カテゴリー別目次 ・
記事一覧
2015-04-16up 2015-04-18添削編集
中学国語授業記録・握手・井上ひさし2011
※ 三年前なので細部を忘れている。例えば一時間目の前に、読み聞かせをしている。
■4月22日握手1・話者
(1)部首フラッシュカード。
(2)指書きなぞり写し
(3)本文段落番号。
(4)第1段落、追い読み。
(5)第2段落、各自音読。
(6)第3段落から、一人一文ずつ読ませて褒める、アドバイス。
(7)第7段落から、丸つけコンビで「一文」交替読み。
(8)
「話者は誰ですか」
話者とは何か教える。
(9)授業評価票。
■4月25日握手2・主役・指名なし発表
(1)部首フラッシュカード。構え。
(2)指なぞりプリント5問。
(3)「握手」丸つけコンビ「一分間」交替読み。第16段落から。
(4)
「登場人物を書きなさい」
「一人だけ消したほうがいい人がいます。どれですか」
(5)
「主役は、わたし・ルロイ、どちらか丸で囲みなさい」
わたし17人・ルロイ3人
(6)
「理由を書きなさい」
(7)
「指名しないので、言う人は立ち上がって発表しなさい」
「はい、どんどん間をあけずに。よし、**くん。次、**さん」
最初なので立った生徒の名を呼ぶ。
■4月26日握手3・主役とは・対役とは・あらすじと主題
(1)「握手」丸つけコンビ「一分間」交替読み。2回ずつ。
(2)
「主役とはどういうものか説明しなさい」
・たくさん出てくる。
・セリフがたくさんある。
・中心になる人物。
(3)
「何が中心になるかということです」
「握手は、わたしの話ですか。ルロイの話ですか」
(ルロイ)
「主役とは、その人の心の動きを中心に話が進む人物」
視写させる。
(4)
「対役、というのは主役の次に大事な人物です。誰ですか」
(わたし)
「対役とは、主役に最も大きな影響を与える人物」
視写させる。
(5)
「他の人は、わき役です」
(6)あらすじと主題
<あらすじ・ドラえもんで>
「ドラえもんは毎回同じあらすじです。どんなあらすじですか」
(色々言う)
「ドラえもんがのび太を助ける話(14字)」
「必ず最後に字数を書きます」
「もう少しつけ足しましょう」 (道具で)・・・「どこに入れる?」
「ドラえもんが道具でのび太を助ける話(18字)」
<主題・ドラえもんで>
「では、ドラえもんの主題は何ですか」
(色々言う。だがすべてあらすじの言い直し)
「作者が、あらすじを通して、僕たちに言いたいことは何かです」
「人生は~、とか、人間は~、で始めて書いてごらんなさい」
(書けていそうな男子指名)
(男子1)「人間は他人の力を借りないと生きられない」
・・・「よし!写しなさい」
(男子2)「人生は甘くない」
・・・「よし!写しなさい」
「二つの主題はだいぶ違いますね。
でも主題は一つではありません。その時の話によっても違います」
<桃太郎の例で>
「桃太郎の話をします。あらすじをまとめてください」
(いんちき桃太郎バージョン。三話連続。二十年間ウケ続けた。詳細は内緒)
<あらすじ・桃太郎で>
「誰が?」
「桃太郎が」
「何をする話?」
「鬼退治」
「桃太郎が鬼退治をする話(11字)」
「つけ足しましょう」
「仲間と共に」
「桃太郎が仲間と共に鬼退治をする話(11字 16字)」
「国語の時間は、消しゴムを使いません。線で消して書き直します」
「消しゴムで消すと、それまでの思考が消えてしまいます。残したほうが学力がつきます」
(7)授業評価票。
■5月6日握手4・あらすじ
(1)部首フラッシュ
(2)指なぞり写し書き
(3)教科書音読
1 追い読み一段落
2 丸つけコンビ1分交代読み二回・4分間
(4)『握手』の「あらすじ」を書く
1
「『握手』のあらすじを書きます。20字から25字で書きなさい」
「句読点は使いません」
「ルロイ、で始めて、話、で終わる。下にカッコで字数を書きなさい」
2 書けた生徒が持ってくる。
教卓は廊下ドア側に常に置いてある。
休み時間に毎時間動かす。
生徒が並ぶ場所はどの授業でも同じ。
廊下側の列と隣の列の間。
3 黒板には生徒の板書用に、番号を振っておく。
左端から黒板左右いっぱいに25341、と書く。
こうすると、次に書く生徒と隣で邪魔になることがない。
4 最初の生徒が見せに来る。正解かどうかは問わず、①と書く。
「黒板の1の下に書きなさい。書いた下に名前磁石を貼りなさい」
二番目の生徒が来る。②と書く。
「黒板の2の下に書きなさい。書いた下に名前磁石を貼りなさい」
繰り返しで、5人まで板書させる。
5
「わからない人は、黒板の真似をしなさい」
6 4人が板書し終わるまで、ノートを持ってこさせて、グルグル丸をつける。
「周りの人と見せっこして、相談してなさい」
7 4人が板書し終わったら、1番の生徒に自分の板書を読ませる。
5人目はまだ板書している。
本当は、ここで「7点!」とサッと採点して点数を書くといい。
でも、久しぶりにやるし、修行が足りなくてできない。
8 2番から4番の生徒まで次々板書を読ませる。ほぼ同時に5番目の生徒が板書し終わる。
9
「5番、**君、読みなさい」
黒板の前でそのまま読ませる。
10 端から順に10点満点で点数を書いていく。
「8点」「9点」「6点」と言いながら。
理由はいちいち言わない。
11
「**君、**君、**君に共通して入っている言葉は何ですか」
「ルロイ。わたし」
また、最も点数が低い板書の理由を簡単に言う。
日本語としておかしいとか、この言葉は無駄とか、字数が多すぎるとか。
多すぎるときはどこを削ればいいか聞き、板書を直して見せる。
12
「では、ルロイ、わたし、を入れてもう一度。20字以内で行きましょう。どうぞ」
13 板書はそのまま残しておく。
わからない生徒が真似して作り直すためだ。
14 一度目と同様に、一番目には1の下に書かせ、名前磁石を貼らせる。
「1番を消して書きなさい。磁石を貼りなさい」
という具合だ。
この授業では、二度目の5人のうち、2人は一度目に書けなかった生徒が書いた。
15 同様に、どんどん読ませる。5人目を黒板前で読ませて採点。
(正解実例=少し変だが時間が来た。全員に視写させた)
ルロイがわたしと昔の天使園の様子を話す話(20字)
(困った実例)
ルロイが天使園ですごした日々はわたしの話(20字)
■5月6日握手5・あらすじ
(1)『握手』の「あらすじ」を書く
困った例が出る時ほどおもしろい。どう直すか全員で検討すればよい。
だが、ちょうど時間が来たので「困ったね」で終わり。
※キーワード1個を3点とし、3個入っていれば、9点。
さらに、字数が収まり言葉がおかしくなければ1点追加して10点。
キーワードが2個のあらすじなら、3×2=6と、字数1点と、言葉2点。
のように、事前にはっきり決めておき、サッと採点する。
※ためらわないことが大事だ。
「採点は間違ってもよい。どんどん点数をつければよい」
「採点の仕方は、数をこなすうち、正確で早くなる。ためらわないことだ」
と習った。
そのとおりだと思う。
教師がもたもた自信なさそうに迷うと、生徒が混乱する。
「授業中の個別評価は、生徒に考える暇を与えず、どんどん行なう」
「誰は」で始めて「話」で終わり、下に「字数」を書かせる。
一年間、一貫してこのやり方で通す。
★本当は、正解例のあらすじは正解ではないと思う。
「思い出話をする話」か「ルロイが別れを伝えに来る話か」か。
後者だと思う。生徒に話し合わせたかった。
だが、中学入学以来、あらすじを書く最初の授業であった。
2度繰り返して、5人ずつ板書させ、採点してみせた。
時間が来た。
今回はこれでよしとした。
(2)授業評価票
■5月10日握手6・わたし・上野
(1)教科書音読
丸つけコンビ交代読み。
(2)発問
1
「わたし、についてわかることを三つ書きなさい」
2
「一段落。上野で会ったとありますが、なぜ他の町でなく上野なのですか。
理由を20字以内で書いて持ってきなさい」
■5月11日握手7・見せしめ
(1)教科書音読
全員一斉1分間音読。その後、丸つけコンビでほめたたえ合わせる。
(2)発問
発問の前には必ずその部分か段落を、ひとりに音読させる。
該当する語句に線を引かせる。
1
「ルロイはどこの国の人ですか」
カナダ。
2
「六段落。こんなうわさ、とあります。
そのあとに色々と書いてありますが、
うわさの中で最も重要なことを一つ探しなさい。20字以内です」
心の底では日本人を憎んでいる
「本当に憎んでいるのですか?」
「いない」
そうでなければ、孤児院で日本人の子どもを育てたりはしない。
3
「六段落。見せしめ、とありますが「誰へ」の「何のため」の見せしめですか。
書いて持ってきなさい」
これは意外なことに、おもしろかった。
ただし、教科書に明記されていない。推測である。
文意からの推測も大事だと、野口芳宏先生は言っている。
「見当をつけるのだ」
とDVDで確かおっしゃっていた。
ノートの答えは、ルロイ自身に対する「見せしめ」だというのが多い。
答えは言わず、見た印の丸をつけてどんどん返す。戻って相談させる。
4「
見せしめとは、どういうことですか」
「たとえば、Hyokoが漢字テストでミスをしました。
Cさんが怒って僕を廊下に連れ出し、見えない所でぶっとばしました。(笑)
見せしめになりますか?」
「ならない」
「ルロイは何をしたのですか」
(生徒数人答える)
「そうです。だから監督官はルロイの指をつぶしたのです。誰に対する見せしめですか」
(生徒答える)
「そうです。では、何のための見せしめですか。もう一度書いて持ってきなさい」
これで解決した。
■5月13日握手8・戦勝国など
(1)発問
1
「六段落。書いてありませんが、戦勝国とある戦争は何のことですか」
「戦勝国と敗戦国とはどこの国ですか」
どこが勝ち、敗けたか意外と知らない。
ルロイはカナダ人で敗戦国の人間だと書いてある。
これくらい中学三年で知らないのはかなりまずいよ、と言う。
ついでに、ドイツとイタリアの独裁者の名を訊き教える。けっこう知らない。
関連して『夜と霧』のことを少し話したら、ものすごく興味を示す。
必ず買うという生徒が数名いた。
2
「十六段落。何だか変だった、とありますが最初に変だと思ったのは何段落ですか」
ルロイは自分の寿命を知っていたと思うか、と聞くと、知っていたと思う、と言う。
理由も尋ねた。
3
「八段落。日本人を代表してものを言う、とありますが、
わたしのどのセリフのことを指していますか。線を引きなさい」
4
「十六段落。なんだか変だった、とありますが、
それより前に最初に変だと思ったのは、何段落ですか」
5
「ルロイは自分の寿命を知っていたと思いますか」
知っていた、と言う。
理由も尋ねた。
(2)テスト範囲漢字少し
(3)授業評価票