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2015-09-20再up
中学国語指導案・中学生主張発表どう評価するか2011
作成日20111013:
国語サークル提案で、どのような指導で主張が上達したのか、
という感想・質問が複数あった。
提案記事1回目に、指導内容が載っているが、少し付け足して一記事とする。
中学1・3年生共通・
7月夏休み前
▲1▲評価項目「書く力」25点「発表する力」50点内容を読み聞かせた。
▲2▲見本作文、各学年3点ずつ読み聞かせた。
▲3▲作文枚数を限定した。
(400字詰め2枚以上、3枚以内。去年までは自由。
作文は短いほど難しい。字数を限定するほど作文力は身につくからだ)
▲4▲発表の見本を見せた。
(「スミを押さえる」とはどういうことかを強調した。
原稿だけを見ていては、相手に言いたいことが伝わらない。
聴衆全員が「自分に向かって話してくれている」と感じるためのコツが、
「スミを押さえる」
ことだ。
教室、集会室、体育館など会場や人数がどう違っても同じだ。
自分から見て聴衆の、
右後ろ、左後ろ、左前、右前の四人に順に
「目を合わせながら」
読む。
プロなら、聴衆全員に100人でも500人でも一人0.2秒ずつ目を合わせながら話すという。
だが、事実上初めて
「聴かせるとはどういうことか」
指導を受ける生徒にそこまで求めるのは無理だ。
たとえ、機械的であってもやってみればわかる。
スミを押さえて、原稿3枚を読むだけでも大変なことだ)
(「聴かせる気持ちを伝える」声と表情を見せた。
説得する、聴かせる、印象に残す、心を動かすためには「力強さ」が必要だ。
声の強さ、視線の強さ、態度が毅然としていること、言葉に迷いがないことだ)
(「スミを押さえる」
「聴かせる気持ちを伝える」
ことのどちらも、いくら方法を説明しても理解はできない。見本を見せるしかない。
僕は見本作文「試練」を読み聞かせた。暗記はしていなかった。
特に中学3年生は5人ほどが、手元の見本作文は一切見ずに、僕の顔と態度を見つめた。
見つめたと言うより、僕の腹の中に食い込んでくる感覚だった。
2分少しの原稿を読み終わって、僕はヘトヘトになった。
「こんなに真剣に聞いてくれるとは思わなかった。
二つ目の見本作文を同じ調子で読むことは、もうできない。勘弁してほしい」
そう言って、残り二つの見本作文を読み聞かせた)
(ブログの作文指導記事で度々書くが、「作文には必ず見本が必要」だ。
優れた見本、目ざす高さを知らずに、良い作文を書けるはずがない。
主張や発表も同じだ。
教員が見本を見せなければ、世の中で他に見せられる人は誰もいない。
アナウンサーはひどい。
政治家はもっとひどい。
教員の集会の話や、説明会での話、指導主事の講評などは残念だが見本にならない。
たいてい、「えー、あー、うー」を二十回から百回くらい繰り返す。
情熱も、間の工夫も、スミを押さえる技術も見ることはできない。
講義や講習で、野口芳宏氏、大森修氏、大村はま氏の話を聞くなら良い。
聞いていて体が震える講義だった。
大村はま氏など、三十年近くたってもその立つ姿を忘れない。
こういう話を、生徒に見本を見せる立場なら、年に一度は聞かなければならない。
年に一度、野口先生のような話に出会う確率は非常に低い。
だから、探し求めて通わなければならない。
今の僕はしていない。反省している……でも、もう通うお金がないのです)
▲5▲「見本作文を視写して提出しても良い」こととした。
「写すのも大事な勉強」と評価項目に強調して記入。
(宿題代行業者についても、ブログの記事で強調した。
ひどい話だが、ビジョンのない宿題が多量に出される現状を見ると、
つけこまれるのもやむを得ない と思う瞬間もある。
代行業者に400字一枚5000円も払って書いてもらい、1ミリも学力がつかないのに比べたら、
「視写すること」
は千倍価値がある。
「写すのは大事な勉強」
だと、写さなければできない生徒だけに伝えてはならない。
クラス全体の前で力強く宣言しなければならない。
写してきた生徒を、少しでもからかったり馬鹿にしたりしたら、僕が許さない。
そうはっきり伝えることだ。
それによって、本当に苦手な生徒は安心する。
きちんと写して、締め切りの日時にちゃんと提出する。
読む練習をたくさんして、クラス主張の日には、50点満点で40点前後取る生徒もいた。
「書く力」と「発表する力」は全く異なる能力だ。
書ける生徒は全力で、あるいはギリギリにやっと書く。
どうしても書けない生徒は、丁寧に視写して提出する。
それでよい。
三年間、視写だけ続けても、原稿3枚以上の卒業文集を一発合格できるようになる)
▲6▲提出日・提出時刻・提出方法を具体的に記述・指示した。
▲7▲「評価項目」「提出日」「減点方法」を提出用作文用紙に印刷した。
(書かない・提出しないのは「評価E」で0点、とはっきり明記する。
「聞いてねえよ~」と決して言わせない。
書かせる前に、評価項目と点数を伝えなければならない。
これは、十年くらい前から始めた。
指導は常に先手を打つ。
今、僕が教えている生徒に、無視して書かない生徒も、暴言を吐く生徒もいない。
だが、平常時、平和な時に、きちんと危機管理をしておくことだ。
荒れ始めてから急に、「出さなかったら0点にするからな」と言い始めても遅い。
そんなことを言い始めても提出はしないし、「ふっざけんなっ!」と罵られる。
また、今回もいつも通り「一日遅れるごとに1点減点」とした。
提出物はすべてそうしている。
だが、主張は発表会に間に合わせなければならない。
また、ズルズルと未提出の夏休み宿題を放置するのは、生徒になめられる。
「この先生は、言ってもどうせ、やらせないのだ。平気じゃん」
と思われる。
これを続ける人は、授業でどんどん生徒の態度がダレていく。
一時が万事だ。
もとい。そこで、今年は初めてこう書いた。
「一週間後に出さない人は、教室に残して書き終わるまで帰さない」
中学1年生が一人、一週間後にギリギリ中途半端だが書き終わって出した。
中学3年生が二人、一週間後に教室に残って書き、あるいは視写した。
クラス全員が一週間後には提出を済ませた。
その間の授業中の発表練習は、僕の見本作文を貸して使わせた)
▲8▲作文テーマを予想させた。
(これは僕は軽く。どうせほとんどの生徒は夏休みにギリギリ考えるものだ。
また、良く出来る生徒はすでに決めている。
中学3年で組んでいる国語科教諭は、素晴らしいテーマ指導をなさった。
図書室で十分に時間を使い調べさせた。僕には真似できない)
中学1年生・9月に計6回
■1回目・6日(火)
1座席で2分間読み練習
2コンビで一度ずつ交代読み・アドバイス
3主張評価項目読み聞かせ
■2回目・7日(水)3校時
1座席で1回読み練習
2班内発表会
①一人立ち班員に1分間読み聞かせ・4班同時
②付箋にアドバイスを書き発表者に渡す
■3回目・7日(水)4校時
1班内発表会・付箋にアドバイスを書き発表者に渡す40分間
■4回目・9日(金)
1模擬発表会(全員)
①教卓前で一人30秒間だけ読む
②教師が[大きさ][早さ]だけそれぞれA・B・C即評・助言なし
③他の生徒全員は、花◎・◎・○・△・×記号と「ひことこアドバイス」記入
■5回目・12日(月)
1班内発表会・付箋にアドバイスを書き発表者に渡す(一人2分間×6人)
■6回目・13日(火)
1全員壁に向かいぐるりと立ち2分間壁に読む
2教室真ん中の教師に向い3分間読む
3座席でコンビ30秒ずつ交代読み・二つ褒める
★1年クラス主張発表会14日(水)3・4校時・24人全員(欠席1)
中学3年生・9月に計5回
■1回目・6日(火)3校時
1主張評価項目読み聞かせ
2座席で1回読み練習
3コンビで一分間ずつ読み合いアドバイス
4班内発表会(2人だけで終了)
①一人立ち班員に2分間読み聞かせ・4班同時
②付箋にアドバイスを書き発表者に渡す
■2回目・6日(火)4校時
1班内発表会(3人目から6人全員まで・25分間)
①一人だけ立ち班員に1分間読み聞かせ・4班同時
②付箋にアドバイスを書き発表者に渡す
■3回目・7日(水)
1模擬発表会①(14人まで)
①教卓前で一人30秒間だけ読む
②教師が[大きさ][早さ]だけそれぞれA・B・C即評・助言なし
③他の生徒全員は、花◎・◎・○・△・×記号と「ひとことアドバイス」記入
■4回目・9日(金)
1模擬発表会②(残り9人)
①教卓前で一人30秒間だけ読む
②教師が[大きさ][早さ]だけそれぞれA・B・C即評・助言なし
③他の生徒全員は、花◎・◎・○・△・×記号と「ひとことアドバイス」記入
2コンビ2分30秒間交代読み・アドバイス
■5回目・12日(月)
1班内発表会(一人全文)
①一人だけ立ち班員に2分間読み聞かせ・4班同時
②付箋にアドバイスを書き発表者に渡す
2クラス主張発表の順番決定(ジャンケン)
3発声練習
(かっきっくっけっこっこっこっ ぱっぴっぷっぺっぷっぷっぷっ)
★3年クラス主張発表会13日(火)3・4校時・21人
14日(水)残り3人(欠席1)
以上が授業中の指導。
学年発表に選ばれた生徒は更に家で50回から80回程度練習している。