20070121開設/中学高校国語授業指導案/中学校学級経営案/発達症対応/生活指導/行事委員会指導
捨しゃ~っ151号06年12月11日・月<TOSSサークルで模擬授業してきた>①
06年12月9日(土)pm6:30~9:00・於○○センター
事情があり、ついに参加せざるを得なくなった。
別にいやだったわけじゃないけど。
ただ、覚悟がいるから。
サークルから帰って何人かにメールした。
ひとりで出かけて、
14人の前で、
自分以外はみんな知り合い同士の中、
初めてのTOSS模擬授業だった。
あとに続いてください。
5分間あれば、すべてのボロが出る。
わかったつもりだったが、実感した。
まずは、もらった感想・指摘から紹介する。
○ 声、と目力があってよかった。
最初に「試練」とテーマを簡潔に示したのがよかった。
エジソンひとつに絞ったほうがよいです。
ディズニーはいらないかも。
筋が通ってよかった。
字は少し多い? 中学生には「よい!」です。
ビッとします。現場に効きます。(O先生)
○ 語り方に力があり心に響いてきました。
パワーポイントの右側が見えにくかったので、
左側に寄るともっと分かりやすくなると思います。(K先生)
○ 1・写真があった方がよい。
2・試練との結びつきが弱い。
3・エジソンはへえ~と思った。(S先生)
○ 勇気付けられる内容でした。
力強い語りでした。ありがとうございました。(K先生)
○ 1・面白かったです!!! 私も朝会で話をするのでぜひ追試したいです。(S先生)
○ 圧倒的な雰囲気に飲まれました。
内容共々、深い内容の時間を過ごせました。
ほんの5分位でしょうが、今日参加してよかった、そう感じました。
ありがとうございました。(S先生)
○ 声がよく通ります。
目に力があります。
画面をチラチラ見るのが気になるので、
できればそのまま生徒を見ながら語った方がよい。
文字を写さなくてもよいのでは?(N先生)
(hyoko:文字を写す件は、SR先生からも言われました。
「全校生徒35人のうち12人が特別支援学級の生徒なので必要」
という結論にまとまりました。)
○ 1・声がりんとしている。
2・エピソードがおもしろかったです。
3・楽しい授業でした。(H先生)
○ テーマが一本貫かれているのがすばらしい。
視線のくばり方がすばらしい。(?先生)
○ 声が大きく、魅力ある内容でした。
先生の自信が伝わり、なぜか安心感を得ました。
そんな内容でした。(N先生)
○ ハキハキしていて前にひきこまれる授業でした。
●●市の子どもたちは幸せですね。
パワーポイントの作り方も参考になりました。ありがとうございます。
気になったのは先生が机間巡視された時、画面がかくれたことのみです。
これからもいっしょに修業していきましょう。(K先生)
◆改善のまとめ案(易しい順)◆
① 立ち位置、又はプロジェクターの位置を工夫。
② 写真を入れる。
③ エジソンに絞る。
④ 文を暗記する。
⑤ 「試練」との結びつきを強調。
では、あとに続く人のための物語りです。
11月24日にTOSSサークルに入ることを決めた。
サークル代表S氏にメールした。
「初参加ですが、レポートなど必要ですか。」
「無くても参加できます。」
~つづく~
捨しゃ~っ152号06年12月11日・月<TOSSサークルで模擬授業してきた>②
06年12月9日(土)pm6:30~9:00・於○○センター
ぼくは行く以上、初参加でも模擬授業するつもりだった。
「パソコンやプロジェクターは使えますか。
たとえば、私がファイルだけ持って行って、差し込めばできるとか」
「パソコン、プロジェクター用意してあります」
題材はいくつかある。
最初なので自己紹介代わりだ。
『試練』にしよう。
レポートじゃないけど『捨』を持っていこう……。
それから14日間、頭の片隅でいつも模擬授業のことを考えた。
くつ、ネクタイをどうするかも。
前日カバンに詰めたのは、
「カッコいい運動靴。職場ではいてるやつ」
「腕時計。秒針まで時間を合わせてある」
「PPをコピーしたメモリースティック」
「ワイヤレスマウス」
「眼鏡。パソコンが遠くにあったら画面が見えないから」
当日土曜日。
眠い。
週末はいつも眠い。
夕方になっても眠い。
(行かなくてもいっか)
(寒いし)
(雨降ってんじゃん)
(でも友達に行くって言っちゃったし)
(準備したしな)
起き上がった。
ネクタイはやめた。
ちょっといい加減にしとこう。
40分後に、○○センターに着いた。
403号室には4、5人の人がいた。
良かった。
少ない。
少し楽だ。S先生にあいさつして、イスに座る。
サークル代表のS先生が、
「今日、模擬授業するかた」
と聞く。
そこにいた5人とも手をあげる。
予定の6時30分になる。
S先生が話し始める。
<使える!向山式・目標の作らせ方>
(1)「今年の目標を書きなさい。」
オレ「楽なところに異動するぞ」
(2)「(わたしは)で始めて書き直しなさい。」
オレ「私は楽なところに異動するぞ」
(3)「具体手に分かるように書きなさい。」
オレ「私は、教師が日本語をしゃべれて、生徒が素直なところへ異動するぞ」
(4)「過去形にして書きなさい。」
オレ「・・・(書くのが追いつかない)」
(5)「目標が実現したその時の気持ちを書きなさい。」
オレ「もっと勉強するぞ」
(6)「その目標に達するには何が必要か、箇条書きにしなさい。」
オレ「・を出ることです」
ぼくは(2)を指名されて
「私は楽なところに異動するぞ」
と答えた。
あとで飲んだとき言われた。
「なんだ、この人は。
わざわざ土曜の夜に来て、こんなことを言うなんてと思った」
S代表は、こうやって時間ピッタリに始めるため、毎回「おみやげ」を用意しているのだろう。
大変だ。
そして。
「では、A先生どうぞ」
何の前ぶれもなく一人目の「模擬授業」が始まった。
ぼくは頭をフル回転させる。
(みんな運動靴は。はいてない)
(はきかえるのか。かえない)
(ネクタイは。あり)
(何分でやるんだろう。5分間らしい)
「はい、ストップ」
(途中で先生が止める。…途中で止めるのか!?)
「じゃあ、もう一度最初から。」
(A先生はやり直す。・・・やり直すのか?)
思ったより厳しい。
手には汗。
下腹に鈍い痛み。
しかもぼくのは「授業」じゃない。
~つづく~
捨しゃ~っ153号06年12月25日・月:<TOSSサークルで模擬授業してきた>③
06年12月9日(土)pm6:30~9:00・於○○センター
「わかったこと、気付いたこと、思ったことをポストイットに書いてください」
一人目の模擬授業が終わると、S先生はそう言った。
ちょうどこの大きさのポストイットが入り口にあったらしい。
あと、入り口には参加費500円を入れる箱もあったらしい。
気付かなかった。
ぼくは、この時点で内心動揺していたが、時間の記録だけはとった。
次回の参考になるはずだ。
時間は「準備」「授業」「S先生評価」「感想メモ書き」すべての合計時間である。
順 性別 科目 校種 時間や用具など
1 女 社 中 17分:PP
2 女 理 高 15分:Wボードと黒ペン
3 男 国 高 9分:プリント1枚
4 俺 国 中 8分:PP・ワイヤレスマウス
5 男 理 高 12分:
6 男 国 高 10分:
7 男 数 中 15分:PP・ワイヤレスマウス
8 女 数 中 7分:
9 男 英 高 12分:
10 男 社 高 15分:PP・ワイヤレスマウス
11 男 国 中 8:45~8:52=7分:俳句
12 女 国 中 8:52~8:59=7分
ワイヤレスマウスを使う人が、ぼくを入れて3人いた。
だが、どうやらぼくのが新しいらしく操作は明らかに一番簡単だった。
おススメ。
同僚の**氏に感謝。
二人目。
S先生がすぐ切り込む。
意見を言った他のかたに言った。
「○○先生、代わりにやってみて下さい」
その代案を見たあと、さらに言う。
「はい、もう一度最初から」
「出だしだけ、もう一度」
これなら力がつかない方がおかしい。
「ハイ最初から、ハイ最初から」
とS先生は「最初の言葉の確定」を厳しく求める。
授業はいつもどおり「声の張り方」だけではっきり違いが分かる。
指示の出し方も、目線の配り方も、すべて「声の張り方・出し方」と比例している。
三人目。
S先生に次ぐ高い級のかたで、ぼくの大学の先輩だ。
高校の小説。マル10個書かせる。
起立音読練習。
「好きな一文を、二つ選んでください」
それで、竹の子読み。
ぼくだけが一文目を希望して立ったので読ませてもらえた。
S先生は、
「時間がないのでそこまで。
今の授業は、何気なく進みましたが、
声、テンポ、視線などどこにもひっかかりがなかった。」
あのようにやりましょうということだ。
四人目がぼくの番だった。
前の先生の感想を書いた。
手の汗をぬぐった。
ワイヤレスマウスを
胸のポケット、ズボンのポケット、胸のポケット、ズボンのポケット、と入れ替えた。
(どっちが取り出しやすいんだろう)
「次、hyoko先生どうぞ。」
S先生が言った。
~つづく~
捨しゃ~っ154号06年12月25日・月<TOSSサークルで模擬授業してきた>④
06年12月9日(土)pm6:30~9:00・於○○センター
ぼくが用意したのは、授業ではなく、朝礼で話した「道徳のようなもの」だった。
立ち上がり、前に歩きながら言い訳をしまくる。
「初めてうかがったんで、授業でないのを持ってきちゃったんですが」・・・オロオロ
「いいですよ」
「朝礼でした話なんです」・・・ヨロヨロ
大学の先輩が目の前で、
ウンウン、まあやんなさい、
と腕を組んでニコニコうなずいてくれてる。
ワイヤレスマウスの受信機をうつむいてPCに差し込んでいると、S先生が聞いた。
「何分くらいでぇ、やりますか?」
「5分です」
S先生が初参加のぼくをねぎらいながら尋ねたのと、
ぼくがうつむいたまま即答したのが対照的で、ちょっとした空気が生まれた気がした。
ぼくは、5分ぴったりに練習していた。
まだ誰も、ぼくが向山先生の本を読み始めた理由もTOSSのセミナーに通った回数も知らなかった。
ぼくは、突然、初めて、ひとりで、TOSSのサークルにやってきて、
いきなり、模擬授業をやる気になっている、無謀な人だった。
たしかに、無謀だ。
ぼくは顔を上げた。
「●●中学校は、35人の来年統合する中学校です。朝礼でした話です。」
たぶん、そう言ったと思う。自信がない。
右手にワイヤレスマウスをさりげなく握り、話し始めた。
「あなた達の前には、受験があり、来年の統合があり、
友達とのいさかいがあり。
あるいは家族とうまくいかないことがあるでしょう。
しかし、そのような悩みは一生続くのです。
今日は、『試練』について考えましょう。」
心の中で、練習したとおりだ。
あとは朝礼と同じだ。最初の30秒で、
(あれ、S先生、止めないのかな?)
と一瞬いぶかった。
だが、そのあとは迷わなかった。
エジソンを尋ねながら一番後ろの席へ歩き、
発明がなければ現在何が存在しないのかを訊き、
ヒントを出し、ほめ、前に戻りながら画面を切り替えて、読んだ。
エジソンのセリフはトーンを変え、声に表情をつけた。
「おい、おかあさん…」
暗記していない授業(?)だったのでPCを見た。
なるべく全員に視線を配ったつもりだった。
朝礼の最後はこうだった。
「あなたがけが、つらいのではありません。
夢の実現のためにがんばってください。」
模擬授業ではアドリブでこう言った。
「あなただけが、つらいのではありません。
来週の技量検定に向けてがんばってください。」
パワーポイントの画面に「おしまい」という文字が出る。
同時にぼくはつま先が見えるまで深々とお辞儀をする。
これも、朝礼の時と同じだった。
サークルの先生が全員一斉に拍手するのが見えたのが、
お辞儀をする前だったか、
あとだったのか、
覚えていない。
ぼくは冴えた頭の中で、
(朝礼のときとおんなじだ)
と思っていた。
生徒とまったく同じく、間髪を入れぬ、力強い拍手だった。
朝礼のときは止まぬ手の音の中立ち続け、うれしさで少し胸がいっぱいになった。
この日はもう少し冷静だった。
S先生を見た。
何を言うのか。
「サークルに来るのは初めてですか。」
「そうです。」
「模擬授業とかをするのも初めてですか。」
「初めてです。」
「…TOSSのセミナーには。」
「それは、去年から二十回くらい行きました。」
S先生は次に言うことを考えているようだった。
~つづく~
捨しゃ~っ第55号06年12月25日・月<TOSSサークルで模擬授業してきた>⑤
06年12月9日(土)pm6:30~9:00・於県民センター
S先生はしばらく考えたあと、いくつかたぶんほめてくれたのだけど、ぼくはチャンスを逃がしたくなかった。
「あの、では、次回どうしてもやりたいことがあるんですが、10分間いただけますか」
「いいです、けど、どんな内容か初めだけでも見られますか」
ぼくは、あわよくばそのまま流れでやっちゃおうと思ってたシートを、
『試練』のあとに続けて貼り付けておいた。
『教員のための普通教室の特別支援教育』のパワーポイントをパラパラと見せた。
質問のところで止めた。
「この先は、皆さんに質問して試したいんですけど」
了解を得て、終わるためにもう一度頭を下げると皆さんはもう一度拍手をしてくれた。
USBメモリーを抜き取りながら、
「●●中学校は、全校35人のうち12人が特別支援学級の生徒なんです」
と説明した。
S先生が訊き直したので、もう一度同じことを言った。
五人目。理科の先生。
六人目。国語の先生。
七人目。数学の先生。
ここでやっと模擬授業の内容が頭に入ってきた。
少し冷静になって考えた。
初めのお二人は、若い女性の先生だった。
来週技量検定があるらしい。
だから、細かくズバズバと切ってもらったのだ。
代表のS先生は、高校の英語科だ。それでも、中高のどの教科にも切り込みを入れる。
大変なことだ。
また、模擬授業はその日サークルに到着した順にするシステムになっている。
ネタによって「はじめ、なか、おわり」のどの辺でやるか、考えて入室するとよい。
6:30開始だが部屋は6:00から取ってある。
八人目。数学。
ここでS先生がぼくを引き合いに出してくれた。
「hyoko先生のは、最初のひとことで空間を支配した。
最初の空間支配だけで△△級を切るだろう。
ああいうつかみは大切だ。」
何級を切るとおっしゃったかは忘れた。でも、
(う~ん。そんなハズないぞ。そんな甘くはない。それは、わかってます。)
と思った覚えはある。
九人目。英語。
やっぱり、模擬授業しかない。
5分でよい。充分だ。
コメントできる人がいないとしても、ポストイットを渡すだけでも意味はある。
模擬授業の、
① 緊張感
② 視線の飛ばし方
③ 声の出し方
④ 何をしたいのかはっきりさせる意識
それを人前で経験するだけで、本当に何倍も自分が変わるのが分かる。
十人目。社会。ワイヤレスマウス。
二院制は意味があるという授業だった。
「知的な興奮が不足していた」とS先生が指摘していた。
落ち着いてきたら、調子に乗って悪い癖が出た。
言わなきゃいいのに言ってしまう。
手も挙げずに切り込んでぼくは言った。
「なぜ、知的興奮がないかというと、元から二院制を肯定して進めているから。」
「参院が衆院の決定を覆したのが何十年前で、
年間50億以上の金を使っている事実を示さずにこの授業をしてはならないと思う。」
ああ~やめとけって。…でもやっちゃった。
~もう少しつづく~
捨しゃ~っ156号07年1月9日・火<TOSSサークルで模擬授業してきた>⑥
06年12月9日(土)pm6:30~9:00・於○○センター
このシリーズもえらく長丁場になってしまったが、これでおしまい。
二週間後は二回目のTOSSセミナー参加の日だ。
12月9日、サークルでは結局参加者全員が模擬授業をしたのではないかと思う。
S先生は、もちろん授業評価に専念する。
土曜の夜に集まること自体がすごいが、
10人を越える人が模擬授業するのはもっとすごい。
最後のお二人は、終了の午後九時直前になってしまい、時間がなくお気の毒だった。
模擬授業にかかった時間は、
最短(7分)で最長(17分)・平均(12.0分)
だった。最後のお二人は除く。準備と感想メモ時間も含む。
これがどういう意味かというと、
模擬授業の効果は
月一回、たった12分間で
爆発的に現れる
ということだ。
ぼくの場合、翌週の月曜日、授業に行くと、教室の見え方が変わった。
スコーンと抜けるように生徒の顔や教室の隅まで見える気がした。
模擬授業の緊張が、授業を変えるのだ。
レポート検討の数十倍の効果があるはずだ。
向山洋一氏が言い続けているとおりだ。
<その他&食事会での話>
・○○センターには「貸し出し用プロジェクター」がある。便利だ。
・勉強のあとの食事には7人が来た。
翌週、技量検定があるので多かったらしい。
そこで言ってもらったこと。
また『捨』の「3年1組の統合作文」を、是非と言ってその場で読んでもらった。
「(**の)基礎はできている。」
「23歳と模擬授業で言ったのを真に受けた。」
「捨、は冊子にしましょう。(**:それはやめましう)」
「この統合作文は、このとおり書け、と言っても書けるものではない。(なかなか良いということ)」
「高校生が書いても、~と思った、~と思ったという作文になってしまい、なかなか事実が出てこない。(中学3年のはなかなか良いということ)」
・一番驚いたのは次の指摘だ。
「(**が)セミナーを受けている時の、姿勢が良い。
座ってメモしているときの姿勢が、他の人と違った。」
・「そんなことを見ているのですか!」とぼくは言った。
見えるのだ、とS先生は言った。
*******************
45歳だ。
残り年数も、能力の限界も先は見えている。
だが、闘いはやめない。そういう主義だ。
TOSSセミナー週明け同僚に話をした。
「じゃあ、**さんの勉強の方向は、間違ってなかったってことだね。」
と、Rさんが言った。ぼくもちょっとそう思っていた。
セミナーの翌週、ブログを開設した。(注:このブログのこと)
もちろん、授業と学級経営の内容だ。
そのうちホームページにしなければならないだろう。
年が明けて、古い友人が集まる国語サークルに行った。
他の先生のレポートに、みんなで意見を言い合うのだ。
ぼくはいつもろくでもないことを言っている。
この日も、その場で考えた代案を言った。
しかし、だ。
(今日の俺の代案は、悪くないぞ)
とちょっと思った。
2年間20数回TOSSセミナーに通ったのは間違ってなかったってことかもしれない。
*終わり*