昨日、藤井聡太七段の本年度最終戦が行われ劇的な逆転勝利を収めた。
竜王戦四組のトーナメントで中田宏樹八段との対戦。
例によって、またまた、後手番を引いてしまった藤井七段、相手得意の櫓戦に持ち込まれ徐々に相手に優勢を気づかれ必敗と思われた。
ところが藤井七段の何気なく差された一着に当然のごとく応じた中田八段、これがとんでもない毒饅頭で頓死してしまった。
技巧2というAIによる評価値グラフが次の通り。
この局面で中田八段は5四歩と打つ、普通なら4四に逃げるところ、藤井七段は6二へ逃げた。単に銀を6二に動かしたなら怪しいと誰でも気づくところだが、歩で頭を抑えられて逃げたと見れば怪しまれない。残り時間も3分、銀はただだし、龍を王に近づけることができる。中田八段、パクっと銀を食ったのが次図。
龍が7二なら自陣の王の守りになっていたのが、それが外れた瞬間、藤井七段の詰めの筋に入ってしまった。さすが詰碁選手権で小学六年生から四連覇の実力。ここから持ち駒1枚も残さずに詰めてしまった。長手順を駒を残さず使い詰めるなんて作られた詰碁問題ならいざしらず実戦ではなかなかあり得ないことらしい。
詰みの筋をご覧になりたい方は次の動画がお薦めです。
https://www.youtube.com/watch?v=QWA6tcc_QFE
さて、藤井七段の今年度の成績は次の通り。他の棋士で未対局のものがあるので若干数字の動きはあるが、藤井七段については確定している。
後手番を引くことが異常なほど多くて、もっと先手率が高ければ中原名人の最高勝率0.855を超えていたかも知れない。