円の外へ

20070121開設/中学高校国語授業指導案/中学校学級経営案/発達症対応/生活指導/行事委員会指導

0・すぐれた校長は教師を育てる

2008-10-17 20:49:59 | 発達障害新潟学会
全ページ目次
0・すぐれた校長は教師を育てる
捨しゃ~っ64号06年9月4日・月:

<学校づくりセミナー>①
2006年8月20日(日)

・冒頭、4人の管理職が話した。
・総じて、お年を召した方は、と言ってもまだ五十そこそこだろうが、語る力がない。
 教頭の話も模擬授業もえー、あー、うーの連続だ。
 人前にお出になるべきではなかった。
 売れている企業ではありえないだろう。
 トップが人前でしゃべれないなんて。
 しかし、大森氏は例外である。

『大森修氏講座:新潟市中野山小学校校長』
・「信頼される学校づくり」という目標をかかげる学校がある。
 分けがわからない。

・「子どもに力をつける学校づくり」ならわかる。
 「信頼」は「子どもに学力を」つけて見せた結果、ついてくるのだ。

・不祥事が起きると、教育委員会は手のひらを返す。
 保身しか考えていないからだ。だから、校長は、教育委員会を信用しなくなる。

・学校というのは、あらゆる場面で責任の所在が不明確だ。

・地域から信頼される必要などない。

・PTAが
 「学校は、地域のために何もしてくれない」
 などということがある。
 私は言い返す。
 「あなたは、学校のために何をしたか」
 子どもに力をつけるために、あなたは何をしたのかと言うと相手は黙る。

・既成団体?は、公務員の天下り場所だ。
 私は、既成団体を一切相手にしない。

・しかし、地域「住民」は相手にする。
 商店街を歩いて“子どもの安全と育成のために協力してください”と言い、
 “日中、地域の大人は皆さんしかいない。子どもを見てください。”
 と言って回る。

・市では、PTAは、すべて学校と独立して動く。
 地域コミュニティーに学校は参加してはならない、と決めてある。
 すると、教頭その他の人の(無駄な)仕事が激減する。
 学校が「PTAの親睦団体」じゃあだめ。

・学校への悪口、批判をなくそうなどとは思わなくていい。
 批判はあって当然。
 だが、自分に校長に悪口が届かなければ良いのだ。

・自分が中野山小に来て、あいさつしない先生がいなくなった。
 自分はあいさつしないのを許さないから。

・私は
 「あいさつ運動」
 がきらいだ。
 いちばん嫌いなのは、校長が校門に立って
 「おはよー」
 とか言うの。
 顔見世興業じゃないっていうの。

・そんなことして(あいさつ運動とか校長が校門に立つとか)
 子どもがあいさつするようになった学校なんて一つもない。

・教師は勉強しなければならない。
 特に夏休みは、研修する機会を先生に与えなきゃダメだ。
 学校に来いなんて言わない。

・中野山小では、夏に、
 本1冊読むといえば2日間来なくていい

 ことにしている。
 8冊読むなら16日来なくていい。
 「ただし、口頭試問があるよ」
 と言っとく。

・すると、おもしろいことに本読まないやつだけ学校に来る。

・校長は、いい教師を育てて、ダメなのがつぶれていくようにしなさい。

★ほんとに、大森校長はおもしろい。
 そして、地域からは絶大な支持を得る。
 上に媚びないのにちゃんと管理職になって、学校を地域を新潟市全体を変えていく、
 そういう人がいることが秀逸だ。

★9月末に、中野山小学校で、特別支援教育をテーマにした公開授業がある。
 
「見てほしい。
うちの学校で、どこに特別支援学級の子どもがまぎれているか、
わかる人はいないだろう。」

それだけ、自信があるのだと、大森校長自ら宣伝した。
僕は新潟市まで行ってきます。

★このあと、六人の管理職が語ったがメモすべきことなし。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

1・土足で机の上を

2008-10-17 20:49:58 | 発達障害新潟学会
わかる目次
捨しゃ~っ87号06年10月2日・月:文責=hyoko
新潟中野山小1・土足で机の上を

日本の公立学校の、
歴史の変わり目の、
最初の日に出会った。

<軽度発達障害に対応した授業技量を問う>①
日本教育技術学会主催/新潟市立中野山小学校
2006年9月30日

大森修氏が中野山小の校長である。
新潟、中野山小の体育館に、沖縄、北海道、全国から400人の教員が集まった。
なぜ、新潟なのか?
なぜ、中野山小なのか?
おそらく、400人が同じことを思ったはずだ。

「自分は、歴史の変わり目に出会った。」


おおげさな、と思われるだろう。
けれども、ぼくにとって例えれば、
23年前に向山洋一氏に出会ったとき以来人生二度目の衝撃であった。
何が?
なぜ?
伝わるかどうかはわからないが、説明に挑む。

中野山小学校は、二年前荒れていた。
小学一年生が、土足で、教室の机の上を走り回っていたという。
小学一年生の授業が成立していなかった。
クラスの中のボスのような男子が、
授業中手を挙げたクラスの子を脅してこう言ったそうだ。

「おい、おまえ、てをあげるな。」


間違いないよう繰り返すが、小学一年生である。
 
ぼくは、三年生の授業を参観した。
三年二組の児童は34人いた。

授業前の十分間、担任の○先生が漢字ビンゴで遊んだ。
児童にます目プリントを配った。
児童は○先生の出すフラッシュカードの読みを次々とます目に書いた。
二十ほどのます目がいっぱいになると、
もう一度見せられたカードの読みを丸で囲んだ。
書くときは音もなかった。
丸がそろえば、
「リーチー!」
「ビンゴー!」

と声が上がった。

十分間、机を囲んだ五十人を超す大人に気を取られる子どもは一人もいなかった。
それが言いすぎなら、
窓から三列目の女の子が、ときどき珍しそうに大人の顔を見回した。
それだけだった。

午前9時45分のチャイムが鳴り、
当然あいさつの号令などなく○先生が言った。
「教科書を出しなさい。」

児童は机の中から、ドンドンあっという間に教科書を出す。
「教科書が出た人は、姿勢で合図ちょうだい」

ドンドンあっという間に教科書を出した小学三年生は、
深く腰かけなおし背筋を伸ばして先生を見る。

『ちいちゃんのかげおくり』の音読が始まる。
児童は、34人間違いなく全員が教科書を両手で持ち、教科書はピンと立った。

「追い読み」とは、教師が読んだ文をそのまま子どもが追って読む音読の方法だ。
○先生は一文ずつ読んだ。

「一文ずつ」の追い読み

にどれほど指導力が必要か、国語教師にはわかる。

子どもは大変なスピードで読んだ。
続く児童の声はピッタリそろった。
響き渡る声が出た。
声には迫力さえこもっていた。
○先生が、

「○○さん、口がとってもよくあいてる。」


ひと言でかすかに落ちかけた声の力が元に戻る。

「うしろの子の声もよーくひびいてきます。」


激励で、追い読みの声が瞬間的に変わる。

音読は七分間続いた。
二年前、土足で机の上を走った一年生が、
「背筋を伸ばし」
「一文ずつ」
「大変なスピードで」
「声をそろえて」

教科書を読んだのである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2・市内随一の学校へ

2008-10-17 20:49:57 | 発達障害新潟学会
全ページ目次
2・市内随一の学校へ
捨しゃ~っ88号06年10月4日・水:文責=hyoko

「今日の研修会最大のテーマは、
小学2年生までに障害を発見しなければ
その子の人生を左右してしまうのだ
ということの重要性だ!
一人の人間の、一生をつぶす。
そんなことが、教育の名において
行なわれていいわけがない!」

大森修

<軽度発達障害に対応した授業技量を問う>②
新潟市立中野山小学校

中野山小学校は、二年前大荒れだった授業を、
市内随一、あるいは、全国レベルの水準に変えた。
それを実現したのは、大森校長である。

大森修校長は、二年前赴任して以来、教員の授業技能を高めた。

校長が、教員の授業力チェックをしたのだ。

校長が、
ひとりひとりの教員に、
5分間ずつの模擬授業をさせ、
その欠点を指摘し、
改善させ、
練習させて、
更に模擬授業チェックをした。

(はずだ。詳しい方法はまた調べておきます。)

授業チェックをすることのできる校長が、●●市にいるだろうか。
●●県にいるだろうか。
全国に何人いるだろうか。

大森校長は、自分自身が授業実践の修行をし、教師の授業力を鍛えた。
教師の授業技量が上がったために、学校全体が変わった。

学校を変えるのは、授業だということを証明した。

3年1組の児童と教室の発見は以下のとおり。

① 黒板には、文字ひとつなく、プリント一枚はっていない。
  (学力向上のための常識だ)

② 教室前の壁に、掲示板に、紙切れ一つはっていない。
  文字ひとつ書いていない。
  (原則だ)

③ 教室の横にも、全く何もはっていない。

④ 教室の後ろ、ロッカーの上に生徒の作文のようなものがはってある。

⑤ つまり、生徒が着席したとき、視界の中に、気を散らす情報がゼロだということだ。
  授業が始まり、板書、カード、担任の顔、立ち居振る舞いなど、
  学力をつけるための情報だけが、目の前に現れる。
  (原則を徹底的につらぬいている)

⑥ ノートは、ジャボニカ学習帳だ。
  縦長ノートに四角います目がならんでいる。
  (TOSSノートを使わないのはなぜかな?)

⑦ 鉛筆を使っている。
  濃さは「B」と「2B」の子がいた。

⑧ 筆箱を、クラスの子全員が、サッと右上隅に置く。

⑨ 机の上には、先生が指示しない限り、筆箱だけが置いてある。

⑩ 上ばきが運動靴だ。
  児童は全員、中学校の体育ではくのと同じ運動靴を上ばきにしている。
  (『おしゃれ障害』p51より

   「上ばき=硬いコンクリートの校舎を歩くのに、
    底がペラペラした上ばきでは子ども達の足への負担は大きくなり、
    偏平足や開張足の原因にもなる」


⑪ 発表の時間になる。
  すると、児童は次々と立つ。
  空白なく発表する。
  なぜか、全員が、イスを少し後ろに引き、音もなく立ち、座るようにしているのだ。
  (ここまで訓練された教室がいくつあるか)

⑫ 黒板にます目が書いてあった。
  ぼくは授業が終わるまで気づかなかった。
  それほど薄く自然な線だ。
  黒板一面に、6センチか7センチ四方のます目がある。
  授業後、●●市の連れが授業者の田中先生に尋ねた。
  <ぺんてる油性・中字・緑>
  数学・国語の授業で、この効果は絶大だ。


後にわかるが、以上の一割が田中先生の指導力により、
九割が全校一斉による指導だった。
これがすごい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3・小学2年生までに

2008-10-17 20:49:56 | 発達障害新潟学会
わかる目次a>
3・小学2年生までに
捨しゃ~っ109号06年10月17日・火:文責=hyoko

たった一冊の雑誌で、6枚も書き抜きをしてしまった。
『特別支援教育教え方教室』

は、教員、保護者が今、まっさきに購読すべき雑誌だ。

●大森修氏より●
『今、教員にとって、最も重要なのは、
軽度発達障害の子どもへの教室での対応

の学習である。

なぜなら、
軽度発達障害の子どもに通用する指導法は、
すべての子どもに通用するからである。
ほとんどの、授業のつまずき、授業の不成立は
AD/HD、LDの生徒への対応ミスから生まれる。


また、保護者にとって、
障害の発見が遅れると、一生取り返しのつかないことになる、
ということは知るべき知識である。

小学校2年生までに、発見しなければならない。
診断を受け、治療に入らなければならない。

小学校4年生までに、必要な学習を身につけさせなければならない。
軽度発達障害の発見に失敗すると、その子どもの一生を左右することになる。
小学2年生までに障害を発見しなければ
その子の人生を左右してしまうのだ
ということの重要性だ!

一人の人間の、一生をつぶす。
そんなことが、教育の名において
行なわれていいわけがない!』


そして、大森校長が、新潟市全体を動かし、
軽度発達障害に対する行政ぐるみの研修システムを作り上げている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4・中学校では手遅れ

2008-10-17 20:49:54 | 発達障害新潟学会
わかる目次
4・中学校では手遅れ
捨しゃ~っ115号06年10月19日・木:文責=hyoko

★わからなくても、できなくても、日本の、最先端校の実態は知らなければならない。

一つ目。
心理検査について中学校には大問題がある。
ほとんどの検査が中学校では手遅れなのだ。

二つ目。
下の言葉を見ても、さっぱり意味がわからん。
研修を受けない限り無理だろう。
だが、新潟市、中野山小学校の教員は、
たとえば「継時処理」と「同時処理」の違いがわかるらしい。

新潟市の研修の中には
「WISC-Ⅲ=WISC3」

「K-ABC=KABC」
の二つが入っている。
「研修を積めば」
「学校で」
「教員が」
実施できる検査だからと思われる。
だが、おそらく5年以内に全国の多くの市町村の教員が同じレベルに到達するだろう。
●●市は?

●検査詳細

◆WISC3 (ウィスクサード) 知能検査法 / ★教員実施可能
LD児の診断のためのテストバッテリーとして使われことが多くなってきた。
適用範囲 5歳~16歳11か月
所要時間 60分~70分
記録用紙 7,500円(20名分)
検査法  6,000円 用具   120,000円(2001/2/2現在)
ビデオ実施実技編  30,000円(40分)
問い合せ:日本文化科学社

◆KABC心理・教育アセスメントバッテリー / ★教員実施可能?
認知処理過程として継時処理と同時処理に分類し、子どもの得意な認知のスタイルを知り指導に役立てる事を目標とする。
認知処理検査の結果=習得度検査の結果 : 教育的働きかけが適切。
認知処理検査の結果>習得度検査の結果 : 教育的働きかけが不適切。
継次処理       >同時処理       : 段階的に情報を提供する。言語的な手がかりや指示を重視する。段階を教えたり、リハーサルさせる。
継次処理       <同時処理       : 全体的な概念や問題を最初に与える。視覚的・運動的手がかりや指示を重視する。課題を具体的なものにする。
適用範囲 2歳6か月~12歳11か月
所要時間30分~60分 記録用紙 6,200円(20名分)
解析プログラムVer2 27,000円 Windows95/98版 :「普及版 K-ABC」セット税別価格95,000円問合せ:K-ABC心理・教育アセスメントバッテリー

●中学校で検査が間に合わない例
◆PRSテスト 適用範囲?
◆ITPA言語学習能力検査 適用範囲 3歳~9歳11か月
◆ABS適応行動尺度 適用範囲 6歳~12歳11か月
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

5・公立教育の希望の光

2008-10-17 20:49:52 | 発達障害新潟学会
わかる目次
5・公立教育の希望の光
捨しゃ~っ番外88-2号(番外・配布無用)06年10月4日・水:文責=hyoko
当時の校長が、僕が新潟へ行くと言ったら
「研修扱いにしてやる」と言ってくださった。
出張旅費を出して頂いた。
管理職に恵まれていた。
「土産は買うな」とまでおっしゃった。かっこいい。
以下、土産代わりにお渡しした手紙である。


校長先生へ
2006年10月4日(水)
hyoko

9月30日、新潟・中野山小学校研修では
「研究紀要」というものが配られませんでした。
「そんなものを配っても、読む人は誰もいないのだ」

というようなことを、大森校長は度々言います。

その代わり、『軽度発達障害の子どもに対応した授業力』を販売していました。
その中で、学校づくり、校長研修などに関するページのコピーです。
一人の校長が、学校を変え、新潟市全体の教育行政を変えた記録の一部です。

また、『特別支援教育教え方教室』は、
公立の教員、その保護者が一人でも多く読み、
正しい授業の方法、子どもへの対応の方法を知るための雑誌です。
多くの教員に伝えるべき事柄です。

中野山小の一日は、日本全国の公立教育を変えます。

その場に、快く参加させていただき、ご援助賜ったことに感謝しております。

その意味を、その場にいなかった人に伝えるのは大変難しいことです。

あの日の意味を理解できずに亡くなる方も多いことでしょう。

しかし、中野山小の教育実践・新潟の教育行政は、
ここ5年間で急速に全国に広まるでしょう。

残念ながら、●県はそのことに気づきもしない多くの県の一つになりそうです。

●県は、全国の公立学校の授業が、
教育行政がほとんど変わり始めた最後の最後に、
やっと腰を上げる遅れた地域になると思われます。

しかし、それでも、僕の生きている間に、
今まで予想もしなかった、公立教育の希望の光が、新潟に灯りました。

その意味を、一人でも多くの方に伝えなければならないと思っています。

おみやげでをお持ちすることは遠慮させていただきましたが、
校長先生へ、大森先生からの宿題が出されたとお考えください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする