円の外へ

20070121開設/中学高校国語授業指導案/中学校学級経営案/発達症対応/生活指導/行事委員会指導

毛筆が好き

2025-01-18 18:02:18 | 2024年度雑記
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毛筆が好き
2025-01-18
小学校一年の時、僕の「硬筆」は毎回貼り出された。
教室の後ろに、年に何回か三人の優秀作品が貼られた。
僕以外の二人はいつも女子だった。
僕は何度も、後ろの壁の書写を見た。
それ以外に、小一の記憶はない。
僕は友達を作れない子どもだった。

小学校高学年で、週一で「クラブ」という時間があった。
五時間目か六時間目に、好きな分野を選んで一年間授業を受ける。
僕は五年生と六年生で「書道」を選んだ。
十人くらいの中で、男子は僕一人だった。
僕はフォークダンスで女子と手をつなげなくて、
担任が「お前はろうかに出てろ」と言われるくらい女子が苦手だった。
屈折した子どもだった。
それでもクラブを選ぶくらいに「毛筆」が好きだった。

中学生になると、書き初めというものがあった。
僕は書道の塾に通ったことがない。
でも、中1の1月他クラスから僕の書き初めを見に、たくさんの生徒が集まった。
中2、中3も同じだった。

教員に就職して数年で、毛筆がいやになった。
やたら毛筆だけ卓越した中堅に限って尊敬できない人ばかりだったからだ。
僕は毛筆が好きなことを隠した。
練習も止めた。

先日、プロの書道家から筆を三本頂いた。
弘法は筆を選ぶ。筆の質で文字はまったく変わる。
書いてみたい。
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ただひとつのさようならだけど

2024-11-22 18:59:30 | 2024年度雑記
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ただひとつのさようならだけど
2024-11-22
ぼくの退勤時刻に階段を降りた。
下駄箱に向かうと、うしろから「さようなら」と小さく一人の声が聞こえる。
おれ?と振り返るのは教員のあるあるだ。
20メートル先に次の移動教室のため、1年C組が廊下に並んでいる。
あ、と軽く片手を振る。
ああ、C組かぁ。
わかって、ぼくは両手をブンブン振る。
C組の男子がピョンピョン飛び上がって両手を振り返す。
黙って並べ、としつけられているので、誰も声を出さない。
小さい「さようなら」だって、誰かがちょっとうっかり言ったのだ。きっと。
ぼくはさようならのあと、両手のひらで大きく投げキッスする。
何度もする。
女子が笑うのが聞こえる。
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ときめきにつられそう

2024-11-19 18:11:46 | 2024年度雑記
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ときめきにつられそう
2024-11-19
国語係の激戦を勝ち抜いた2年生がゆっくりおずおずと、
「あしたの持ち物はなんですか」
と聞きに来る。僕はじっと目を合わせて言う。
「いつもどおり。あとワークシート10番」
「はい」
「毎日ありがとう」

ただそれだけ。
ほとんど変わった連絡はない。
隣りで聞いてる友達が(よかったね)という顔で係の生徒を見ている。
後日アップするけど彼女は(思いが通じたのか)国語係になれたそうだ。
恐縮です。
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日毎最高で異常

2024-11-08 19:36:03 | 2024年度雑記
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日毎最高で異常
2024-11-08
崩壊学級
誰も聞かない授業
そのとき教員から吊し上げられた

生徒が
過去最高に授業楽しい
討論したい
大嫌いだった作文が おもしろい~
と言うようになると
やたら教員と特に行政職から文句を言われる

工夫するな
同じことだけやれ
お前だけできるようにさせるな
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くどくって

2024-11-01 23:39:22 | 2024年度雑記
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くどくって
メガネをしばらくかけない女子がいた。
「どうしたの。見えるの」
「コンタクトにしました」
「そうかぁ。いっそうかわいくなりましたね」
今どき、大人のひと言には注意が必要だ。
そばで聞いていた、他の女子が言った。
「くどいてる~」
「くどくなんて、難しい言葉知ってるね」
「ナンバかな」
「あはは。くどくとナンパってどう違うかわかる?」
「ん~」
短く例を出して説明した。
「それはわかる」
「言葉をよく知っててびっくりしたよ」
「今どきの中1は、そんな言葉みんな知ってますよ!」

こんな会話をたまらなくかわいいという大人と、
しかりつける大人がいる。
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時代はずれで場違い

2024-11-01 23:05:47 | 2024年度雑記
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時代遅れで場違い
これは、今いるほんの一部の地域のことだ。

僕の感覚が、時代はずれなのを強烈に感じる。
「黙って言うことを聞いてろ」
が、今の教育の基本だ。全部は知らんけど。
これって40年前と似ている。
違うのは、殴るか殴らないかだ。
でも、40年前は「聞いてろ」と言っても殴ってもたいして生徒は聞かなかった。
今はいい子ばかりだから黙って聞く。
聞いてろ、で言い返されないから、規則を細かく大量に作ることだけしか方法を思いつかない。
安定は心地よい。
だから、新しい方法に挑戦しない。怖いのだ。
僕の新卒のときより、現場の教育実践は貧弱だ。

今の地域の生徒は、おそらく最高レベルのお金と愛情を受けて育っている。
だから、僕が会ったことのない品のいい生徒ばかりだ。
たまらないほど可愛く、愛情があふれ、尊敬の念が生まれる。
結局カネかよと言う人は古すぎる。
25年以上前からカネと育ちの関係はデータで証されている。
当然、教員も皆裕福に育ち、高いペーパーテストの点数を取った人達だ。
そういう人しか、教員に採用されないシステムだからだ。
で、生徒が劣って見えるらしい。
それで、言葉づかいが苦手だったり、小さくふざけたりするのを見て、
「なぜ、こんなば●なの」と口に出す。
権威は腐敗する。センセイというアリンコでさえも。
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話したい子はさりげなく

2024-10-20 17:44:21 | 2024年度雑記
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話たい子はさりげなく
僕とちょっと話したい生徒は、さりげなく待っている。
待っているかはわからない。
でも、そこにいる。

授業の前に、僕が入る前のドアを4、5人でふさいでおしゃべりしてる。
僕が何か言わなければ通れない。

または、教卓だ。
休み時間から教卓の周りでおしゃべりしている。
教卓のイスに座っている。
ただ、なんとなく黒板の前に立っている。

授業の終わりも、教卓にするするっと素早く歩いてくる。
二人のときもある。数人のときもある。
とても楽しい授業のあとには人数が多い。
何か意見が言いたくなる授業のあとは、休み時間が足りないくらい食いついてくる。

授業後は、授業の前と同様、黒板がある前のドアの前に集まっている。
僕が出るためには何か会話が必要だ。
先日は僕のシャツが「チェックか。ストライプか」ともめている。
これストライプって言うんだよっ、と答えて数人がげらげら笑う。

こんなとき、みんな大声で笑ってる。
勉強の苦手な子がいるときが多い。
授業の終わりに肩もみをしてくれる男子もいる。

話はたったのひと言だ。
どうでもいいことだけどみんな幸せだ。

後期の国語係の希望者が多すぎて、決めるのがあと回しになったクラスがある。
どうでもいいことだけどみんな幸せだ。
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でも、きょうは

2024-10-16 17:58:32 | 2024年度雑記
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でも、きょうは
公立義務教育は、終わっている。
「生徒をできるようにしてはならない」
「生徒全員を同じように育ててはならない」
「できない生徒とできる生徒の差をつけなければならない」
本気でそう考えているヒラやエライ人がいる。
そういう法律だかららしい。
教育より法律が大事らしい。
なぜこんな人が出てきたのだろう。
連休中、次は退職しか考えられない、と思った。
でも、今日は変わった。
辞めるのはやめとけ。
生徒も授業もおもしろすぎる。
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こんな満月に死にかけた

2024-09-17 20:35:36 | 2024年度雑記
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こんな満月に死にかけた
三十代中頃、中2のクラスがすくすくと育った。
新卒の年、教頭が、
「10月になったらもう、クラスは、動いて動いて見ているだけで楽しくなる」
と言った。そのかたは、授業も国内で一流で、実際に見て理解した。

すくすく育ったクラスが、担任を越え、動いて動いて驚くのを初めて経験して、
「学級経営とは、こういうことか」
と思った。

今夜と同じ9月の満月の週末に、チャリに乗って海沿いの公園に出かけた。
途中、コンビニで4合の焼酎を1本買った。
海辺に着くと、僕は水際にチャリを停めた。
鉄のガードレールをまたぐ。
なんだ、その、波打つコンクリートの端に座り、足を海側に投げ出す。
3メートル下に、いい音を立てて波が打ち寄せている。
まん丸の満月が目の前に浮かんでいる。

焼酎などろくに飲んだことはない頃だった。
その夜は、飲める気がした。
ボトルのスクリューキャップを開けると、僕は小瓶のビールのように飲み始めた。
ざぶざぶと足元で波の音が続く。

いい気分だった。
担任の幸せって、こういうことなんだ。初めてだな。
満月は僕を笑って見ている。

気がつくと、幅40センチほどのコンクリートの棚に横に倒れて寝ていた。
いい気分だった。でも、潮が満ちて波は足元に届きそうだった。
右手のボトルは空だった。

これはちょっと危ないのかもしれない。
逃げたほうがいいのかもしれない。
立ち上がって、と。歩いて、と。
左下に波が打ち寄せるのは暗くて見えないが波の音が大きくてわかった。
40センチ幅の道を、僕はふらふら3メートルくらい歩いてチャリを見つけて、手で引いて、草はらで倒れた。
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ありがとう2021年11月

2024-09-14 15:43:12 | 2024年度雑記
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ありがとう
2024-09-14掲載 2021年11月某日記述
(再掲かもしれませんが調べられませんでした)
授業へ行くために階段をのぼった。

のぼりきったところへ、1年生の授業クラスの女子、男子がつめかけて、テストについて質問を始めた。
「試験範囲は、いつ配られますか!」
「ことわざは、何問出ますか!」
「何点分、出ますか!」

いちどにすごい勢いで話しかけるので、聞き取れないし、答えられない。
それに、いつもわりと無口な女子もやたらに気迫がある。
「一度に言ったら、わかんないよ~」
えーと。範囲ね。範囲は・・・・・・。と一人一人答えた。
ずいぶん、やる気になってるなあ、とここでは何もわからなかった。

廊下を歩いていくと、今度は男子が数人、文庫本を持ってつめかけた。
「この本おもしろいですよ。」
「貸してあげます。読んで下さい!なんとかかんとか、なんだかんだ、ああだこうだ!」
あー。そういうことか。

長いこと、この仕事をしていると生徒の企画はすぐわかる。
でも、中学生に教えるのは久しぶりなので、にぶっていたし、期待もしていなかった。

ぼくは、授業の荷物をろうかに置いて、じっくりと話を聞き、どんどん答えた。
伝令(でんれい)役の生徒が、ちょろちょろぼくたちと教室を行き来している。
(もういいよ)と、伝令役がこっそり言うのがぼくにも聞こえる。
このアホさがたまらない。かわいすぎる。

ゆっくり歩いて授業教室に入る。まだ休み時間だが、全員席についてぼくを見る。ぼくは、(何をしたのかな?)と教室を見回すと、黒板にいっぱいのお祝いの絵と言葉が書いてあった。
「おーーー。ありがとう。こんなことしてくれるなんて思わなかった。うれしいね!」
そして、これは予告通り無理矢理♪ハッピバースディ♪を歌わせる。予定通りのお話をする。しかし、このクラスは話を聞くときものすごく澄んだ目で聞くのだ。あぶないっ。

では授業を始めましょう、と僕は竹取物語を追い読みさせた。
生徒の板書には慣れていた。
でも、教室に入れないように必死に時間かせぎする生徒の顔が目に浮かんだ。
声が少し震える。
あぶない。
早く読み終わらないとあぶない。早く読み終わろうとするとよけい胸がいっぱいになる。
目のふちが熱くなりかける。あ、あぶないっ。
「では、漢字ドリル」と言ったあとしばらく、だいぶがんばって何かこぼれてしまうのを我慢した。
とても感激しました。
4組のみなさん。ありがとうございました。うれしいです。
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