解字を改めました。
大空をカギ形になって飛行する鳥
雁 ガン・かり 隹部ふるとり
雁ガン(「ネイチャーエンジニア いきものブログ」より)
解字 「厂(ガン)+イ(ひと)+隹(とり)」の会意形声。[說文解字]は「鳥也(なり)。隹とりに从(したが)い、人に从(したが)う。厂(ガン)の聲(声)。発音は五晏切(ガン)。また[同注]は「臣鉉ゲン(=徐鉉。南唐・宋の文学者)等曰(いわ)く:雁。時を知る鳥。大夫タイフ(公卿に次ぐ家柄)以(もっ)て摯シ(あいさつの贈り物)と爲(な)す。昬禮(婚礼)に之(これ)を用いる、故に人に从(したが)う」とする。要するに、人が隹を用いるので「イ隹」となり、これに発音をあらわす厂(ガン)がついた字である。(飛ぶときに厂の形になる、と覚えることもできる)
また、雁という鳥は中国で「時を知る鳥」(春分を過ぎると北に向かってへ飛び、秋分以後に南へ帰ってくる鳥)であり、大夫タイフ(公卿に次ぐ家柄)の者は、この鳥を時候のあいさつとして公卿など上の階級の者に摯シ(贈り物)として用いた。
なお、雁は渡りをするとき雄雌がいつも一緒であると考えられ、このことから男女の結婚に際しても摯シ(贈り物)として用いられた。具体的には結納の品物として新郎が雁(木製)を持って花嫁の家にゆき、つがいの雁を花嫁の両親に差し上げる儀式があり、これを「奠雁テンガン」といった。
意味 (1)がん(雁)。かり(雁)。カモ科の大形の鳥の総称。カモに似ているが、ガンの方が大きくて、相対的にくびと脚が長い。羽色は種類によって異なるが雌雄同色。飛ぶときはかぎ形をなすことが多い。ほとんどが北半球の北部で繁殖し、秋に南方へ渡る。「雁が音ね・雁金かりがね」(①雁の鳴き声。転じて雁。②紋所の名)「帰雁キガン」(春に北へ渡る雁)「秋雁シュウガン」(秋に北から南にわたる雁)「落雁ラクガン」(①空から下りる雁。②型に押して固めた干菓子) (2)雁の飛ぶときの並び。V字型や階段の一段型あるいはその連続型。「雁行ガンコウ」(雁がV字形に列をなすさま)「雁序ガンジョ」(①飛ぶ雁のような整然とした序列。②兄弟のたとえ)「雁木ガンギ」(①船着き場の階段のある桟橋。②雪の多い新潟県で、町屋の庇(ひさし)を長くして柱で支え(厂型)、その下を通路としたもの) (3)贈り物にする雁。「奠雁テンガン」(結婚の際、新郎側から新婦側に渡される木製の雁)「木雁モクガン」(木製の雁。婚礼の贈り物として用いる。この風習は陸続きの朝鮮半島にも伝わり、李朝時代に盛んに行われた。[木雁の画像検索結果])
イメージ
「鳥のガン」(雁)
「贈り物のガン」(贋)
音の変化 ガン:雁・贋
贋 ガン・にせ 貝部
解字 「貝(財貨)+雁(贈り物のガン)」の会意形声。この字の雁は摯シ(あいさつの贈り物)としての雁。雁が北から飛来し捕獲できる季節になると、大夫タイフ階級の人は雁を手にいれ、上司である公卿に贈り物とする。中国ネットを見ると、雁が入手できないときは鵞鳥ガチョウを贈ることもあったとする。
ここからは私の想像であるが、生きた野禽や家禽を入手できない場合、財貨(貝=金銭)を渡すことがあったのではなかろうか。その際は「雁が手に入らないので・・・。これは本物の雁ではなく「にせもの」ですが、お受け取りください。」と言って渡したのであろう。そこから「贋にせ」の意味が発生したとおもわれる。
意味 にせ(贋)。にせもの。本物に似せてつくった物。「贋作ガンサク」「贋造ガンゾウ」「贋鼎ガンテイ」(にせのかなえ。斉が魯国に国宝の鼎を求めたのに対し、にせ物を与えた故事から)「贋本ガンポン」(にせの書や画)「贋札にせさつ」「贋金にせがね」(偽造や変造した貨幣)「贋物にせもの」「真贋シンガン」(本物と偽物)
大空をカギ形になって飛行する鳥
雁 ガン・かり 隹部ふるとり
雁ガン(「ネイチャーエンジニア いきものブログ」より)
解字 「厂(ガン)+イ(ひと)+隹(とり)」の会意形声。[說文解字]は「鳥也(なり)。隹とりに从(したが)い、人に从(したが)う。厂(ガン)の聲(声)。発音は五晏切(ガン)。また[同注]は「臣鉉ゲン(=徐鉉。南唐・宋の文学者)等曰(いわ)く:雁。時を知る鳥。大夫タイフ(公卿に次ぐ家柄)以(もっ)て摯シ(あいさつの贈り物)と爲(な)す。昬禮(婚礼)に之(これ)を用いる、故に人に从(したが)う」とする。要するに、人が隹を用いるので「イ隹」となり、これに発音をあらわす厂(ガン)がついた字である。(飛ぶときに厂の形になる、と覚えることもできる)
また、雁という鳥は中国で「時を知る鳥」(春分を過ぎると北に向かってへ飛び、秋分以後に南へ帰ってくる鳥)であり、大夫タイフ(公卿に次ぐ家柄)の者は、この鳥を時候のあいさつとして公卿など上の階級の者に摯シ(贈り物)として用いた。
なお、雁は渡りをするとき雄雌がいつも一緒であると考えられ、このことから男女の結婚に際しても摯シ(贈り物)として用いられた。具体的には結納の品物として新郎が雁(木製)を持って花嫁の家にゆき、つがいの雁を花嫁の両親に差し上げる儀式があり、これを「奠雁テンガン」といった。
意味 (1)がん(雁)。かり(雁)。カモ科の大形の鳥の総称。カモに似ているが、ガンの方が大きくて、相対的にくびと脚が長い。羽色は種類によって異なるが雌雄同色。飛ぶときはかぎ形をなすことが多い。ほとんどが北半球の北部で繁殖し、秋に南方へ渡る。「雁が音ね・雁金かりがね」(①雁の鳴き声。転じて雁。②紋所の名)「帰雁キガン」(春に北へ渡る雁)「秋雁シュウガン」(秋に北から南にわたる雁)「落雁ラクガン」(①空から下りる雁。②型に押して固めた干菓子) (2)雁の飛ぶときの並び。V字型や階段の一段型あるいはその連続型。「雁行ガンコウ」(雁がV字形に列をなすさま)「雁序ガンジョ」(①飛ぶ雁のような整然とした序列。②兄弟のたとえ)「雁木ガンギ」(①船着き場の階段のある桟橋。②雪の多い新潟県で、町屋の庇(ひさし)を長くして柱で支え(厂型)、その下を通路としたもの) (3)贈り物にする雁。「奠雁テンガン」(結婚の際、新郎側から新婦側に渡される木製の雁)「木雁モクガン」(木製の雁。婚礼の贈り物として用いる。この風習は陸続きの朝鮮半島にも伝わり、李朝時代に盛んに行われた。[木雁の画像検索結果])
イメージ
「鳥のガン」(雁)
「贈り物のガン」(贋)
音の変化 ガン:雁・贋
贋 ガン・にせ 貝部
解字 「貝(財貨)+雁(贈り物のガン)」の会意形声。この字の雁は摯シ(あいさつの贈り物)としての雁。雁が北から飛来し捕獲できる季節になると、大夫タイフ階級の人は雁を手にいれ、上司である公卿に贈り物とする。中国ネットを見ると、雁が入手できないときは鵞鳥ガチョウを贈ることもあったとする。
ここからは私の想像であるが、生きた野禽や家禽を入手できない場合、財貨(貝=金銭)を渡すことがあったのではなかろうか。その際は「雁が手に入らないので・・・。これは本物の雁ではなく「にせもの」ですが、お受け取りください。」と言って渡したのであろう。そこから「贋にせ」の意味が発生したとおもわれる。
意味 にせ(贋)。にせもの。本物に似せてつくった物。「贋作ガンサク」「贋造ガンゾウ」「贋鼎ガンテイ」(にせのかなえ。斉が魯国に国宝の鼎を求めたのに対し、にせ物を与えた故事から)「贋本ガンポン」(にせの書や画)「贋札にせさつ」「贋金にせがね」(偽造や変造した貨幣)「贋物にせもの」「真贋シンガン」(本物と偽物)