土木のしごと - (有)礒部組現場情報

地域のためにはたらき、ふつうの暮らしを支える人たち。(有)礒部組とその仲間たちのたのしくゆかいな面々。日々是土木。

無名橋

2019年02月25日 | 国道493号防災工事

 

無名橋という名の名もない橋。

全国には、この無名橋が数え切れないぐらい存在しています。

そのなかのひとつ。

北川村小島の国道493号(旧道)にある小さな橋。

この無名橋を架けかえる仕事がはじまります。

着手前の調査をする現場技術者を見ながら

曽野綾子『無名碑』の一節が思い浮かびました。

 

「あなたが、あそこにダムを作るのね」

「僕も作る」

「名前は書かないのね。あなたの仕事は」

「そうだよ、小説家とは違う」

竜起は思い出して笑った。

「書かないのがすてきだわ。名前は残らないほうがいいの」

「僕の仕事は一生どんなにいい仕事をしても個人の名前は残らない」

「でも、私たちの子供が覚えていてくれるでしょうね。私、子供に教えるつもりよ。このダムはね、お父さんが作ったのよ、って」

「それで充分じゃないか」

(『無名碑(上)』曽野綾子、講談社文庫、P.128)


無名橋という名の名もない橋を架けかえる無名のひとたち。

「この橋はね、お父さんがつくったんだよ」

ぜひ、そう自慢してやってくださいな。

(みやうち)

 

 

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