漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「歹ガツ」<死者の骨>と「死シ」「葬ソウ」 

2014年07月29日 | 漢字の音符
 ガツ・タイ  歹部

解字 甲骨文第1字は、死者の骨が肉片から出た形で、死者の骨の一部を表す。第2字は、肉のまわりに点を配しており血がついたかたち。いずれも死者の骨を表している。甲骨文第1字の形を篆文がほぼ引き継ぎ、現代字の歹になった。歹は部首になる。
意味 (1)死者の残骨。 (2)わるい。
参考 歹は部首「歹がつ・がつへん」になる。漢字の左辺(偏)に付いて、死ぬ・よくないこと、を表す。常用漢字は5字、約14,600字を収録する『新漢語林』では42字が収録されている。主な字は以下のとおり。
 歹ガツ(部首)、死(歹+ヒの会意)、殉ジュン(歹+音符「旬ジュン」)、殊シュ(歹+音符「朱シュ」)、殖ショク(歹+音符「直チョク」)、残[殘]ザン(歹+音符「戔セン」)、殆タイ(歹+音符「台タイ」)、殲セン(歹+音符「韱セン」)など。


    シ <人がしぬ>
 シ・しぬ  歹部がつ

解字 甲骨文字第1字は、「人+井(墓穴)」の形で、人為的に掘られた穴に人が入ることから死を意味する。第2字は、「歹ガツ(死者の骨)+人」の会意で、人が死者を見て悼んでいる形[甲骨文字小字典]。この形が金文・篆文と続いており、現代字は篆文の人⇒ヒに変化した死になった。
意味 (1)しぬ(死ぬ)。「死去シキョ」「生死セイシ」 (2)おわる。活動がやむ。「死語シゴ」 (3)いのちがけ。「死守シシュ」「死闘シトウ

イメージ 「しぬ・死者」(死・屍・葬)
音の変化  シ:死・屍  ソウ:葬

しぬ・死者
 シ・しかばね  尸部

解字 甲骨分と金文は尸で、足が不自然に曲がった人の側面形であり、人間の屍体を表す。篆文になり、尸に死がついた屍ができた。屍は死者のからだ・しかばねの意を表す。
意味 しかばね(屍)。なきがら。死体。「屍骸シガイ」(=死骸。死者の骨の意だが、人や動物の死体の意で使われる)
 ソウ・ほうむる  艸部

解字 甲骨文字は、墓穴に入れた死体の周りに点をたくさん描いて、土をかけて埋めるさまを表す。篆文は「艸(くさ)+死(死体)+一(敷物)+艸(くさ)」 の会意。草むらの中に死体を敷物の上に置いてほうむること。甲骨文字の時代と比べて簡単な埋葬方法だが、戦乱や飢饉で死者が多かった時の葬り方か。現代字は、一(敷物)がとれ、上の艸⇒艹、下の艸⇒廾に変化した葬になった。
意味 ほうむる(葬る)。(1)死体・遺骨を墓所などにおさめる。「埋葬マイソウ」「葬列ソウレツ」「葬式ソウシキ」(2)世間から覆いかくす。「社会から葬られた」
<紫色は常用漢字>

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