増補改訂しました。
呂 リョ・ロ 口部
解字 ある物がかさなったり、つらなる形の象形。甲骨文は金の延べ棒を積んだ形の象形字(金の原字)と同じ形だという[甲骨文字辞典]。金文は国名・地名・人名に使われている。後漢の[説文解字]は、背骨の連なる形とする。宮の字では建物が連なる意であり、同じものが連なるイメージがある。つらなる意から音楽の音階に仮借カシャ(当て字)され、中国・日本の音楽の十二律(音階)のうち偶数番目に当る六つの音をいう。
意味 (1)音楽の音階で陰の音律をいう。「律呂リツリョ」(律の音と呂の音。楽律) (2)言葉の調子。「呂律ロレツ」(言葉の調子)「呂律ロレツがまわらない」(舌の動きが悪くなること)「語呂ゴロ」(言葉を発したときの続きぐあい) (3)外国地名の表記。「呂宋ルソン」(フィリピンの主要島。Luzonの当て字)
イメージ
「つらなる」(呂・侶・宮・閭・櫚・筥・梠・絽)
音の変化 リョ:呂・侶・閭・梠 ロ:櫚・絽 キュウ:宮 キョ:筥
つらなる
侶 リョ・とも イ部
解字 「人(ひと)+呂(つらなる)」の会意形声。同列につらなる人。
意味 とも(侶)。ともがら。つれ。「伴侶ハンリョ」(なかま・つれ)「僧侶ソウリョ」(出家して僧門に帰した人、またその集団)
宮 キュウ・グウ・ク・みや 宀部
解字 「宀(たてもの)+呂(つらなる)」の会意形声。独立した部屋がつらなる王宮。
意味 (1)みや(宮)。神を祭るところ。「神宮ジングウ」「宮司グウジ」 (2)天子・天皇や皇族の住むところ。「王宮オウキュウ」「宮殿キュウデン」 (3)皇族。皇室。皇居。「中宮チュウグウ」「宮内クナイ」
閭 リョ 門部
解字 「門(もん)+呂(家がつらなる)」の会意形声。家がつらなる村里の門。転じて、村里を表す。「周代の制度で25家を里とし、里の入口には必ず門があり、その門を閭リョといった」(大修館漢語新辞典)
意味 (1)さと。むらざと。「閭巷リョコウ」(村里の通り。村里)「閭里リョリ」(村里) (2)村里の門。「閭門リョモン」(村里の門)
櫚 ロ・リョ 木部
解字 「木(き)+閭(=呂。つらなる)」の会意形声。上へ上へと積み重なるように(つらなって)成長する木。
意味 (1)「棕櫚シュロ」に使われる字。棕櫚シュロとは、ヤシ科の常緑高木。幹は太く直立し,上方に多数の葉をつけ、上へ上へと積み重なるように(つらなって)成長する木。 (2)「花櫚カリン」に使われる字。花櫚とは、マメ科の高木。東南アジアに分布し材は花櫚材として細工物・建具などに使用する。
筥 キョ・はこ 竹部
① ②
①『五経図匯』に描かれた筥
②「さいたま市岩槻人形博物館」の犬筥
解字 「竹(たけ)+呂(つらなる)」の会意形声。縦につらなるように重なる竹の籠。
意味 はこ(筥)。(1)竹製のかさねばこが原義。まるい竹製のかご。「筐筥キョウキョ」(竹製のはこ。筐は四角いはこ、筥はまるいはこ) (2)ふたのあるはこ。「犬筥いぬばこ」(犬のかたちをした雌雄一対のはこ)
梠 リョ・ロ・ひさし 木部
浄土寺八幡宮拝殿のひさし(寺社建築文化財の探訪<TIAS>より)
解字 「木(き)+呂(つらなる)」の会意形声。屋根の棟木(むなぎ)から軒桁(のきげた)まで勾配をつけてわたした垂木(たるき)の端が、軒先でそろって見えるさまで、ひさしをいう。
意味 (1)ひさし(梠)。のき(梠)。「屋梠オクリョ・オクロ」(屋根のひさし)「梁梠リョウリョ・リョウロ」(はりとひさし。梁は柱に水平に架ける材) (2)姓。「興梠こおろぎ・こうろき他」(宮崎県の高千穂や熊本県の阿蘇に多い姓)
絽 ロ・リョ 糸部
解字 「糸(いと)+呂(つらなる)」の会意形声。原義は糸で縫って布をつらねること。すなわち縫い綴(つづ)る・縫合する意。日本ではこの意で使われることなく、織り目の透いた薄い絹織物をいう。
羅ラから絽ロへ
羅ラの意味は鳥網だが、日本では目の粗い絹織物の意で用いた。『日本国語大辞典』によると、「羅衣 ロノコロモ」(文明本節用集・室町中)「羅 ロ」(撮壌集1454年)「羅ロ 羅ノ衣」(運歩色集1548年)の表記があり、中世の日本では羅ラを「ロ」と発音してこの絹織物を表現していた。羅ラの発音は中古音(隋・唐)であり、中国ではその後「lo(ろ)」に変化しており(現在はluóるお)、中世の日本では羅を「ロ」と発音する中国音が使われたと考えられる。その後、「綸子もあり絽(ロ)もあり」(浮世風呂1809-13年)のように羅に代わり同音の絽ロが使われるようになった。
意味 (1)ぬいつづる。つくろう。 (2)からみ織りの一種。織り目の透いた薄い絹織物。通気性が高いので、夏物の着物などに使われる。「生絽きろ」(生糸の絽織り)「練り絽ねりろ」(練り糸の絽織り)「絽縮緬ろちりめん」(縮緬糸の絽織り)「絽刺ろざし」(絽織りの布地に絹糸で刺繍をする。また、その刺繍をしたもの)「絽羽織ろばおり」(絽織りの短い上着) (3)縞織物の布。
<紫色は常用漢字>
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呂 リョ・ロ 口部
解字 ある物がかさなったり、つらなる形の象形。甲骨文は金の延べ棒を積んだ形の象形字(金の原字)と同じ形だという[甲骨文字辞典]。金文は国名・地名・人名に使われている。後漢の[説文解字]は、背骨の連なる形とする。宮の字では建物が連なる意であり、同じものが連なるイメージがある。つらなる意から音楽の音階に仮借カシャ(当て字)され、中国・日本の音楽の十二律(音階)のうち偶数番目に当る六つの音をいう。
意味 (1)音楽の音階で陰の音律をいう。「律呂リツリョ」(律の音と呂の音。楽律) (2)言葉の調子。「呂律ロレツ」(言葉の調子)「呂律ロレツがまわらない」(舌の動きが悪くなること)「語呂ゴロ」(言葉を発したときの続きぐあい) (3)外国地名の表記。「呂宋ルソン」(フィリピンの主要島。Luzonの当て字)
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「つらなる」(呂・侶・宮・閭・櫚・筥・梠・絽)
音の変化 リョ:呂・侶・閭・梠 ロ:櫚・絽 キュウ:宮 キョ:筥
つらなる
侶 リョ・とも イ部
解字 「人(ひと)+呂(つらなる)」の会意形声。同列につらなる人。
意味 とも(侶)。ともがら。つれ。「伴侶ハンリョ」(なかま・つれ)「僧侶ソウリョ」(出家して僧門に帰した人、またその集団)
宮 キュウ・グウ・ク・みや 宀部
解字 「宀(たてもの)+呂(つらなる)」の会意形声。独立した部屋がつらなる王宮。
意味 (1)みや(宮)。神を祭るところ。「神宮ジングウ」「宮司グウジ」 (2)天子・天皇や皇族の住むところ。「王宮オウキュウ」「宮殿キュウデン」 (3)皇族。皇室。皇居。「中宮チュウグウ」「宮内クナイ」
閭 リョ 門部
解字 「門(もん)+呂(家がつらなる)」の会意形声。家がつらなる村里の門。転じて、村里を表す。「周代の制度で25家を里とし、里の入口には必ず門があり、その門を閭リョといった」(大修館漢語新辞典)
意味 (1)さと。むらざと。「閭巷リョコウ」(村里の通り。村里)「閭里リョリ」(村里) (2)村里の門。「閭門リョモン」(村里の門)
櫚 ロ・リョ 木部
解字 「木(き)+閭(=呂。つらなる)」の会意形声。上へ上へと積み重なるように(つらなって)成長する木。
意味 (1)「棕櫚シュロ」に使われる字。棕櫚シュロとは、ヤシ科の常緑高木。幹は太く直立し,上方に多数の葉をつけ、上へ上へと積み重なるように(つらなって)成長する木。 (2)「花櫚カリン」に使われる字。花櫚とは、マメ科の高木。東南アジアに分布し材は花櫚材として細工物・建具などに使用する。
筥 キョ・はこ 竹部
① ②
①『五経図匯』に描かれた筥
②「さいたま市岩槻人形博物館」の犬筥
解字 「竹(たけ)+呂(つらなる)」の会意形声。縦につらなるように重なる竹の籠。
意味 はこ(筥)。(1)竹製のかさねばこが原義。まるい竹製のかご。「筐筥キョウキョ」(竹製のはこ。筐は四角いはこ、筥はまるいはこ) (2)ふたのあるはこ。「犬筥いぬばこ」(犬のかたちをした雌雄一対のはこ)
梠 リョ・ロ・ひさし 木部
浄土寺八幡宮拝殿のひさし(寺社建築文化財の探訪<TIAS>より)
解字 「木(き)+呂(つらなる)」の会意形声。屋根の棟木(むなぎ)から軒桁(のきげた)まで勾配をつけてわたした垂木(たるき)の端が、軒先でそろって見えるさまで、ひさしをいう。
意味 (1)ひさし(梠)。のき(梠)。「屋梠オクリョ・オクロ」(屋根のひさし)「梁梠リョウリョ・リョウロ」(はりとひさし。梁は柱に水平に架ける材) (2)姓。「興梠こおろぎ・こうろき他」(宮崎県の高千穂や熊本県の阿蘇に多い姓)
絽 ロ・リョ 糸部
解字 「糸(いと)+呂(つらなる)」の会意形声。原義は糸で縫って布をつらねること。すなわち縫い綴(つづ)る・縫合する意。日本ではこの意で使われることなく、織り目の透いた薄い絹織物をいう。
羅ラから絽ロへ
羅ラの意味は鳥網だが、日本では目の粗い絹織物の意で用いた。『日本国語大辞典』によると、「羅衣 ロノコロモ」(文明本節用集・室町中)「羅 ロ」(撮壌集1454年)「羅ロ 羅ノ衣」(運歩色集1548年)の表記があり、中世の日本では羅ラを「ロ」と発音してこの絹織物を表現していた。羅ラの発音は中古音(隋・唐)であり、中国ではその後「lo(ろ)」に変化しており(現在はluóるお)、中世の日本では羅を「ロ」と発音する中国音が使われたと考えられる。その後、「綸子もあり絽(ロ)もあり」(浮世風呂1809-13年)のように羅に代わり同音の絽ロが使われるようになった。
意味 (1)ぬいつづる。つくろう。 (2)からみ織りの一種。織り目の透いた薄い絹織物。通気性が高いので、夏物の着物などに使われる。「生絽きろ」(生糸の絽織り)「練り絽ねりろ」(練り糸の絽織り)「絽縮緬ろちりめん」(縮緬糸の絽織り)「絽刺ろざし」(絽織りの布地に絹糸で刺繍をする。また、その刺繍をしたもの)「絽羽織ろばおり」(絽織りの短い上着) (3)縞織物の布。
<紫色は常用漢字>
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