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ブラジル、世界第3位の巨大水力発電ダム建設にアマゾン先住民反発

2012-07-12 | 先住民族関連
新興国情報EMeye 2012/07/10 22:49
 ブラジルでは現在、北東部パラー州アルタミラ市付近のアマゾン川水系シングー川に推定投資額約110億ドル(約8800億円)をかけダムを建設し、総発電量1100万キロワットのベロモンテ水力発電所ダムを建設しようとしている。
 同発電所は、中国の三峡ダム、ブラジルとパラグアイ共同出資によるイタイプ水力発電所に次ぐ規模となる予定でmブラジル政府は15年前半からの一部運用開始、19年の全体完成を目指す。ただ、現地住民の反対も根強い。
 同発電所は人口2600万人規模の大都市圏電力を賄うことが可能。計画では最高30%がパラー州に、残りの電力は需要に応じて他州に供給する。事業実施業者は大手ゼネコンのケイロス・ガルバォン、発送電を行う北部電力公社(エレトロノルテ)などが参加するコンソーシアム、ノルテ・エネルジーアが行なう。資源開発ヴァーレも事業に参加しており、政府によると雇用人数は直接1万8000人、間接2万3000人になるという。
 ただ、この計画には世界的に批判もかなり多い。アマゾン熱帯雨林の水没は500平方キロ以上に及び、インディオのカヤポー族を中心に先住民族ら1万6000人(4万人とも)が立ち退きを迫られている。1970年代から建設計画は進められたが、ダム建設による水没に怒りインディオが反発。計画は遅々として進まなかった。
 しかし近年の急激な経済成長からブラジルにおける、新発電所の設置が不可欠になると政府は強引にダム建設を推進。11年6月に環境・再生可能天然資源院(IBAMA)は設置許可を承認した。
 決定に対し、住民や自然境に対する影響が大きすぎるとして政府内から決定後も批判の声が続出。米州機構(OAS)は11年4月、ブラジル政府に建設中止の要請を提出した。もっともブラジル政府に建設を中止する様子はなく、現在もブラジル政府に対しインディオの抗議は続いているが、工事は着々と進み先すでに動植物への影響が報告され始めている。
 ブラジルでは環境への影響が大きい水力発電が電力供給の8割超を占める。政府とすれば経済成長のためには発電所が絶対に必要との認識があるのは間違いない。立地的に地震や津波が置きにくいため原発を建設するべきとの声があるにはあるが、ブラジル政府はベロモンテ水力発電所への固執を止めようとしない。政府内には「中止」との意思はないようだ。 (宮尾克弥)
http://www.emeye.jp/disp%2FBRA%2F2012%2F0710%2Fstockname_0710_023%2F0%2F1/

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国際捕鯨委員会 多様性保全を理念に出直しを(社説)

2012-07-12 | 先住民族関連
愛媛新聞 2012年07月10日(火)
 パナマ市で開かれた国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会は、捕鯨国と反捕鯨国の対立で、ほとんど何の成果もみないままに終わった。
 捕鯨枠やクジラ禁漁区の設定、商業捕鯨の再開問題などを議論したが、重要な内容は何も決まらずじまい。毎年の開催は2年に1回となり、次回開催地に至っては未定という前代未聞の事態だ。
 クジラ資源の保全や適切な利用を目指して設置されたIWCだが、もはや機能不全状態に陥っている。運営手法や理念の見直しなど、早急に国際機関としての在り方を再検討しなければならない。
 IWCは、基本的に各国の商業捕鯨を禁止。先住民などが実施している生活に必要な頭数に限って捕獲を許可する方針を採っている。ただ、各国の思惑で商業捕鯨の線引きについて見解が割れ、政治的な思惑が交錯しては紛糾する事態が繰り返されてきた。
 今回も米国アラスカとロシア、カリブ海の先住民が行っている捕鯨は現状維持が可決されたものの、グリーンランドの先住民が伝統的に行ってきたミンククジラ枠が否決された。また、日本が提案したミンククジラの沿岸捕鯨再開は投票にさえかけられないなど、世界的な反捕鯨の流れが反映された格好だ。
 むろん、資源保護の観点から捕獲頭数を制限する必要性は各国とも認識しなければならない。クジラは海洋生態系の頂点に位置する哺乳類だ。科学的データが不足したまま捕獲枠を設定し、生態学的多様性を失わせるようなことがあってはならない。
 ただ、IWCの総会自体が科学的知見に基づいて運営されているとは言い難い。
 米国やオーストラリアなど反捕鯨国と日本やノルウェーなど捕鯨国が対立。加盟89カ国の駆け引きが横行し、揚げ句に各国の恣意(しい)的運用がまかり通っているのが現状だ。
 そもそも、伝統的な捕鯨国と捕鯨に経済的重要性を置かない国が集って、議論が結実するはずもあるまい。
 例えば、ブラジルなどが提案した南大西洋のクジラ禁漁区(サンクチュアリ)設定の提案は、日本などの提案で否決された。「科学的根拠がない」といった理由だ。
 しかし、科学的根拠がないならまず禁漁区にし、徹底的な調査を行うのが国際機関の採るべき姿勢であろう。
 クジラ保護は、とかく感情論が先行する。各国が政治的経済的エゴをむき出しに暴走するIWCは既に形骸化し、最も実りの少ない国際委員会となってしまった。
 クジラを含め大型哺乳類を含む生態系の保全は、科学的データに基づく冷静な戦略が必要だ。各国がそれを理解して出直さねば、海洋資源を保全することは不可能だ。
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201207101212.html

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