緡ビン・愍ビンを追加しました。
民 ミン・たみ 氏部
解字 甲骨文字と金文は、目を針状のものでさしている形の象形。目を針で突いてその視力を失わせることを示している。[甲骨文字辞典]によると、甲骨文字の意味は、①目を傷つけること。②傷病のある目。③祭祀名とし、戦争捕虜を奴隷にする際に目をつぶす意味にも用いられているという。戦争捕虜を奴隷にする場合、目を見えなくしたら奴隷の労働に差し支えるのではないかと思うが、中国の[漢字源流字典]には、「目の形は左目であり、左目を刺して奴隷とした」と記されており片目の視力を失わせたと思われる。
金文もほぼ同じ形であるが、意味は一般的な庶民・百姓の意であり、奴隷を意味した民が庶民に変化したことが分る。この場合の「見えない」は文字が読めない意で用いたのだろうか。字形は篆文で目の形が大きく変化し、目をつく針も十のゆがんだ形となり、現代字はそれを受け継いだ民になった。民は現在「民主主義」という価値観を支える重要な字に変貌している。
意味 (1)たみ(民)。一般の人。「民衆ミンシュウ」「庶民ショミン」 (2)国家・社会を構成する人々。「国民コクミン」「人民ジンミン」
イメージ
目を針で刺している形から「見えない」(民・眠・罠・泯・緡・愍)
音の変化 ミン:民・眠 ビン:罠・泯・緡・愍
みえない
眠 ミン・ねむる・ねむい 目部
解字 「目(め)+民(みえない)」 の会意形声。目が見えない状態、即ち、ねむること。
意味 (1)ねむる(眠る)。ねむい(眠い)。ねむり。「睡眠スイミン」「春眠シュンミン」「安眠アンミン」 (2)死ぬ。「永眠エイミン」
罠 ビン・ミン・わな 罒部
解字 「罒(=网。あみ)+民(みえない)」の会意形声。見えない網にひっかかること。
意味 (1)わな(罠)。獣をさそい捕える仕掛け。他人を陥れる策略。「罠猟わなりょう」「罠にはまる」 (2)あみ。
泯 ビン・ミン 氵部
解字 「氵(みず)+民(みえない)」の会意形声。水が見えない、即ち水が尽きること。転じて、ほろびる意となる。また、紊ビン(みだれる)に通じ、みだれる意となる。
意味 (1)ほろびる(泯びる)。なくなる。つきる。「泯滅ビンメツ」(泯も滅も、ほろびる意)「泯没ビンボツ」(ほろんで没する。ほろびること)「泯然ビンゼン」(ほろびるさま) (2)みだれる。「泯乱ビンラン」(秩序・道徳が乱れる)
緡 ビン・ミン・コン 糸部
銭緡ぜにさし(ブログ「『千』の古銭箱」より)
解字 「糸(いと)+民(みえない)+日(ひ)」の形声。「民+日」は日(ひ)が見えない⇒暗い意だが、ここでは見えない意。見えないところに入れる糸。水の奥の見えないところに入れる釣り糸や、先の見えない穴(穴あき銭)にさす細い縄などをいう。また暗い意から、おろかの意ともなる。
意味 (1)つりいと。「緡綸ビンリン」(釣り糸) (2)さし(緡)。なわ。「銭緡ぜにさし」(銭の穴にさし通して一束とする細い縄)「緡銭ビンセン」(緡さしで通してひとまとめにした銭) (3)おろか。「緡緡ビンビン」(無知なさま)
愍 ビン・ミン・あわれむ・うれえる 心部
解字 「心(こころ)+民(みえない)+攵(うつ)」の形声。「民(みえない)+攵(うつ)」は、目をつぶされた奴隷を打つ形。それに心をつけた愍ビン・ミンは、打たれる奴隷を見て、あわれむ・うれえる意となる。
意味 (1)あわれむ(愍れむ)。「憐愍レンビン」(憐も愍も、あわれむ意。=憐憫レンビン)「愍傷ビンショウ」 (2)うれえる。「愍念ビンネン」(うれいおもう) (3)いたむ。「愍悼ビントウ」(いたむ)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
民 ミン・たみ 氏部
解字 甲骨文字と金文は、目を針状のものでさしている形の象形。目を針で突いてその視力を失わせることを示している。[甲骨文字辞典]によると、甲骨文字の意味は、①目を傷つけること。②傷病のある目。③祭祀名とし、戦争捕虜を奴隷にする際に目をつぶす意味にも用いられているという。戦争捕虜を奴隷にする場合、目を見えなくしたら奴隷の労働に差し支えるのではないかと思うが、中国の[漢字源流字典]には、「目の形は左目であり、左目を刺して奴隷とした」と記されており片目の視力を失わせたと思われる。
金文もほぼ同じ形であるが、意味は一般的な庶民・百姓の意であり、奴隷を意味した民が庶民に変化したことが分る。この場合の「見えない」は文字が読めない意で用いたのだろうか。字形は篆文で目の形が大きく変化し、目をつく針も十のゆがんだ形となり、現代字はそれを受け継いだ民になった。民は現在「民主主義」という価値観を支える重要な字に変貌している。
意味 (1)たみ(民)。一般の人。「民衆ミンシュウ」「庶民ショミン」 (2)国家・社会を構成する人々。「国民コクミン」「人民ジンミン」
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目を針で刺している形から「見えない」(民・眠・罠・泯・緡・愍)
音の変化 ミン:民・眠 ビン:罠・泯・緡・愍
みえない
眠 ミン・ねむる・ねむい 目部
解字 「目(め)+民(みえない)」 の会意形声。目が見えない状態、即ち、ねむること。
意味 (1)ねむる(眠る)。ねむい(眠い)。ねむり。「睡眠スイミン」「春眠シュンミン」「安眠アンミン」 (2)死ぬ。「永眠エイミン」
罠 ビン・ミン・わな 罒部
解字 「罒(=网。あみ)+民(みえない)」の会意形声。見えない網にひっかかること。
意味 (1)わな(罠)。獣をさそい捕える仕掛け。他人を陥れる策略。「罠猟わなりょう」「罠にはまる」 (2)あみ。
泯 ビン・ミン 氵部
解字 「氵(みず)+民(みえない)」の会意形声。水が見えない、即ち水が尽きること。転じて、ほろびる意となる。また、紊ビン(みだれる)に通じ、みだれる意となる。
意味 (1)ほろびる(泯びる)。なくなる。つきる。「泯滅ビンメツ」(泯も滅も、ほろびる意)「泯没ビンボツ」(ほろんで没する。ほろびること)「泯然ビンゼン」(ほろびるさま) (2)みだれる。「泯乱ビンラン」(秩序・道徳が乱れる)
緡 ビン・ミン・コン 糸部
銭緡ぜにさし(ブログ「『千』の古銭箱」より)
解字 「糸(いと)+民(みえない)+日(ひ)」の形声。「民+日」は日(ひ)が見えない⇒暗い意だが、ここでは見えない意。見えないところに入れる糸。水の奥の見えないところに入れる釣り糸や、先の見えない穴(穴あき銭)にさす細い縄などをいう。また暗い意から、おろかの意ともなる。
意味 (1)つりいと。「緡綸ビンリン」(釣り糸) (2)さし(緡)。なわ。「銭緡ぜにさし」(銭の穴にさし通して一束とする細い縄)「緡銭ビンセン」(緡さしで通してひとまとめにした銭) (3)おろか。「緡緡ビンビン」(無知なさま)
愍 ビン・ミン・あわれむ・うれえる 心部
解字 「心(こころ)+民(みえない)+攵(うつ)」の形声。「民(みえない)+攵(うつ)」は、目をつぶされた奴隷を打つ形。それに心をつけた愍ビン・ミンは、打たれる奴隷を見て、あわれむ・うれえる意となる。
意味 (1)あわれむ(愍れむ)。「憐愍レンビン」(憐も愍も、あわれむ意。=憐憫レンビン)「愍傷ビンショウ」 (2)うれえる。「愍念ビンネン」(うれいおもう) (3)いたむ。「愍悼ビントウ」(いたむ)
<紫色は常用漢字>
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