松下幸之助歴史館というのが大阪府門真市にある。元の本社を記念館にしたものでパナソニックの本社登録もそのままのはずである。
実家はその歴史館の位置から500mほど離れたところにあり、高齢の母はその敷地内に植えられた桜を見に行くのを恒例にしていた。今年は昨年脳梗塞で倒れてから足元が覚束ないから就いて行ってくれというので揃って行ってきた。
門真で生まれ門真で育ちまたその周辺で居住してきたのに歴史館に行ったことがなかった。花だけを見る気でいたが母親が中をみたいというので入ってみた。
ちょうど入社のシーズンで歴史館の前には200人はいただろうが黒っぽいスーツを着た若者が整列していて、どうやら新入社員の研修の一環として幸之助と会社の歴史を学ばせようというのだろう。
展示は「松下幸之助とパナソニックの歩み」というタイトルで構成されていた。昔、見たことがある、使ったこともある商品も展示されていて懐かしかった。
しかし、展示を見て行ってこれはどうかなという物に出逢った。幸之助が最晩年になって勲章をもらってそれを着けている写真である。勲一等旭日桐花大綬章、民間人には最高のものだが、所詮は人の評価、その程度のものになってしまう。
人間は他人の評価にハマらないもの、勲章を貰って喜んだらその程度のものになってしまう。今は勲◯等という等級は無くなったが、種類分けでランキングが分けられている。
貰えるものならどんなものでも貰うという人もいるが、そんなランク付けなんか馬鹿にするなというのが本来であるべきだ。
「愛名(あいみょう)は犯禁(ぼんきん)より悪(あ)し。犯禁は一時の非なり。愛名は一生の累(るい:過ちのこと)なり」(道元)
「群を抜けて益なし」(道元)