中日新聞 2016年8月7日 朝刊

リオデジャネイロ五輪の開会式で、日の丸が入った衣装を着て日系移民を演じるダンサーら=5日、マラカナン競技場で(共同)
【リオデジャネイロ=本社五輪取材団】南米初開催となるリオデジャネイロ五輪が五日夜(日本時間六日朝)、開幕した。世界でテロや紛争など暴力と憎悪の連鎖が続く中、開会式は民族や宗教、政治などの多様性の尊重を人々に強く訴え掛けた。競技は一夜明けた六日朝(同六日夜)から本格的に始まり、メダルが期待される柔道では女子48キロ級の近藤亜美(三井住友海上、名古屋市出身)、男子60キロ級の高藤直寿(パーク24)が、そろって初戦の二回戦を突破した。
開会式はリオ中心部のマラカナン競技場であった。先住民族やポルトガル人、黒人ら、さまざまな人種で築かれたブラジルの歴史や文化をサンバやボサノバなど多彩な音楽や踊りで表現。会場はカーニバルのような演出で彩られた。
一九四五年八月六日の広島への原爆投下から七十一年。その時間帯とちょうど重なった式典では日の丸をモチーフにした衣装のダンサーらが登場し、今や約百五十万人に増えた日本移民の夢と苦難を演じた。
南米大陸に初上陸したスポーツの祭典はスローガンに「新しい世界」を掲げた。ロシアの国ぐるみのドーピング問題に揺れる中、異例の幕開けとなったが、史上最多の二百五カ国・地域から、一万一千人超の選手が出場。十七日間で二十八競技三百六種目に挑む。
入場行進は五輪発祥のギリシャ選手団から順にスタート。日本選手団は約百四十人で百四番目に登場した。そろいの赤い上着と白いズボン姿で日の丸とブラジル国旗を振り、両国の友好をアピールした。
ひときわ温かな声援をあびたのは、中東やアフリカの内戦などで故郷を追われた十選手で結成された「難民選手団」。昨年八月にエーゲ海を泳いで欧州に逃れたシリア出身で女子競泳に出場するユスラ・マルディニは「世界中の難民の希望になりたい」との思いを抱き、観客席に手を振った。
厳格なイスラム教で女性の体育が忌避されてきた国々にも変化が見えた。イランは、健常者でも障害者でも出場が認められたアーチェリー競技に出場する女子選手が車いすに乗って旗手を務めた。サウジアラビアは四人の女子選手がスカーフを頭に巻いて勝負に挑む。
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2016080702000060.html

リオデジャネイロ五輪の開会式で、日の丸が入った衣装を着て日系移民を演じるダンサーら=5日、マラカナン競技場で(共同)
【リオデジャネイロ=本社五輪取材団】南米初開催となるリオデジャネイロ五輪が五日夜(日本時間六日朝)、開幕した。世界でテロや紛争など暴力と憎悪の連鎖が続く中、開会式は民族や宗教、政治などの多様性の尊重を人々に強く訴え掛けた。競技は一夜明けた六日朝(同六日夜)から本格的に始まり、メダルが期待される柔道では女子48キロ級の近藤亜美(三井住友海上、名古屋市出身)、男子60キロ級の高藤直寿(パーク24)が、そろって初戦の二回戦を突破した。
開会式はリオ中心部のマラカナン競技場であった。先住民族やポルトガル人、黒人ら、さまざまな人種で築かれたブラジルの歴史や文化をサンバやボサノバなど多彩な音楽や踊りで表現。会場はカーニバルのような演出で彩られた。
一九四五年八月六日の広島への原爆投下から七十一年。その時間帯とちょうど重なった式典では日の丸をモチーフにした衣装のダンサーらが登場し、今や約百五十万人に増えた日本移民の夢と苦難を演じた。
南米大陸に初上陸したスポーツの祭典はスローガンに「新しい世界」を掲げた。ロシアの国ぐるみのドーピング問題に揺れる中、異例の幕開けとなったが、史上最多の二百五カ国・地域から、一万一千人超の選手が出場。十七日間で二十八競技三百六種目に挑む。
入場行進は五輪発祥のギリシャ選手団から順にスタート。日本選手団は約百四十人で百四番目に登場した。そろいの赤い上着と白いズボン姿で日の丸とブラジル国旗を振り、両国の友好をアピールした。
ひときわ温かな声援をあびたのは、中東やアフリカの内戦などで故郷を追われた十選手で結成された「難民選手団」。昨年八月にエーゲ海を泳いで欧州に逃れたシリア出身で女子競泳に出場するユスラ・マルディニは「世界中の難民の希望になりたい」との思いを抱き、観客席に手を振った。
厳格なイスラム教で女性の体育が忌避されてきた国々にも変化が見えた。イランは、健常者でも障害者でも出場が認められたアーチェリー競技に出場する女子選手が車いすに乗って旗手を務めた。サウジアラビアは四人の女子選手がスカーフを頭に巻いて勝負に挑む。
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2016080702000060.html