校内授業研究会/中学3年
■20**年6月30日(木)6校時/2:15~3:05(50分間)
■市立**中学校/3年1組(33人)/3-1教室
1 教材 詩 スイッチョ 原田直友
2 指導計画(全1時間)
時 指導内容
1 適切な音読と、話者の心情の動きの読み取り。
3 教材について
(1)先行実践の追試である。元実践は小5対象だが、中3にも充分耐えうる内容を持つ。
(2)言葉は易しいが哀愁を感じる。最後の一行が中3なりに理解できるかどうかが勝負である。
(3)15行4連の中に「読解力」「話す聞く力」を試す要素を含んでいる。
4 授業クラスについて
(1)1年生の時から国語のセンスに優れ、雰囲気も良い。
(2)学習リーダーが男子に数人おり、女子は素直に取り組む。3年になりユーモアも理解できる。
(3)教材の詩で「話す聞く活動」「考えさせる活動」をさせたいと思わせるクラスである。
5 本時の指導事項
(1)指示・発問に対して進んで作業と回答ができる。(関心意欲態度)
(2)話者がスイッチョを買った心情を理解することができるようになる。(読む力)
(3)詩の心理描写を表す音読ができるようになる。(話す聞く力)
6 本時の評価
(1)全員が進んで作業・思考を行なったか。
(2)「ノート記入」と「発言」により、話者の心情を想像できたか。
(3)半数以上の生徒に「音読」させ、個別評価することができたか。
7 本時の指導内容
TOSS郡山 小野一豊――石岡・佐々木実践の追試=小学校5年2時間扱い――
の変形追試
20**年6月30日(木)6校時・3年1組33人
●5行目までと、解答欄が記入してあるワークシート用意。
指示1 全員起立。ろうか、うしろ、窓、黒板。四回読む間に、題名を考えなさい。始め。 |
・ワークシートには5行目まで書いてある。音読している間に板書。
板書
( )
1 夜店でスイッチョを売っていた
2 長い足が一本とれていますから
3 ぼっちゃんおやすくしておきますよ
4 とおじさんがいった
5 ぼくは 買ってきたのではなかった
・1番に書きなさいは、ワークシートの1番の下の空欄に書けということ。
・スイッチョ。何のことだか問う。鳴き声から由来する呼び名。
・コピーで画像を見せる。馬おい虫。
・題名から、五行目まで一人指名して読ませる。
指示2 今の読み方はいいんじゃないかと言う人○。ダメじゃないかなという人×。ノートに書きなさい。 |
・「丸をつけた人は、もう**君に進歩はないという人ですね。」
発問2 この中でせりふのカギがつくのは、どの行ですか。2番に番号を書きなさい。。 |
・2と3。
発問3 3行目はどんなこに気をつけて読めばいいですか。
(ぼっちゃんおやすくしておきますよ) |
・何人か指名。惜しい、すごいと評価。
・(ぼっちゃん、のあとの間。ぼっちゃん、のやさしさ。)
指示3 (先ほどの生徒を指名)もう一度読んでください。 |
・拍手で激励。
・「さっきよりほんの少しでもうまくなったと思ったら大きな拍手。
すごくうまくなったと思ったらものすごい拍手。」
・「とれていますから」「ぼっちゃん」「しておきますよ」から
ていねいさ・やさしさを感じる。
発問4 ぼくは、と、買ってきたのではなかったの間に入る言葉を想像して書きなさい。3番。 |
・書けたら挙手。一列指名。「安いので」
・ぼく。
発問6 ぼくは安いので買ってきたのではなかった、とありますが、では、なぜ買ったのだと思いますか。書けたら持ってきなさい。5番。 |
・○付け。時間で切る。立たせて発表。
・「答えは考えておいてください。」で進む。
板書
6 おなかがすいたのか
7 スイッチョはきゅうりをよくたべた
8 軒につるしておいた
9 スイッチョはいくら待っても鳴かなかった
10 あきらめて床にはいると
11
・意味確認して板書。「軒」屋根の下の張り出した部分。「床」寝床。ふとん。
発問7 11行目に入る言葉を書きなさい。6番。書けたら手を挙げます。 |
・一列指名して発表。良い個別評価をしながら聞く。
・ただ、「鳴いた」というだけの生徒には、「どんなふうに」かを問う。
板書
11 ふいにいい声で鳴きだした
12 よしお鳴いているよ
発問8 よしお鳴いているよ。誰が言ったと思いますか。 |
・理由を問う。
・一列指名して読ませる。
窓側半分→廊下側半分→廊下側半分→窓側半分の順に読ませる。
・個別評価。
・さっと板書に移る。
板書
13 お母さんが小声でいったが
14 ぼくはだまっていた
15 心なしかその声は であった
発問10 なぜ、お母さんは小声で言ったのですか。8番。 |
・数人指名。スイッチョを驚かせないために。
・スイッチョが鳴くのをやめてしまうから。
・一列指名して、採点。
よしお、の後の間。全体の声のささやくような大きさ。
発問11 ぼくはだまっていた、のはなぜだと思いますか。9番。 |
・書けたら挙手。数人発表。テンポ良く。
・「考え事をしていたから(何を?)」
・「スイッチョの鳴き声を聞いていたかったから」
・オープンエンド。
★又は、「お母さんが小声でいったが」「ぼくはだまっていた」とあるが、
A お母さんに答えるのがいやだった
B スイッチョの声を聞いていたかった
C 何か考え事をしていた
発問12 「その声」は誰の声ですか。書きなさい。10番。 |
・スイッチョ。
・(お母さん、という生徒が出るはず。理由をサッと問うてから、正解)
発問13 「心なしか」は気のせいか、
はっきりした理由はないがそんな気がして、という意味です。
その声は、のあとに入る言葉を書きなさい。11番。 |
・書けたら挙手。発表。板書。人数確認。意見発表。
・(不適切なものを消し、時間により指名なし発表)
発問14 5行目に戻ります。ぼくはなぜスイッチョを買ったのだと思いますか。 |
・数人発表させる。
・「あわれ」
①かわいそうで、悲しくなる気持ち。
②みじめで、みすぼらしい様子。 ……ここでは①。
発問15 なぜ、スイッチョの声を「あわれ」と感じたのですか。12番。 |
・書かせて、指名なし発表。又は、提出。
・全員で斉読させる。
・感想を書かせる。
スイッチョ 原田 直友
夜店でスイッチョを売っていた
長い足が一本とれていますから
ぼっちゃんお安くしておきますよ
とおじさんがいった
ぼくは安いので買ってきたのではなかった
おなかがすいたのか
スイッチョはきゅうりをよくたべた
軒につるしておいた
スイッチョはいくら待っても鳴かなかった
あきらめて床にはいると
ふいにいい声で鳴きだした
よしお鳴いているよ
お母さんが小声でいったが
ぼくはだまっていた
心なしかその声はあわれであった。
8 授業研修会の留意点
■授業中のお願い■
・授業者の勉強のために、授業評価の点数をはっきりつけてください。
・生徒に話しかけないでください。
(援助もアドバイスも注意もしないでください。
寝ていても、他のことをしていても、
それに対処することのできない、
授業者の授業評価として、感想欄にご記入下さい)
(1)●授業の点数化●
①授業の技量を伸ばすためには授業を技術として見て、点数化しか方法はない。
②今回の授業でも「授業評価表」を作り、点数化していただく。
③点数化するためには、授業評価の観点がいる。
④「教科」「学年」「経験」によって、観点は変わる。
⑤したがって、当面は授業者自身が評価してもらいたい観点を、研究授業ごとに作るしかないと考えている。
(2)●10秒延びるごとに1点減点●
①点数化の減点項目として「授業は延ばさない」ことを入れる。
「自己評価用紙記入」や技能教科の「教具の片付け」も含めて
時間内で終わることが、「授業は延ばさない」ということである。
②終了チャイムが鳴ってもまだしゃべり続けたとしても、
「生徒の頭はもう授業に向かっていないので効果がなく」
「生徒の休み時間を奪う」ことになる。次の授業や学級活動にも影響する。
③60秒延びたら6点減点、2分延びたら12点減点していただく。
④授業を1秒延ばさないと意識するだけで授業の質は変わる。
(3)●「本時の目標」は不要●(野口芳宏氏による)
①必要なのは「指導事項」である。
本時の目標はあいまいで事後評価しにくい。
②具体的な「指導事項」が達成されたかどうかを検討すべき。
(但し、これは同じ教科内の研究会に限るだろう。)
(4)●指導案の無駄を省く●(市毛勝雄氏による)
①「教材について」「指導目標」は、「すべて一行」で「三項目」と決める。
②形式・分量を限定することにより、必要なことだけを文章化することができる。
③書く人、見る人の労力の軽減になる。
●授業評価用紙●
20**年6月30日(木)**中学校校内授業研・授業者
国語・3-1「スイッチョ」
記入者:教科[ ]/お名前( )
研修会の最後にご提出いただきます。ご協力お願いします。
<授業点評価>
No 項目 点数 評があれば
1 授業の始まり15秒間のつかみ(無駄な事を言わない、しない)3・2・1
2 むだな言葉がない(えー、あー、他、苦しまぎれに言う言葉)3・2・1
3 むだな動きがない(ふらふらする、何かいじる、むだに歩く)3・2・1
4 発問・指示がはっきりと聞こえる・分かる3・2・1
5 生徒の作業と思考に空白がない(秒単位で見る)3・2・1
6 生徒の活動量が多い(書く・話す・聞く・考えるも含む)3・2・1
7 生徒が全員参加している3・2・1
8 知的な楽しさがある3・2・1
9 内容がわかりやすい3・2・1
10 発問・指示のテンポが良い3・2・1
11 生徒が熱中した(仕方なく参加しているように見えたら減点)3・2・1
12 指導事項が達成された3・2・1
13 本時一時間で生徒に力がついた3・2・1
14 指導事項に教えるべき意味があった3・2・1
小計( )点
15 終了チャイムと同時に授業を終わる(感想記入なども)
チャイム鳴り終わりから「10秒」延びるごとにマイナス1点
超過( )秒/マイナス( )点
本時の合計点( )点/42点
|
<感想・コメント>(授業の流れ・生徒の動き・指導案内容等について)
ありがとうございました
スイッチョ授業研究会意見
20**年6月30日(木) |
Q K君が寝ていたのに気づいたか
→気づかなかった。(言い訳:指名すると答えたのだ。直立不動で座っていたのだ…)
Q K2君は普段どうなのか。
→すごく良くやっている。
Q ポイントカードに100点、70点と書かせたが、そのまま使うのか。
→使わない。
◇ 授業の点数化については、自分がされることを考えると覚悟がいる。
Q 普段も立ったり座ったりさせているのか。
→させている。
Q なぜ、読み方が良くなったのか。
→「15点―85点―100点―100点」の原則
Q ポイントカードの評価における重みは。
Q 授業後の評価はどうしているか。
◇ 間違いを間違いとはっきり言っていたのが良い。
◇ 実物(スイッチョ)を見せることが大事。
→(国語ではよく問題になる点)
◇ もっと難しい作品、高度な発問をすべきだった。
◇ 意見対立をさせなかったがなぜか。
→あえて今日はそういう授業にした。
Q 「だまっていた」をA、B、Cの選択肢で軽く選ばせてしまったが、
もっと重く扱うべきだったのではないか。
→そのとおり。
「だまっていた」がこの詩の最も重要なひと言だと研究にはある。
だが、今回は最後の一行にたどり着くためにわざと切った。
Q テンポを良くするにはどうすればいいのか。
→まずは無駄なことばを言わないこと。
Q 板書が少なかったが。
→いつもより多いほう。
Q テンポが良いこと、早く書かせることはいいが
ついていけない生徒はどうするのか。
→放っておく。待たない。待たないほうが学力はつく。
待たないことでテンポも良くなる。
◇ 動きが多かった。
Q いつも前に立ったままなのか。 →そうです。それが一番良く見える。
Q 詩の感想は書かせないのか。書かせるとしたら使い方は。
→感想に評価は不可能。感想文は書かせない。
書かせても五重丸つけるだけ。
作文は別で評価項目を明確にするので生徒もいやにはならない。
◇ よしお鳴いているよ、がそろって美しかった。
◇ また、それをうまく読ませるためのポイントを生徒に言わせたのが良かった。
Q 追試とは何か。
◇ もっと難しい作品に挑戦すべきだった。
◇ 教師と生徒のいい関係が見られた。
担任でない分、いいところを見てあげているのがわかる。
◇ 今日の授業には満点をつけるしかない。
これ以上の評価を求めるとすれば、
評価基準をもっと厳しく作り直すしかない。
◇ 最後の教師の朗読によって、生徒を納得させることができた。
◇ 生徒の動きの形ができている。
◇ 授業参観の時①前から見るべき②一人の生徒に注目して変化を見る③生徒が他の生徒にどう対応したかを見る。
◇ もっと深く心情を追求する授業に挑戦せよ。
◇ (番外KP先生)スイッチョって鳥だと思った。
スイッチョ君ていう名前の鳥。かわいいでしょ。