円の外へ

20070121開設/中学高校国語授業指導案/中学校学級経営案/発達症対応/生活指導/行事委員会指導

20120503どうか一人で

2012-05-03 12:15:24 | 2012年度雑記
冗談かと思ったら本物だった。
どうか一人の部屋で、手を止めて見て聞いてください。

鉄拳パラパラマンガ「振り子」オリジナルバージョン
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20120501GWなか日

2012-05-01 20:06:49 | 2012年度雑記
GWなか日

高3Xは軽~く、磁石方式で指なぞりを1枚やったがとても辛そうだった。
高3Yは同じことを遊ぶように飛びながらやった。
高1は始まったとたん「なんで今日は学校休みじゃないんですか」と言う。
「俺が聞きたいよ~」と答えた。
すぐに帰りたい人、と言うと全員うなずいたが、
授業後は「もう終わり?」に99パーセントが手を挙げた。
高2は6校時で、部屋に入ると半分突っぷして寝ていた。
感想は以下のとおり。彼らは何者? 
去年始めて見た馬鹿でかい高2が、今年のクラスでは小さく可愛く見える。不思議だ。

<高2・本日六回目授業感想>
1 とっても楽しかったです。現代文がますます好きになりました。
2 今日もやっぱり楽しかったです!!いつもありがとうございます
  GWはおまつり行ったよ♡
3 今日も楽しかった!5月3日・5日に大会があります!
  先生応援して下さいね♪ちなみに**部です!笑
4 GWに旅行に行こうかと思ってます。
  なので、オススメの場所を教えて下さい。
5 最近「mix」にハマっています。
  曲のオケと、歌声を合わせたり、エフェクトをつけたりするやつです。
  PCでやるんですけど、すっごい楽しいです。
  近々ニコニコ動画にあがると思うんで良かったら聴いてください(笑)
  今日も楽しかったです。
6 この前Black&Whiteを見ました。
  GWにディズニーに行きました。今日はねむかったです。
7 丸つけコンビとの読みあいがたのしい!
8 楽しい! あっという間に終了した
  友達んちお泊りして焼肉Partyした♡
9 先生の授業を受けるとねむくても、目がさめる!!
  GWは部活の大会があった
10 今日は早くじゅぎょうがおわったかんじがしました!
  つまり、たのしかったです!♡
  ゴールデンウィークはまるまるバ**です
11 愛してる。
12 丸つけコンビ、今もたのしいけどどーせなら(以下略)
13 GW「ぼくらがいた」みてきました!!
14 今日も楽しい授業をありがとうございます。
15 眠気が覚めました。
16 詩の一文が比喩になっているのを考えたりするのは、
  当てられるように考えるから、授業をただ聞くだけじゃなくて楽しいです。
  (注:和歌、でした。・・・たえて桜のなかりせば春の心は・・・)
17 I like Japanese.
18 めっちゃねむかったケド頑張っておきてました。
19 今日も楽しかった。これからもきたいしてます
20 漢字の覚え方が分かった
21 一緒に寝た。(笑)(注:?)
22 今日も楽しかったです。
23 前の授業はものすごいねむかったけど、ねむけがさめた。
24 ねむい お金なくてズーラシア行った
25 ようつうが激しくなった
26 前の授業はすごくねむかったけど、ねむけがふっとんだ!
  本当、先生の授業たのしい♡
27 GWなので少しダルかったです。
  だけど授業は楽しかったです。午後の授業はキツイ。
28 サマーウォーズって映画が個人的にNo1なのでDVD見てみて下さい。
29 漢字テスト満点でした やったね!(注:指なぞ10問やったことかな)
30 今日も楽しく授業をうけられました
31(白紙)



昨日までに、映画館で33回映画を観た。『Black&White』観るべし。
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20120413中1はすぐ忘れる

2012-04-13 22:13:01 | 2012年度雑記
昨日は中2の女子

が二人職員室に来ていた。
他の用事だったが、
「異教徒せんせ~」
と大きな声で呼んで手を振った。出入り口からは大声でないと僕の席まで届かない。
僕は立ち上がって歩いて行った。
「久しぶりだね」
「はい」
一人は一番口の達者なおしゃまな女子で、もう一人は賢いがボケチャンピオンだ。
二人とも僕に用事があるわけではないから少し間があく。
僕は他の大人に聞こえないよう口に手を添えて言った。
「……悲しくなっちゃうから、中学生の校舎には行かないようにしてんだよ」
すると、おしゃまは大きくうしろに飛びのいて、
「あ、ごめんなさい、ごめんなさい」
「いや、いいんだよ、いいんだよ、来てくれるのは」
これが、素直な育ちのよい中2の女子の気の遣い方なのだ。
はぁ、こういう賢さもあるのかと思った。
「あの、時間割配られたとき、異教徒先生いないいない、
 いなくなっちゃったのって、探したんです。
 そしたら、お兄ちゃんが、これじゃない、って指さしたら、
 上のほうにあって」
「お兄ちゃん、何年生」
「あ、もう卒業しちゃいました」
「ああ」
家でそんな会話があったのだ。
もうひと言、僕は恥ずかしい大人の心境を二人に小声で伝えた。
それは、言えない。
もう一人の賢いボケ担当はスピードについて来られず聞いている。
「今度のA先生もいいでしょ」
賢いボケ担当が答えた。
「はい。A先生、言ってました。
 前の異教徒先生やB先生みたいに上手に教えられないかもしれないけどって」
こういう言葉を中学2年生はちゃんと覚えている。
謙虚な言葉を理解して、尊重するのだ。
「そう。いいこと言うね。
 それに、A先生は若くてイケメンだから僕よりいいでしょ」
「……」
ちょうどそこへ、若イケのA先生がやってきた。
「何、話してるんですか」
「いや、やっぱり、若くてイケメンの先生のほうがいいらしいですよ。ねっ」
ボケ担当は、
「いえ、あの、なんて答えたらいいかわかんなくて」
「またまたぁ、A先生のほうがいいんでしょ」
おしゃまが、
「ん? これがイケメンですかね」
ツンツンとA先生のお腹をパンチする。
もう少しからかってから僕は前日の男子と同じように言って手を振った。
「ありがとう。またおいで」


あとで、Aさんがやってきた。
「なんか、やばいこと言ってましたか?」
「全然」
「あ……。そうですか」
当然心配だ。僕と授業を比べられるのだ。
三日前、彼の方から生徒の授業感想を見せてくれた。
どうしたらもっとうまくいくか、遠慮なく書いてくれ、と言ったそうだ。
すると、一人は、異教徒先生に教えてもらったらどうですか、と書いていた。
二人で笑った。
「あのね。中学生はみんな若い先生が大好き。
 だから、A先生でよかったって思ってる子がたくさんいるわけ。
 それに、小さい子ほど、すぐ忘れちゃうの。
 一緒に遊んで、じゃあねバイバイって背を向けたらそのまんま。
 なんにも心配することない」
「そうですか」
Aさんはすこし笑顔になる。
「それとね。ねらいどおり、さっきの女子が言ってましたよ。
 A先生が、前の先生みたいにうまくできないけど頑張るから、って言ってたって。
 そういうこと、覚えてんだよ。
 謙虚に素直に接したら、わかる賢い子ばかりだから」
Aさんとは、とにかくわからないとき見栄を張らないで行こう、と相談してあった。
Aさんは、来たときよりずいぶん安心した顔で遠くの席に戻った。


僕はこの日、完全に目が覚めた。
中学1年生はすぐ忘れる。
そんなことは三十年近くで、何度も思い知らされていた。
それなのに、俺が教えなければなどと思い上がっていた。
今まで会ったことのないほど、優秀で可愛い生徒だったからだ。
前述し忘れたが、Aさんにはこうも言った。
「俺は親にならなかったけどね。
 愛情というのは、いつも、大人から子供に対するほうが強いものです。
 だから、子供はこっちが考えているほど、こっちのことは想ってない。
 子供はいつもすぐ飽きて、新しいものを求めているんです」
自分に言い聞かせていた。
愛は盲目だ。
これは男女、親子に限らない普遍的な法則だ。

授業で会った、高校1年も2年も3年もとても可愛い。
歳を取るのはいいことだ。
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20120411なぜ。なぜ。なぜ。

2012-04-12 09:27:28 | 2012年度雑記
授業開始日。

四校時が終わり職員室に戻ると、中2の男子が一人立っていた。
「おお」
「あ」
彼は口下手だ。
魯迅ではないが、彼の口からは次から次へ数珠つなぎのように言葉があふれそうに見えた。
「どうした」
「あ、あの、いるかなと思って来たら、いなくて」
彼が言えたのはそれだけだった。
なぜ。なぜ。なぜ。なぜ……。
口のうまい生徒なら彼は多くのことを尋ねたはずだ。
だが、二人で顔を見合わせたまま、少しの時間が過ぎた。
「また、いつでもおいで」
「はい。じゃあ」
そして、彼は教室へ戻って行った。
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20120410‐2見たことのないもののために

2012-04-10 19:10:17 | 2012年度雑記

『いつ倒れるかは問題ではない。

 地位や金や友情も問題ではない。

 見たことのない、何か別のもののために走るのだ』


(「走れモロス」の一節より」)
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20120410‐1正しい修練と清潔な精神

2012-04-10 19:07:00 | 2012年度雑記
二題



相棒と呼んだ同僚は理由は定かではありませんが退職しました。
残念です。
中堅の男性でした。
彼はきっと僕の技術を飲み込んでくれると信じていました。
しかし、信頼すべき人物でした。
必ず人生の成功を収めるでしょう。
「成功」とは、正しい修練と清潔な精神だけに支えられるものです。
彼はそれを持つ人でした。
特に教育の仕事では。
彼が違う職業に就いても、成功の意味は同じはずです。



今朝の電車通勤でのことです。
僕は大きな荷物を持ち、いつもどおり恐ろしく見えるらしい顔で座っていました。
出入り口のすぐ隣でした。
二駅過ぎると、杖を突きカタコトと歩く年配男性が乗車しました。
瞬間、僕は席を立ち、男性の耳近くで、
「どうぞ」
と言い席から離れました。
男性は軽く礼の仕草をして座りました。
軽くしか動作できないからです。
日本人がこのような譲り方をするのをほとんど見た記憶がありません。
しかし、欧米人と思われる、少女から巨体の米兵まで、国外の人が譲るのは何度も見ました。
その瞬間に立つ。
なんのてらいもない。
当たり前の様にその後の動作に不自然さがない。
僕は彼らから学びました。
日本人は、譲るときなんだかんだ言い訳をします。
「次の駅で降りるんで」
「立ったほうが楽なんで」
電車の席の話は、散々書いたので、またかと思われるでしょう。
いいんです。
僕は今日、座席のすぐそばでつり革につかまり、立ちました。
二つ先の駅で降りる動作を見せました。
すると、僕からは右下に見える年配男性は、かぶっていたやわらかい帽子を手で脱いで上げました。
僕は目の端に止めましたが、そのままドアに向かい重心を傾けました。
男性は伝わらなかったと思ったのか、腰から折って頭を下げてくださいました。
僕は今日たまたまニコリとできない心情だったので、恐ろしい顔のまま頭を下げ返しました。
そのまま、電車の出口を出ました。


電車の年配男性の話は自慢ではない。
日本人の恥を書いたのだ。
戦後、何度かの岐路で日本人は間違え続けた。
今は、金持ちも貧しい人も余裕がない。
自分を守るので精一杯だ。
僕は、腰から頭を下げてくださった男性を見て思った。
きっと、いつも譲ってくれる人がいないのだ。
そうでなければ、今日のような礼をしてくださるはずがない。
学校も同じだ。
大人の教員は自分の生活を守るので精一杯で、他人を育てる余裕がない。

しかし、年配男性のように、正しい行ないを、開いた目で見てくださるかたも必ずいる。
正しく目を開いて見る人は、権威から遠い人たちだ。
体が弱かったり、収入や境遇に恵まれなかったりする人たちだ。
だからこそ、正しく清潔な授業を続けることは重要だ。
生徒は間違いなく、正しい授業さえ続ければ、信頼と尊敬を寄せてくれる。
教員の中にも、妬むだけでなく、口に出さずとも信頼して下さる人もいるはずだ。
大人は、間違いなく、と言えないのが難しい。

権威を手に入れた人間は腐敗する。
たいして大きくもない権威を守ろうと、ずるく汚くなる。
不思議だ。
古今東西の真理だからだ。

僕は高校の授業でも、正しく原則どおりの授業をすると決めた。
予想では、その結果、来年の仕事はなくなるだろう。
とてもわかりにくい文章だが、わかりにくく書くしかない。
僕はこの4月から、中学校の授業はない。
三十年近く、中学校の授業に徹して修練してきた。
なぜ今度中学校の授業がないのか理由は不明だ。
不明と書くしかない。

友人が最近言った。
「正しく原則どおり授業したら、またいやな目に合うだろう」
「いいんだ。
 間違ったことをして、仕事を長らえるより、正しい授業で尊敬と信頼を勝ち取ればよい。
 最後の一年なら、なおさら正しく授業すべきだ。
 それで、なんの後悔もない」
「そうだ・・・そうだな」


明日から授業が始まる。
高校1年から3年まで4クラスすべての授業がある。
29年間温めた詩の授業を、4クラスすべてで行う予定だ。
とても、楽しみだ。
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丸太

2012-03-11 21:33:23 | 2012年度雑記
2012年3月11日

金城一紀の言うように、世界が正常に近づく話をしよう。
一年生に書道展に誘われた。
日にちによるな、と言ったら翌日、授業の前に案内ハガキを持ってきた。
ひかえめな男子なのでよほど来てほしいのだろう。
僕は約束したら必ず守るので返事は慎重だ。
見ると、よく知ったビルでいつもの散歩道だ。
行くと約束した。
約束をした翌週、10日の土曜日がいいんですけど、と言いに来た。
その日なら僕もお母さんもいるんです、と言う。
いいよいいよ、と答えた。
お母さんにも会って欲しいのだ。
書道が好きだったのだな。
きっと得意なんだな。
彼は最初の指名なし討論で、いちばん最後に残り、言えません言えませんと渋った生徒なのだから。
おととい9日金曜日の授業で、先生来れますか、と確かめに来た。
行けるよ、明日でしょ。
え、いえ、11日がいいって言ったんですけど。
あ、聞き間違えたね、日曜日だね、大丈夫。
入り口に、えっと、名前とか書くところがあります。
わかった、お昼ごろだと思うよ。
ますます行くしかなくなった。

今日がその3月11日だ。
僕はこの二週間、無駄に毎日疲れ果て今日もなかなか起き上がれなかった。
眠くて眠くてたまらない。
午前10時に合わせた目覚ましの針を、11時に進め、12時に進め、やっと起き上がった。
行かないわけにはいかない。
去年と同じように、風は冷たいがよく晴れて気持ちのよい午後だった。
電車の中で14時46分が過ぎると少しほっとした。
同じような気持ちの人がたくさんいるのだろうなと思った。
現地の人には無意味な時刻だろうとも思った。

三十年間なじみのビルに入る。
三階に受け付けがある。
毛筆で下手くそな氏名を書く。
中に入ると見事な毛筆が並んで賞が付いている。
想像以上の大きな書道展だ。
三階を奥に進むと階段があり、下に中二階の広いフロアーがある。
そこが子供の展覧会場だ。
つい立ての間に二十畳ほどの紙が敷きつめられ、フロアーは大人子供でいっぱいだ。
子供は並んで、字を書く順番を待っている。
役員らしい大人が新聞紙を大きく開いて置き、その上に同じ大きさの半紙を置く。
順番が来ると、子供は大人のすねほど大きな筆で一枚書く。
見せ場ですね。
その子供の見せ場に偶然出会わせたたらしい。
よく見ると、A君も並んでいる。
クラスの男子が二人いる。
上からのほうがよく見えるので、僕はそのまま階段の上にいる。
すると、彼らは気づいて頭を下げる。
友人二人は上がって来る。
「A君も書くの」
「はい。国語満点って書くって言ってます」
「……国語満点って。変だろ」
「しかも、国語のコクって、点は右だっけ左だっけって聞いてました」
「ガハハハ」

書かれる巨大な毛筆は「春」とか「桜」とか一字で季節に合わせている。
同じように、春、桜、春、桜、の文字が役員の手で並べて乾かされる。
それを周りで、保護者と役員の大人が見ている。
書き終わると、みんなで拍手してあげる。
いい感じだ。
でも、国語満点は変だろう。
「ちょっとさあ、みんな、春とか桜とか書いてるのに、国語満点って書いたら完全に浮くよね」
「でも、もしかしたら数学満点って書くかもしれません」
「よけいおかしいだろ」
「国、まで書いて、やっぱり数学かなと、国数満点と書くかもしれません」
「おかしいだろ!」

そうこうするうち、A君の番が来る。
馬鹿でかい筆を両手で持ち、役員が差し出すバケツに突っ込んで墨をつける。
A君はよいしょ、と筆を持ち上げる。
縦棒一本。
横棒を引いて角をつけると下に曲げる。
ほんとに、コク、かよ。
僕は前に立ちふさがった親爺をかき分けると一画一画を見つめた。
「四文字は無理ですよね」
とA君の友人が言う。
無理だ、無理に決まっている。
墨を四度つけ足して彼は書き終えた。

 国
 語 


完全に浮いている。
なぜ、春、桜に混じって国語と書くのか誰にもわからない。
不可解な拍手が起こる。

僕はそこでやっと中二階に降りてお母さんにご挨拶し、A君に声をかけた。
その後子供の展示を見ると、A君は特選だった。
別に同じ名字の女子の作品があったので妹の書だとわかった。
大人の部を見直すとまた同じ名字のお母さんと思われる素晴らしい奨励賞の作品があった。
来て欲しかったわけだ。

帰ろうとしてもう一度、中二階に僕は降りた。
友人二人が、先生これからどこ行くんですか、と尋ねた。
映画を観に行くよ、と答えた。
すると、A君は丸太ほど大きな新聞紙の筒を僕に手渡した。
「おみやげに」
とA君は天使のような笑顔で言った。
お母さんが、
「すみませんねえ荷物になって」
と言った。
「いえいえ、ありがとうございます」
と僕は言った。
丸太の中には、さっきの馬鹿でかい、ちょっと下手くそな[国語]の半紙が巻いてあるのだった。
そんなことは言われなくてもわかった。
日曜日の午後、五十歳のおじさんが映画を観に行くには少しだけ大きすぎるおみやげだった。
おもしろすぎたが、そこでは笑えなかった。

彼らは受け付けのそばまで送ってくれた。
ここでいいよ、と言うと僕は階段を降りた。
A君は二階まで降りた見えない僕に向かって大きな声で、
「HYOKO先生、ありがとうございました。また、あした」
と叫んだ。
声は階段に響き渡る。
僕は、
「また、あしたね」
と返事を返した。
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いつでもいい 何もいらない20120101

2012-01-01 02:19:18 | 2012年度雑記
2012/1/1up全ページ目次
いつでもいい 何もいらない20120101
作成日20120101 02:19:18
:歳の正月が来るとは思わなかった。
一度も想像しなかったことが現実になった。おまけの時間はもう充分もらった。酒池肉林も極めた。酒はいらない。くれると言ってもいらない。ご馳走もごめんだ。明日から豆腐と野菜ジュースだけで過ごせと言われても平気だ。本当にできる。今もそれに近い。時々アジフライと豆大福があれば天国だ。女性も……女性は素敵な人が来れば拒まない。それが礼儀というものだ。

死ぬ前にもう一度授業もできた。
しかも、日本にまだこんな可愛いnoが残っていたのかという子たちに会った。しかも極めて優秀だ。二十八年間で最高の授業が毎日積み上げられていく。授業ほど楽しくて価値ある仕事はそうそうない。かなわないのはお医者さんくらいだ。仕事を紹介してくれた知人は命の恩人だ。あの世へ行ったら取り憑いて守ってさし上げよう。

爪は研いである。
粗食であること。テレビを捨てたこと。金がないこと。孤独であること。姿かたちに恵まれないこと。志が残っていること。払い続ける代償が爪を鋭くしてくれる。だからまだ力は伸びていく。爪は研いでおくことだ。

2012年が今日始まった。もういつでもいい。どこでもいい。できれば授業の途中で倒れて一瞬でイクのが一番いい。ただひとつの欲は犬を飼うことだ。名前も決まっている。だが飼い犬が死んでしまうのを想像しただけで泣けてくるから駄目だ。飼わないほうがいい。何もいらないということだ。
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