応」は本当か? ~沖縄~
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【佐藤優】日米安保(2) ~改訂のない適用範囲拡大は無理筋~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】外相の認識を問う ~プーチンからの「シグナル」~
【佐藤優】ヒラリーとオバマの「大きな違い」
【佐藤優】「自殺願望」で片付けるには重すぎる ~ドイツ機墜落~
【佐藤優】【沖縄】キャラウェイ高等弁務官と菅官房長官 ~「自治は神話」~
【佐藤優】戦勝70周年で甦ったソ連の「独裁者」 ~帝国主義の復活~
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【佐藤優】守られなかった「停戦合意」 ~ウクライナ~
【佐藤優】【ピケティ】『21世紀の資本』が避けている論点
【ピケティ】本では手薄な問題(旧植民地ほか) ~佐藤優によるインタビュー~
【佐藤優】優先順序は「イスラム国」かウクライナか ~ドイツの判断~
【佐藤優】ヨルダン政府に仕掛けた情報戦 ~「イスラム国」~
【佐藤優】ウクライナによる「歴史の見直し」をロシアが警戒 ~戦後70年~
【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 
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【季語】バレンタインデー

2017年02月14日 | 詩歌
 2月14日。この日は西暦270年、ローマの司教、聖バレンタイン(ヴァレンチノ)の殉教した日だが、アメリカの習慣が入り、夫婦や恋人間でハート型のチョコレートなどを贈ることがおこなわれるようになった。女性から恋を打ち明けてよい日とされ、若い人々の間では、近来チョコレートの贈物がますますさかんになってきた。この日から鳥が交りはじめるという。〈本意〉本来聖者殉教の祝日(カトリック)だが、男女相愛の日となって、チョコレートの売行きのさかんな日にかわった。

  バレンタインデーか中年は傷だらけ  稲垣きくの
  愛の日やコクトーの詩とチョコレート  富崎梨郷 
  老教師菓子受くバレンタインデー*  村尾香苗

□平井照敏・編『新歳時記(春)』(河出文庫、1989)の「バレンタインデー」を引用(例句は8句中3句を抄出)
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【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理

2017年02月14日 | ●佐藤優
   
 ①ジョン・クリーズ(安原和見・訳)『モンティ・バイソンができるまで ジョン・クリーズ自伝』(早川書房 3,400円)
 ②兵藤裕己・校注『太平記 6』(岩波文庫 1,010円)
 ③小野田博一『人工知能はいかにして強くなるのか? 対戦型AIで学ぶ基本のしくみ』(講談社ブルーバックス 1,000円)

 (1)①は、英国のコメディアングループ「モンティ・バイソン」を作った著者の自伝。洞察力に富む。
 <これは広く認められた真理だが、最もすぐれた物まね芸人には、みょうに個性の薄い人が多いものだ。おそらく強烈な個性が欠けているからこそ、自分の人格に邪魔されることなく、簡単に他人の人格を身にまとうことができるのだろう。(中略)一流の物まね芸人の超高感度の観察眼を、私は心から尊敬している。かれらはきわめて精密に、声の出しかたや抑揚、話すリズム、顔の表情や身ぶり手ぶりなど、ちょっとした、しかし独特なくせをすべて観察し、それを正確に再現できる。しかしその反面、かれらが他人を細かく観察するのは、そこに「借りる」ことのできるもの、自分自身の人格構造に組み入れることのできるものを、無意識のうちに探しているのではないかと思わずにはいられない>
 個性が欠けていることが有利になるというのが物まね芸人と潜入工作員(スパイ)の共通点だ。

 (2)③で岩波文庫の新版太平記は完成した。各巻に付された兵藤氏の解説が興味深い。次の指摘は、まさにその通りだ。
 <近世の身分制社会から近代の国民国家への移行が、明治期にあれほど速やかに行われた背景にも、幕末の尊攘派の志士たち(および明治の民権・国権論者たち)によって鼓吹された「国体」の観念が存在しただろう。「四民平等」の国民国家は、福沢諭吉らの啓蒙活動よりも以前に、すでに藤田幽谷や会沢正志らによって構想されていたのだが、それはくりかえしいえば、『大日本史』の論賛の削除を画期的とした、水戸の名分論史学の位相的な転換によってみちびかれた日本型のネーション・ステートの思想だった>
 
 (3)③は、将棋、チェスなどの対戦型AI(人工知能)の原理を分かりやすく記している。
 〈例〉深層学習に係る説明は次のとおり。
 <深層学習とは、ラフに言えば、多くの変数を使った回帰分析や判別分析などの計算をコンピューターにさせることです。単に「分析」というのと「深層学習」とのニュアンスの違いは「主成分分析などで特徴量を抽出することなども含めて、機械任せにはせずに分析者が主となって解析を行うのが「分析」です>
 このように基本概念を丁寧に解説してあるので、理数系に苦手意識を持っている読者でも読了することができ、本書によってAIの基礎知識を得ることができる。

□佐藤優「物まね芸人とスパイの共通点 ~知を磨く読書 第186回~」(「週刊ダイヤモンド」2017年2月18日号)
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 【参考】
【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~
【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い
【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~
【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論
【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~
【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教
【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議
【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所
【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~
【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国
【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~
【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化
【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築
【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品
【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~
【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~
【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州
【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない
【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~
【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防
【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口
【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交
【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化
【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方
【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性
【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~
【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要
【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国
【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化
【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方
【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~
【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次
【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築
【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序
【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話
【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント
【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟
【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~
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【佐藤優】ねこはすごい、アゼルバイジャン、クンデラの官僚を描く小説
【佐藤優】外交官の論理力、安倍政権と共産党、研究不正が起きるシステム
【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞
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【佐藤優】資本主義の内在的論理
【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源
【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学
【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」
佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本
【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論
【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落
【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!
【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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【南雲つぐみ】午の時刻、方位、初午の名物料理

2017年02月14日 | 医療・保健・福祉・介護
 立春を過ぎて最初の午の日が、初午。今年は2月12日にあたる。今でも「正午」というように、和時計では午は昼の12時前後の2時間を指す。方位でいえば南。初午は、特に陽光が強く、運気の高まる日だという。
 初午に稲荷神社のお祭りが行われる。稲荷神社の総本社である京都伏見稲荷大社に、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)が初午の日に降臨したという言い伝えが残ることが由来だそうだ。この神様について、日本書紀ではイザナギとイザナミの子どもとされていて、国造りに疲れて、おなかが空いている時に生まれたと書かれている。穀物神、農業神としての役割を担っているのだ。また全国各地で稲荷神社の使いであるキツネにちなんだいなりずしや、初午団子など、初午にはいろいろな名物料理が用意されている。
 栃木県には「しもつかれ」という郷土料理がある。サケのアラや大豆、野菜類に、おろしたダイコンやニンジン、酒かす、酢を混ぜて煮る。味つけは各家庭で違い、「七軒のしもつかれを食べれば風邪をひかない」という言い伝えもあるそうだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「初午 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年2月12日)を引用
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 【参考】
【南雲つぐみ】添加物が気になる時 ~ワカメのみそ汁の効果~
【南雲つぐみ】揺さぶりに注意 ~赤ちゃんの脳震盪や硬膜下出血~
【南雲つぐみ】喉あめの効果 ~唾液分泌~
【南雲つぐみ】静電気を防ぐには ~綿や麻は電子を帯びにくい~
【南雲つぐみ】目の温浴 ~蒸しタオル~
【南雲つぐみ】海苔の日 ~「海の緑黄色野菜」~
【南雲つぐみ】大豆とエクオールは女性にとって健康の秘訣 ~今日は節分~
【南雲つぐみ】体の痛みが示すもの ~臓器の健康~
【南雲つぐみ】飲む乳酸菌の役割 ~明日2月3日は「乳酸菌の日」~
【南雲つぐみ】マスクで花粉症の予防 ~ダイエットにもなる~
【南雲つぐみ】寒灸の習慣 ~関節の痛みやこりを和らげる~
【南雲つぐみ】タイの天ぷら ~徳川家康の死因考~
【南雲つぐみ】アボカドの栄養とその調理法
【南雲つぐみ】フェリチンに注目 ~貧血対策~
【南雲つぐみ】ショウガを飲む ~その薬効~
【南雲つぐみ】ナマコとコノワタ ~三河湾では今が旬~
【南雲つぐみ】寒たまご ~1日2個以上も可~
【南雲つぐみ】安納芋の栄養価と味わい ~焼くか蒸す~
【南雲つぐみ】小正月には小豆がゆ ~むくみによる体重増の対策~
【南雲つぐみ】「おなかの風邪」の予防と事後処理 ~ノロウイルス、「ロタウイルス」~
【南雲つぐみ】食事制限だけのダイエットは危険 ~運動が大事~
【南雲つぐみ】温泉の安全な入り方
【南雲つぐみ】七草がゆ
ミカンのうんちく ~延命長寿の果実~
【南雲つぐみ】鍋で養生 ~今年1月5日は小寒~
【南雲つぐみ】お雑煮の食べ方 ~事故の防止法~

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【南雲つぐみ】添加物が気になる時 ~ワカメのみそ汁の効果~

2017年02月13日 | 医療・保健・福祉・介護
 忙しかったり、あるいは一人分作るのも面倒だったりする時は、弁当や総菜が手軽に買えるスーパーやコンビニの存在がありがたい。ただ、でき合いの総菜やレトルト食品などは塩分や添加物や残留農薬が気になる。
 日本では「ポジティブリスト制度」がある。すべての農薬に残留基準を設け、一定量以上含まれる食品の流通を原則禁止するもので、添加物や残留農薬の安全な使用基準が設定されている。
 増尾清著「農薬・添加物はわが家で落とせた」(青春出版社、961円)によると、「コンビニ弁当を食べる時は、ワカメのみそ汁も添えるといい」という。発酵食品のみそには腸内を整え免疫力を高め、原材料の大豆は強い抗酸化力を持つポリフェノールが含まれる。これにワカメを入れれば、カルシウムや食物繊維、解毒作用があるというビタミンA、C、Eを含むので、弁当や総菜に使われるリン酸塩などの害を消してくれるそうだ。
 ご飯には赤しそのふりかけや焼きのりを添えるといい。ビタミンCやカリウムに、体内の塩分調整や免疫力アップの働きが期待できるからだ。 

□南雲つぐみ(医学ライター)「添加物が気になる時 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年1月27日)を引用
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 【参考】

【南雲つぐみ】添加物が気になる時 ~ワカメのみそ汁の効果~
【南雲つぐみ】揺さぶりに注意 ~赤ちゃんの脳震盪や硬膜下出血~
【南雲つぐみ】喉あめの効果 ~唾液分泌~
【南雲つぐみ】静電気を防ぐには ~綿や麻は電子を帯びにくい~
【南雲つぐみ】目の温浴 ~蒸しタオル~
【南雲つぐみ】海苔の日 ~「海の緑黄色野菜」~
【南雲つぐみ】大豆とエクオールは女性にとって健康の秘訣 ~今日は節分~
【南雲つぐみ】体の痛みが示すもの ~臓器の健康~
【南雲つぐみ】飲む乳酸菌の役割 ~明日2月3日は「乳酸菌の日」~
【南雲つぐみ】マスクで花粉症の予防 ~ダイエットにもなる~
【南雲つぐみ】寒灸の習慣 ~関節の痛みやこりを和らげる~
【南雲つぐみ】タイの天ぷら ~徳川家康の死因考~
【南雲つぐみ】アボカドの栄養とその調理法
【南雲つぐみ】フェリチンに注目 ~貧血対策~
【南雲つぐみ】ショウガを飲む ~その薬効~
【南雲つぐみ】ナマコとコノワタ ~三河湾では今が旬~
【南雲つぐみ】寒たまご ~1日2個以上も可~
【南雲つぐみ】安納芋の栄養価と味わい ~焼くか蒸す~
【南雲つぐみ】小正月には小豆がゆ ~むくみによる体重増の対策~
【南雲つぐみ】「おなかの風邪」の予防と事後処理 ~ノロウイルス、「ロタウイルス」~
【南雲つぐみ】食事制限だけのダイエットは危険 ~運動が大事~
【南雲つぐみ】温泉の安全な入り方
【南雲つぐみ】七草がゆ
ミカンのうんちく ~延命長寿の果実~
【南雲つぐみ】鍋で養生 ~今年1月5日は小寒~
【南雲つぐみ】お雑煮の食べ方 ~事故の防止法~

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【南雲つぐみ】揺さぶりに注意 ~赤ちゃんの脳震盪や硬膜下出血~

2017年02月12日 | 医療・保健・福祉・介護
 30年も昔、生後3ヵ月の子どもをベビーカーに寝かせて外出しようとして、近所の女性に「赤ちゃんはまだ脳ができあがっていないから、そんなものに乗せてゆすったらダメだ」と叱られた。しかし当時の育児書にも記載はなく、私は非科学的な話だと思った。
 90年代後半に「乳児揺さぶられ症候群」が話題になり、あの指摘は正しかったと知った。なぜ昔の人は知っていたのだろう。
 厚生労働省によれば首が座っていない赤ちゃんの頭は「頭蓋骨の中に脳が浮かんでいるような」状態だそうだ。それが揺さぶられると、頭蓋骨の中で脳が動くことでズレが生じ、脳を覆う硬膜に張りめぐらされた血管や神経が引きちぎれる。これが赤ちゃんの脳震盪や硬膜下出血の原因になる。
 筋力が弱ったり、血管がもろくなったりした高齢者も、同様の事故が起きるという。転んで軽く頭がぶつかった拍子に慢性硬膜下出血が起こり、何日もたってから手足のまひや意識障害などの症状に出ることもある。周囲の人も優しいケアを心掛けたいものだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「揺さぶりに注意 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年1月29日)を引用
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【南雲つぐみ】喉あめの効果 ~唾液分泌~
【南雲つぐみ】静電気を防ぐには ~綿や麻は電子を帯びにくい~
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【南雲つぐみ】寒たまご ~1日2個以上も可~
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【中桐雅夫】High Noon

2017年02月12日 | 詩歌
 勇敢な男は立っていた
 丘のうえの高い一本の樹のように
 しっかり根をはって
 正午を待っていた
 静かだ、死が来る前の静かさだ
 時々、小川のせせらぎがきこえる
 「川というものには
 悲しさと嬉しさがまじっている」
 勇敢な男は拳銃をとった
 彼を愛している者は誰もなく
 彼が愛している者は彼から去った
 真夏の灼けつく土
 時計の音を失った時の地帯で
 ただ一人、四人の敵を待っている
 彼の心臓はぷつぷつと炎の泡を吹いた
 大海のように荒れ、また凪いだ
 火薬の匂いが軒下をはっていた
 勇敢な男の任務は終わり
 蝉が鳴いた
 あわてて教会の鐘が鳴った
 彼は急に自分の背が低くなったことに気づいた
 水道の栓をひねり
 すこしの水が喉を流れていった時
 彼は生命の流れていくのを知った

 *

  <「High Noon」(『中桐雅夫詩集』より)。この詩人には、前の二作のように形而上学的な主題を追求したやや観念性の
濃い作品の他に、直接あるいは間接的な体験に基づき、具体的な場面(シチュエーション)を設定して物語的に書かれた作品の系列がある。「High Noon」は、そうした系列の詩の中でもっとも成功したものの一つで、フレッド・ジンネマン監督の西部劇映画の名作「真昼の決闘」(原題名「High Noon」)に内容を借りている。
 --ゲイリー・クーパー扮する主人公ウィル・ケインが保安官の任期を終え、妻を迎えて町を去ろうとする日に、かつて彼が牢獄へ送った無法者とその仲間が彼を狙って町にやってくる。ウィルは既にブリキの記章を町長に返しているので町を去ってもかまわないのだが、彼の良心と正義感が彼を町にとどまらせる。花嫁の反対と町の人々の非協力とをよそに、ウィルは真昼を期して挑まれた1対4の決闘に挑み遂に4人の敵を倒す。
 これが映画「真昼の決闘」のあらすじだが、この映画を見た見ないに関係なく、この詩はこの詩として十分に味わえる。それだけの詩作品としての独立性をこの詩は持っている。第一連・第二連には、決闘の時が迫るのを待っている「勇敢な男」の心理的な緊迫感が、第三連には、敵を倒した後に男に戻ってきた日常感覚が、それぞれ鮮やかに定着されている。特にこの詩の魅力は第三連にあり、決闘が終って緊張がゆるむと同時に、蝉が啼き教会の鐘が鳴ったのに気づく、あるいは自分の背が急に低くなったように感ずるというあたり、さらに咽喉を流れる水を生命の流れていくように感ずるというところなどは、実に心にくいばかりである。【小海永二】>

□中桐雅夫「High Noon」(村野四郎・解説『現代詩集 ~日本の詩歌30~』(中央公論社、1970)
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