円の外へ

20070121開設/中学高校国語授業指導案/中学校学級経営案/発達症対応/生活指導/行事委員会指導

世の中に怖いものなんてなかったですよ

2015-02-20 18:24:40 | 2014年度雑記
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2015-02-20
自分のことは、いちばんわからないという話である。

「傭兵さん。
 おれ、中学のとき世の中に怖いものなんてなかったですよ」

僕にダイビングを教えてくれたインストラクターはそう言った。
彼は僕が出会った中で最も頭が良く、最も悪い人間だ。
他校との闘争に明け暮れた、中学生のときの話を聞いた。
隣りの学校から、チュウボウが攻めこんでくる。
彼をはじめとする闘士たちが、校舎を出て、走って迎え撃つ。
まあ、これは普通ですね。
それ以外の悪事はここに書けない。
頭の良さは書けるが、長くなるのでやめる。
僕は、彼はきっと日本の歴史に名を残す人になると思っていた。
彼にもそう言った。
だがアラフィフの今、彼は娘たちと妻に囲まれ、悠々とサーフィンを楽しんでいる。

「前から嫌いだったけどもっと嫌いになった!!!」
最近の授業中の冒頭、小さなきっかけで中学生が言った。
その瞬発力、勢いと表現力。
優秀なのだ。
僕はその子の目を見て言った。
「そうかぁ。好き嫌いは仕方ないな。段落交代読みをします。向かい合って」
「今日の問題はけっこう難しい。・・・書いたら持って来なさい」
まあ、つまり何もなかったように授業を進めたんですね。
生徒は次々ノートを持ってくる。
僕は次々マルをつけて返す。
その子、もどんどん持ってくる。
中学1年生。
13歳。
彼らは自分が言ったことを三日後には忘れる。
僕も13歳の2月に何をしたか、言ったかなんて何も覚えていない。
その子、が僕を好きか嫌いかはどうにもならず、どうでもいい。
授業をきちんと受ければそれでよい。
ただ今優秀なその子が、将来何者になるか、誰も知らない。


[自分が何者か。それが人生最大の問題だ]
言ったのが誰か忘れてしまった。
[朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり]
毎日そう思う。

蛇足。
僕は毎時間、授業感想を書かせている。1分間で済む。
誰かがやたらたてつく授業のあとに限って、たいてい誰かがフォローを書いてくれる。
(今日も楽しかったです)
(先生の授業はいつも楽しいです)
そして。
(&%$#最近、やたらに反抗するようになった)
&%$#、誰がのところは消してある。
中学生同士には、相手が何を考えているか、理解できない。
男子には、一生、女子が何を考えているか、理解できない。

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代金を払う客にありがとうを強制的に言わせる職業

2015-02-18 17:57:11 | 2014年度雑記
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2015-02-18
僕は転職経験がある。対面の接客業だ。
また、カネを払いその道のプロに、パソコン・硬式テニス・ダイビングなどを習った。
ガッコウのキョウインとは、全くレベルの違う本物のプロがいると、僕はカネを払って学んだ。
だから「ありがとうございます」と礼を言うのは「客」か「プロ」か分かる。

「客」は代金を払う。
代わりに、物やサービスを受ける。
「プロ」は心身と技術を使いこなす。
代わりに、代金を受け取る。


「ありがとうございます」と礼を言うのは「客」か「プロ」か。
日本には不思議なことにこの答えに迷う職業の人がいる。

今日の授業で、二人の生徒が毎日使う漢字プリントを忘れた。
プリントがない、と言う。
当然僕は余分を持っている。
当然「自分で取りに来なさい」と答える。
付け足して「「いつもの通りサッサと自分で来なさい・怒るわけないんだから」と言う。
無言で戻ろうとする二人に「ありがとうございますと言いなさい」と言う。
二人は言って戻る。

「ありがとうございますと言いなさい」
と、生徒に言う。これは教育だ。

オレのような鼻糞に言わせるためではない。
作法・様式・思想を教える「教育」だ。
ところが、本気で自分自身に礼を言わせる教員がいるらしい。

教員は自分が数えきれないほど忘れ物をするくせに、生徒の忘れ物には厳しい。
僕もそうだった。
二十代の頃は、キョウカショヲワスレタオマエガワルイ・ダマッテキイテイロ、と言った。
鼻糞授業素人が、困っている生徒に、ここぞとばかり偉そうに言ったのだ。
今は、即、僕の教科書を貸し、音読が終わったら隣の生徒をのぞかせる。

習ったテニスのコーチも、ダイビングのインストラクターも、怒鳴ったことは一度もない。
静かに、こうしなさい、と言う。
やり方を具体的に教える。
次々、ボールを繰り出す、息を吸う吐くのをやらせる。
できるまでやめない。
静かに、たいていニコニコして「もう一回。もう一回。もう一回。・・・もっとゆっくり・速く」と言う。
コーチは怒鳴らないけど、レッスンが終わると僕は立ち上がれないほど、疲労している。
できると、ガッコウジュギョウ・ブカツドウでは見たことのないほど「一緒に喜んで」くれる。
そして、僕は代金を払う。
コーチは求めないが、僕は思わず「ありがとうございました」と言う。

特にダイビングは、一回一回が生き死にに関わる遊びだ。
でも、指導でインストラクターは怒鳴らない。
「根性」「気合」なんて一度も言ったことはない。
そんなもので、命を守るスキルは習得できないからだ。
ダイバーには、インストラクターは本当に神様に見える。
自分もできない、教え方も分からなない素人が「教える」など想像もできない。
ダイビング団体の絶対の決まりに、こう明記してある。
「インストラクター以外は、教えてはならない」

授業・学級経営・生活指導の仕方、などの指導方法。
どの「指導方法」の訓練も受けないまま、教員は仕事を始める。
仕事がうまくいくほうが、どうかしてる。
うまくいかなければ、素人なのだから教員から謝るのが当然だ。
だって、カネを受け取っているのだ。
自腹を切るボランティアなら、少しは別の話だ。

だが、幸か不幸か相手が子供だ。
無理が通って、通りが引っ込む。
「わからないのか! 無駄なおしゃべりをするな! なぜAさんはできるのに、B、お前はできない!」
・・・あたしBだけど? 授業がわかんないからしゃべるんだよ。わかんねえのかっ。
   できないよ。できないからカネ払って来てんだろっ!!! わかんねえのかっ。
   あんたは代金・給料もらってんだろっ。わからせろっ。

代金を払い、出来なくて困っているから来る客。
それが生徒だ。
給料を得て、プロとして、出来ないから来ている客に代金の代わりに知識・技能をお返しする。
それが教員だ。
「生徒」が代金を払い、代価として「教員」が教育する。

「ありがとうございました」
と言うのはどちらなのか、なんだかさっぱりわからない毎日だ。

最後の授業で感想を書かせよう・教師の人格が表れるから
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最後の授業で感想を書かせよう・教師の人格が表れるから

2015-02-18 17:46:40 | 中高国語など指導案
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2015-02-18
そろそろ、授業最後のひとコマ、の時間が来る。
最後の授業で感想を書かせよう。
教員は皆行なっていて、これこそ釈迦に説法だろうから恐縮である。
ただ、書かせ方にも色々あるだろう。

1紙の大きさは
   名刺半分サイズ・名刺サイズ・B6・B5?
2体裁は
   白紙のままか・罫線を引くか・縦書き横書きか・枠線を書くか?
3書かせる時期は
   最後のひとコマで書かせる・一週間前、前日に書かせる?
4紙に何を書いておくか [これはものすごく大きな影響がある]
   ●白紙?
   ●何かひと言書いておく?
   「一年間の授業感想」
   「最後に授業感想を書いて下さい」
   「1年間の授業が終わります。
    思ったこと・気づいたこと・考えたこと・言いたいこと 
    を書いて下さい。来年からの授業の勉強にさせて頂きます」
   ●僕は、枠の最後に「ご協力有り難うございました」と書いておく。
   ●「言いたいこと」のひと言で、生徒の書く内容が広がる。
    思わぬことを書いてくれることがある。良くも悪くも。
5記名か無記名か
   僕は年取ってからは無記名で書かせている。
   生徒が文句を、又は逆に、照れくさいいいことを、書きやすいように。
   「いつもどおり僕が読むだけだから」と言う。
   それを生徒が信じるかどうかが、僕に対する人物評価になる。
   口には絶対出さないが、生徒はこいつは信用できる・できないを判断する。
   そして、授業者に合わせて、都合よく書く。
6アンケート形式か文章か
   4番にも書いたが、若いときはアンケート形式を使ったような気がする。
   詳細は忘れた。
   最初は、自分が何をできて何をできなかったか、さっぱり分からなかったからだ。
   アンケートの項目は要するに今、生徒にどう思われているか知りたいものを作る。

他にも、アンケートというものには、アンケートをする人物の思想がよく表れるものだ。

① 書かせる前に口で「書け」と言うのか「書いて下さい」とお願いするのか。
② 書かせる前に「100時間も下手な授業でごめんなさい」と言うのか
  「お前らの反省を書け」と言うのか。
③ 書かせる前に「悪いこと書いたら分かってんな」とか言う人には二種類ある。
   A 生徒の絶大な信頼を得ていて、冗談・照れ隠しで言う。生徒はほほ笑んで聞く。
   B 暴言と圧力の授業を一年間続けて、本気で脅す。生徒は背筋を伸ばして無表情。

かくして、たかが「授業感想」にも、プロの教師の人たちにも、色々な手立てがあるようだ。

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そういう記録を競ってはいけない

2015-02-16 19:05:19 | 2014年度雑記
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2015-02-16
https://twitter.com/yaozat 本業:小学校教員
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尻馬に乗って

2015-02-14 17:39:34 | 2014年度雑記
2015-02-14
尻馬に乗って、名無しで、コノケンを画像で引用。
僕の世代は、コノケンで本当に怖い目に、嫌がらせにあった。
変わるのかな。

https://twitter.com/mayuko4460 より


https://twitter.com/RyoUchida_RIRIS より
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マイケルたん5・音読と授業準備

2015-02-12 21:05:13 | 中高国語など指導案
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マイケルたん5・音読と授業準備
2015-02-12
マイケルたん音読と授業準備2015-02-11 20:46:25
▶1▶
■傭兵■『僕は「指名なし音読」は苦手というか、好みでなくて行ないません。
音読が苦手な生徒を拾い上げにくい、ような気がします。褒めるタイミングも難しいです。』
なんとなくですが、わかります。
僕も指名なし音読を始めたばかりなので、僕自身がまだ飽きていないことが大きい気がします。
もう少ししたら、別の方法をとるかもしれません。

▶2▶
■傭兵■『僕の音読指導については、「音読指導の技術26」で書いたとおりです。』
大変参考になります。音読は奥が深いですね。

▶3▶ 
■傭兵■『僕もどんな教材でも「音読」から授業に入ります。』
これは、傭兵さんの記事を読んで、やっぱり、そうか、と納得したことです。
(授業での)音読は頭をクリアにする、そんな気がしていました。
また、休み時間に寝ていた生徒を起こす役割も果たしますよねw

▶4▶
■傭兵■『あえて言ってみますが、食事を錠剤を飲んで済ませるのに似たような気もします。』
おっしゃる通りですw
僕は、昔何かで読んだ、次のような一節が頭に残っています。
「世の中で最も知的な職業とは何か?宇宙工工学者?物理学者?医者?弁護士?
それは、作家だ。作家に必要なものは、ペン一本だ」
実際には、事実とは異なると思うのですが、好きな言葉です。
僕は、できるだけ、余計なものを使わずに授業をしたいと考えています。
プリントは、ほとんど使いません。
短冊も、PCもその他、装置も何も使いたくないです。
授業の腕だけで、生徒に満足を与えられるようになりたいです。

▶5▶
■傭兵■『「電子黒板?」も使っているのですか?』
使っていません。有効に使えるのであれば、使ってもいいと考えています。
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勉強会2月例会報告・転載

2015-02-12 07:53:34 | 2014年度雑記
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2015-02-12
おなじみの?勉強会報告・転載です。
幹事のD先生が、見事にまとめてくださいました。

勉強会当日、時間前に着きました。
若手K先生がいて少し話しました。
 ●国語勉強会をいくつも見学している。
 ●どれも、偉い先生が一人いて、講釈をうける形だ。
 ●前回12月のように、ケンケンガクガクと意見を言い合うのはない。

そうなのかと思いました。
そんな官制研修のような勉強会はダメだと思いました。

+++[転載ここから]+++
■1 A先生より
①生徒の理解を助ける映像の力
「流氷と私たちの暮らし」導入で流氷を知らない生徒がいたことに触れ
NHkスペシャルを編集した映像を見せたとのこと。
文章から受け取るイメージが映像によってより明確になりました。
アイスアルジーから始まる壮大な食物連鎖映像の力を感じました。
②タブレットとプロジェクターの活用続編です。
・古文暗唱。少しずつ消していき暗唱させる方法。
 黒板でやるより遙かにいいですね。きれい。
・映し出される物と生徒のプリントは同一のものであること
 がよいことは分かっているのですが、
 映す情報量とプリントの情報量のバランスの取り方が難しいです。
・デジカメで撮ったプリントを投影して、白板で答え合わせをする。
 いい方法ですが、投影される画像の文字が小さくなるのが難点ですね。

  電子黒板も含め、こういう機器を使った授業は、固定した教室を教師が持っていて,
  生徒が移動してくる欧米の学校ではより有効だろうが、施
  設面で日本の現状では難しい面が多いのではという意見もありました。

■2 B先生より
ディベート実践の紹介。興味深い論題のご紹介、立論等の例示のあるシート。
大変参考になりました。
20年近く前にやったきり、避けて通っていましたが、
来年度は挑戦してみようと思いました。

■3 C先生より
「流氷と私たちの暮らし」授業の記録紹介。
最終段階で全文要約に取り組ませたとのこと。

■4 D先生(サークル幹事)より
傭兵先生のブログから「群読入門」と「面白作文」
を追試させていただいた報告をしました。両方とも生徒は喜んで食いつきます。
ぜひお薦めします。
ブログ「空の箱」これからも拝見して参考にさせていただきます。
3年生を送る会の群読原稿とビデオを見ていただき、
原稿の手直し、300名の声を合わせさせるコツ、ソロの生徒の発声の指導法など
多くのアドバイスを頂きました。
早めにお見せしてよかったです。

■5 傭兵先生より
若い先生への指導の実際。この若い先生はラッキーですね。
「少年の日の思い出」での討論の1時間の記録と分析を拝見。
自分の授業を、授業を分析できる力のある方に見てもらう。
これほど授業の腕が上がることはないだろうと思います。
自分の授業を録音録画して振り返ることは、私など恐ろしいと感じてしまいますが
やらなくてはいけないことですよね。
+++[転載ここまで]+++
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マイケルたん4・活動的な授業について考える8項目

2015-02-11 18:14:38 | 中高国語など指導案
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2015-02-11
マイケルたん4・活動的な授業について考える8項目
参照 マイケルたん・2015-02-09 20:18:42コメント 

▲1▲傭兵さん、
今自分のコメントを読み返して思ったんですが、僕は根本的に
「活動的な授業」
というものを自分の都合で勝手に解釈していたような部分がある気がします。
皆、勝手に解釈しているんです。
『99・9%は仮説思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書・700円)』読みましたか?
「死」以外のすべての現象は仮説・解釈です。
指名なし「発表」と「討論」の違い・判別も曖昧です。
だから、質問・意見・反論が生まれて楽しいのです。


▲2▲傭兵さんと、レヴェルの違う意味合いで「活動的な授業」を捉えていたようです。
そういう意味では、嫌な角度からの返答になってしまった気がして、恐縮です。
コメント返信欄に書いたのですが、
「活動的な授業」のとらえ方は、僕とマイケルたんで、ほぼ一致しているのでは?


▲3▲違う話題ですが、今日、次の単元の授業を考えていたんですが、
ネット等で巷の先生方がされている授業の指導案を見て、
あまりに自分が行っている授業と違うことに、自分自身で畏れ慄いてしまいました。
※ 前回お断りした通り、読者を意識して脱線しますがご容赦下さい。
①「単元」という言葉に意味があるのでしょうか?
  僕は校内研・市内研で、指導案に一度も使ったことがなく、誰も困ったことがありません。
  単元、なんて言葉、世の中の誰がわかりますかね?
  教員だから答えらえる人がいるとして、生徒の学力に役に立つでしょうか。
  「教材」とは違いますか。「次に授業する文章」とは違いますか。
  エライヒトは使うでしょうが、現場で意味がありますかね。
②ネットで授業研究
  巷で話題の通り、すまほ、以外でネットを使わない人が多いようです。
  若い人に多い。
  ぼくの同世代の年寄りにも多い。
  それでは、授業研究は「絶対に」できません。
  パソコンでいくつかのキーワードごとに、数十の記事を検索する。
  合わせて、百数十から数百の記事をどんどん開く。
  必要な記事をお気に入りに入れる。
  お気に入りを読み返し、整理・捨てて、必要な部分をコピーする。
  最後に、自分の解釈を書き加える。
  すまほ、でできるはずがありません。
  マイケルたんもPCネットで、空の箱に来てくださったはずです。
  どんな方法で授業研究していますか? 大事なことですね。 


▲4▲すごいワークシート、人物像や気持ちの移り変わりをまとめる緻密な授業。
そんな授業したこともないし、する自信もないです。
なんだか年表みたいのを作る授業でしょうか。
僕もできません。


▲5▲それに比べると、今日やった授業は、範読し、感想を書かせ、全員指名なし発表。
おおざっぱといえば大雑把ですが、生徒が思考し、力をつけるという意味では、
決して上記のような授業内容に劣っていないと思うのです。
「範読・感想書き・発表」はおおざっぱではありません。
ひとコマでできるようになるのは、生徒にとって価値があり、教師にとって難しいことです。


▲6▲僕は、国語の授業の目指すところは、一言で言えば、
「どれだけ、生徒が教科書を読み込んだか」
が目安になると考えています。
「どれだけ、生徒が教科書を読み込んだか」
が大切なのは、そのとおりだと思います。
討論の授業の良い所は、うまくいけばですが、
生徒は穴のあくほど細かい表現を、そして思いもかけない前後の文章の表現を、
論拠として探し出すことです。
「読解力をつける」とは、そういう作業ではないでしょうか。


▲7▲時間制限をし、全員発表を予告して感想を書かせている間、
生徒は教科書をめくり、何度もくりかえし黙読していました。
地味ですが、こんな作業の中で、生徒は読む力をつけているのだと思います。
(ちなみに、前回は数名の生徒が発表できずに残り、仕方なく最後に立たせて発表しましたが、今回は全員できました・・!)
(1)地味
思考は地味なものです。
見ても分かりにくい。分かる人にしか見えない。
「発表・討論」後、参観教員が
「発言しない生徒がいていいのか」
と訊くことがあります。
いいんです、と答えます。
生徒の発言を聞く生徒の頭はフル回転しています。
討論の直後の
「討論についての作文=見本はちゃんと書く」
を読めば分かります。
一度しか発言しない生徒が、抜群の作文を書くことが度々あります。
発言は多い生徒が、作文には書けないことが多くあります。
それが「討論」のいいところです。
教員は、生徒の「腕の見せどころ」を、いくつも作ってあげなければなりません。

(2)全員できました!
マイケルたんは、冷静な「書きぶり」をします。
ここで初めて、感情あふれる表現をなさいました。
生徒が次々立つ。
つまらないことをひと言だけ言う。 
 (このひと言を喜ぶ国語教員かどうかが道を分けます)

驚くような、予想を越えたすごいことを言う。 
 (どんな鈍感な大人も喜ぶ)
二度、三度と立つ。
もっと言いたいと言う。
生徒は普通、はやく授業終わんないかなあ、というものです。
でも、討論のときは違う。
マイケルたん。・・・生徒が全員、自分で立って発表したら感激しますよね。


▲8▲討論の授業も、未経験ですが、おそらく生徒たちはかなり教科書を読み込まないと、実現できないと思います。だからこそそれは、すばらしい実践なのではないかと直観しています。
指名なし発表をはじめたばかりですが、回数を重ねるごとに手ごたえを感じ、
指名なし討論もいずれ実現できるような気がしはじめています。がんばりたいです。
楽しいだけでは授業として不十分、と前回書きました。
しかし「楽しさ」のレベルはピンキリです。
条件がそろえば、五色百人一首・超楽しいレクより、討論が楽しかったと生徒は言います。

大事なのは、指名なし討論は「道具」の一つにすぎないということです。
授業の目的ではありません。

生徒の学力を向上させるための、一つの道具です。
知的好奇心をかきたて、何度やってもあきず、次第に深く速くなる。
目立たぬ友達が、思わぬ発言をする。
ひと言も言わなかった生徒が、びっくりする作文を書いて選ばれる。
指名なし、でなくてもいいはずです。
でも、討論には、生徒を育てるたくさんの力があります。
けれど、なかなか実現できない。

僕も今年度はできませんでした。

うぶ毛だけの素人傭兵でさえ、わきまえず知ったように書いてしまう。
それが討論の魅力です。
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マイケルたん3・再回答に答える13項目

2015-02-11 00:22:05 | 中高国語など指導案
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2015-02-10
マイケルたん3・再回答に答える13項目

マイケルたんから[9個の回答に答える]に対して、返信を頂きました。
マイケルたんの更にシャープな返信2015-02-08 07:37:41
更にシャープな返信です。
右のコメント欄に収めず、記事で扱うのは多くの人に読んで頂きたいからです。
コメントのお陰で励まされ、記事やシリーズになったりしたことが何度もあります。
コメント・ご質問・ご意見を頂けるのは大変有難いことです。

◆1◆
授業の原則「1わかる 2楽しい 3全員が参加する 4教えるべき価値内容がある」
まったく同感です。
すっきり、覚えやすく、価値ある四原則だと思います。
信頼する友人もすぐに「これはいい。メモした」とメールを下さいました。


◆2◆
野口先生の本は、主なものは読んだと思います。
やっぱり。

◆3◆
音読指導は範読・ペア読み・指名なし音読を中心に行っていますが、褒める部分がまだまだ甘いと思っています。
僕は「指名なし音読」は苦手というか、好みでなくて行ないません。
音読が苦手な生徒を拾い上げにくい、ような気がします。
褒めるタイミングも難しいです。
僕の音読指導については、
「音読指導の技術26」で書いたとおりです。
これは、マイケルたんにいちいち伝える必要はありませんね。
でも、このブログを初めて読む人もいるでしょうから、これ以後もご了承下さい。


『「活動的な授業」は「説明を聞かせるために」ある、とは考えられません。』について
「説明を聞かせるために」というのは言いすぎというか、誤解を生じやすい言い方でした。ひとえに僕の言い方のまずさによるものです。僕がイメージしているのは、ある種の相乗効果のようなものです。
◆4◆
たとえば音読から授業に入ると、生徒の頭が活発になり、その後の学習の集中力が増すように感じますが、
僕もどんな教材でも「音読」から授業に入ります。(漢字のあとですが)
読ませるものがないときは「十二支を言いなさい。さんはい」と、暗唱の復習をします。
とにかく、無理やり「声を出させること」から始めます。
中学1年生から高校生3年生まで、全く同じです。
「音読」から授業に入るかどうかで、授業は全然違うものになります。
本には「脳の働きが活発になる」「アドレナリンが出る」などの説が書いてあります。
生徒は「目が覚める」と言います。
読む解く読む書く読む解く読む、芦田恵之助、は本当にその通りです。
年をとってやっと分かりました。


◆5◆
これは、単に「読み」の練習であるばかりではなく、
二義的な効果として「活動的な授業によって集中力を高める流れ」を作り出します。
(1)一義的効果について
上手にきれいに他人に聞きやすく「音読」できるのは大切です。
歌が上手に歌えるかどうかと、良く似ています。
多くの生徒は「音読の仕方」を一度も教えてもらわないまま大人になります。
ほとんどの生徒が「自分は音読が苦手だ」と思っています。
教わったことも褒められたことも評価されたこともないからです。
 「読み方の見本を、先生から聞かせてもらう」
 「読んだら先生がちょっと直して、やり直させられる」
 「そうだ! それだ! 上手になった! と褒められる」

4月にこうやって直してあげた生徒は、その瞬間を一年後も覚えています。
歌と似ていませんか。

(2)二義的効果について
◆4◆で書いたとおりです。
個別に頭が働くようになるだけでなく、教室が明るくなります。


◆6◆
僕は理系的な発想をする人間なので、シンプルなイメージから出発しています。
もし、単なる講義で、知識・技能すべてがスムーズに生徒に伝達できれば、それは究極の授業ではないか?
こんなことは初めて聞きました。おもしろいですね。
でも、あえて言ってみますが、食事を錠剤を飲んで済ませるのに似たような気もします。


◆7◆
準備物も、
※1大掛かりな装置、PCも、プロジェクターも
何も使わず、チョーク1本で生徒にすべてを伝授できれば、その人は「授業の神様」です。
※1 「PCと、プロジェクター」について
「PCと、プロジェクター」を、国語の授業中に使っているのですか?
僕の準備物は、蛍光オレンジチョーク1本です。
(言い過ぎました。
 ストップウォッチ・赤鉛筆・電波腕時計、も準備します。
 神様でなくても非常勤はそうするしかありません。
 ただし、僕は、そうするしかないことで腕が鍛えられると感じています)
今年度、国語サークルで先輩が、PCとプロジェクターの研究を続けています。
PCもプロジェクターも自費購入です。
僕も自分で買って持っています。
国語の授業で、どうやって使えるのか? 有効な使い方は何か?
みんなで勉強中です。
また、十年ほど前、仲間うちで「電子黒板?」を個人で買おうか話題になりました。
知人の「小」学校教諭は自費で買い、僕は授業を見に行きました。
と・す模擬授業でも数十人の電子黒板授業を見ました。
結果として、僕は、電子黒板・使うべきでない派です。他の人は様々です。
「電子黒板?」も使っているのですか?


◆8◆
ただ、実際は、もちろんそうはいきません。50分講義する授業など、考えただけで眠くなります。
ほとんどの教科の、多くの教員の授業が、50分間講義です。
僕が受けた国語授業も、中学生の頃から40年間、50分間講義だけ、がほとんどでした。
中学校で僕が唯一寝たのは、国語の授業です。


◆9◆
つまり、講義型だけでは、現実には授業は成り立ちません。(やっている方も多いですが・・)
ただ50分間が過ぎていく、というだけならば成り立ちますね。
生徒の学力・知識・技能は、ほとんど向上しませんが。
生徒が寝ると叱る人が多いようです。
公立では成り立たないこともたくさんあります。
寝るだけなら、おおいに助かります。
数人常に立ち歩いているとか、教室の出入り自由とか、授業している教員をどつくとか。
そういう目に会わない限り、人間は授業を変えないと、僕は学びました。


◆10◆ 
じゃあ、音読を入れてみよう、百人一首を入れてみよう、発表を入れてみよう、授業をパーツで組み立ててみよう、と考えます。
マイケルたんは、なぜそんな工夫をする人になったのですか?
私立で、かつ高校の授業から始まったのに。
不思議です。
マイケルたんの周りはそんな人ばかりなのですか?


◆11◆
これらの活動は、もちろん楽しいだけではダメで、それ自体が学習を保障する内容を持ち、かつ、その他の学習を補完し、強化する役割も果たすものでなくてはなりません。
これらの学習活動一つ一つが他の学習活動と連動し、相乗効果をあげ、一つの「理想の授業(仮)」を構成する。
たとえば「授業十原則」を、50分間で使いこなす。
すべてを、ひとコマの授業で使うわけではなく、手段はいつも頭に入っている。
そして、使う必要が生まれた瞬間に、必要な原則をスキルとして繰り出す。
そんな感じでいいんでしょうか?
僕と知り合いはそうできるよう、心がけています。


◆11◆
そんなイメージで授業を作っています。
わかりにくいと思いますが、お許しください。
上で書いたのが、合っていれば、わかっていると思います。
違っていたら教えてくだされば、とても助かります。


◆12◆
ちなみに、僕から傭兵さんへの「反論」なるものは、基本的には、全くありません。僕が一方的に傭兵さんの記事から学ばせていただいている身であって、そんな僕に、「反論」などは基本的に存在しません
一方的に学ぶ、なんてありますか? しかも、僕は素人に毛が生えた無名のちんぴらです。
嘘だなあ。
それに、反論がないなんて、あまりにつまらない。


◆13◆
僕にあるとすれば、ご質問への回答に対して真摯に答えるだけであります。
いえ、その、マイケルたんの考え方には、敬服します。
しかし、「研究」は「対等」でなければ。
三十年前、大学生だった僕たちを、
ある小学校教諭が某大学の著名な教授のゼミに連れて行ってくれました。
借りてきた猫のような大学生たちに、その小学校教諭はおっしゃいました。
 「研究に、学生も教授もない。対等だ。言いたいことを言っていいのですよ」
残念ながら、年をとると人間はおっしゃることが変わってしまいますが。
だから、反論がないなんて、つまらないじゃないですか。
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中学国語指導案・新採用教員に伝える国語技能計画と結果2015年2月

2015-02-08 03:42:07 | 中高国語など指導案
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2015-02-08
中学国語指導案・新採用教員に伝える国語技能計画と結果2015年2月

  今年度、国語科同僚に技能を伝える試みを、生まれて初めてした。
  4月に計画して、追加修正しながら、伝えた。
  僕の無理難題に付き合ってくださった同僚Aさんに、感謝申し上げたい。
  ・・・そんな資格があるのか?
  ・・・それほど力があるのか?
  ・・・ないけど。でも、やらないとツケはいつも生徒に回るのである。

  「ブログの意図」で書いた通り、教員は具体的に教えない。又は教えない人が多い。
  同僚に授業技能が伝われば、教員も生徒も楽でやりがいのある時が来るはずだ。
  しかし、実際は経験のある人が、
  「自分は教わってこなかった。だから、新人も自分で考えてやりましょう」
  ということに、気持ちに、なってしまう。
  自然な感情だが、そういう、負の連鎖、はもう止めたい。

  ただし、新人の教員にも問題があり、
  「自分は学力も指導力も優れている。だから、教わる必要はない」
  という人が、中にはいる。
  なぜなら、子供のときから優秀のままで、勉強に自信があるからだ。
  ずっと優秀でないと、教員になれない法的システムになっている。
  

  馴染みの美容院に、仲良しの女性美容師がいる。
  僕が切ってもらっているのは、副店長の男性で、やっぱり仲良しだ。
  仲良し女性美容師が、昨年の12月に「デビュー」した。
  五十種類だか何だかの技能試験をクリアして、カット・カラーを始めるのがデビューだ。
  「デビュー」まで4年以上。
  僕は開店後すぐ通い始めたので、見て聞いて知った。
  床を掃き、用具を洗い、閉店後の夜遅く練習して、数十の技能試験をクリアする。
  そしてやっとデビュー。
  下積みの長さと、休日の少なさのため、デビュー前にたくさんの人が辞めてしまう。
  だから、みんなが喜んでる、と副店長が教えてくれた。

  教員は、授業の方法は一つも教わらないままデビューして、お金をもらう。
  

■1■できるようになった技能結果だけ抜き出し
[2015年2月6日現在]
[○=済み一応確認 △=教えたが実施か未確認 ★重要教材・項目]


■2■扱った教材・作文と文法・技能結果

[○=済み一応確認 △=教えたが実施か未確認 ★重要教材・項目] 



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