大概の人は命は一つ、世界も一つの生命を生きている。
まず世界があって、その中に1個体として生まれ、それを生き、老い、病を得て、死を迎える。それでは虚しいから死んでからも別世界で生き続けたり、生まれ変わったりすることを考えたりしている。
しかし、死んだ人間がその生命の形態を残したまま存在し続けるなんてありえない。
古代ギリシャ哲学者 キケロが「死者の命は生ける者の記憶に留まる」といっているが、これなら分かる。生きている人間が記憶や記録から頭の中に死者のイメージを呼び起こす。
人は二度死ぬとよく言う、一度目は実際に死んだ時、二度目は忘れられた時だという。忘れられない何かを残す、子・孫・ひ孫の代なら誰でも行けそうだが、それ以上は余程のことがない限り記憶もなくなり思い出しもしない。
さて、2つの命は一方は肉体を持った個体的生命だが、もう一つはその個体生命は宇宙一杯の広がり持っていると考えて宇宙生命のことである。宇宙生命があって個体生命があり、個体生命があって宇宙生命がある。
宇宙生命は死なないのだ。
私の宇宙生命は、あなたの宇宙生命であり、プーチン宇宙生命であり、ハマスの宇宙生命であり、誰でもどんな生命も同じ宇宙生命を生きているのだ。
彼あるがゆえに我あり、我あるがゆえに彼あり。皆、生命として繋がっている。そのことを深く知れば戦争など起こしようがないのである。
2つの世界とは、認識世界と実物世界である。宇宙は実物の世界である。我々は実物を生きているのであるが、実物をそのまま知ることはできない。実物を認知したものはみなイメージである。頭の中の作り物である。
実物とイメージの違いをよく了知しなければならない。
宗教はイメージの世界である。架空の世界に取り込まれている。どれだけ実物に触れているか。