漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「夏カ」<大きな人> と「榎えのき」

2014年07月06日 | 漢字の音符
 カ・ゲ・なつ  夊部

解字 篆文は、「頁(あたまを強調した人)+両手+夊(あし)」の象形。大きな頭に両手と夊(あし)をつけ、大きな人を表した字。古代文明が発祥した中国・中原地方で自らの部族を表す語として使われ、のち、中華(中国)の意味にも使われるようになった。現代字は、篆文から両手と頁の下部のハが略された形。また夊(あし)⇒夂に変化した。
 季節の夏(なつ)の意味は仮借カシャ(当て字)の用法。戦国時代に起こった五行説で「なつ(夏)」は火の行(火のような灼熱の性質を表す)に属しており、同じ発音の夏を「なつ」に当てたものと思われる(私見)。
意味 (1)なつ(夏)。「夏季カキ」「夏至ゲシ」 (2)大きい。さかん。「夏屋カオク」(大きな家) (3)中国。中国人の自称。「夏夷カイ」(自分たちの中華と未開の夷族) (4)中国の王朝の名。「夏王朝カオウチョウ」(禹が建てたとされる王朝。近年、発掘成果から実在性が高まっている)

イメージ 
 「なつ(仮借)」
(夏)
 大きな人から「おおきい」(廈・榎)
音の変化  カ:夏・廈・榎 
 
おおきい
 カ  广部
解字 「广(やね)+夏(おおきい)」の会意形声。おおきな屋根の家。
意味 (1)いえ。おおきな家。また、家や門のひさし。「大廈タイカ」(大きな家)「廈屋カオク」(大きな屋根でおおった家。大きな家) (2)地名。「廈門アモイ」(中国福建省南部の都市の名)
 カ・えのき  木部
解字 「木(き)+夏(おおきい)」の会意。大きな木の意。日本では、大木となって枝がひろがるエノキをいう。
意味 (1)[国]えのき(榎)。ニレ科エノキ属の落葉高木。枝を大きくひろげ大木となる。高さ20m以上になる。「榎茸えのきたけ」(榎などの枯れた切り株に生える食用きのこ) (2)トウキササゲ。ノウゼンカズラ科の落葉高木。楸ひさぎの別称。
<紫色は常用委漢字>

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする