毎日新聞2017年4月21日 地方版
帯広市の観光名所として知られる屋台村「北の屋台」に20日、アイヌ料理を提供する店「ポンチセ」が開店した。店主は、アイヌ民族の血を引く豊川純子さん(40)。幼少期から差別を肌で感じ、アイヌであることを隠してきたが、昨年夏の乳がん手術を経て、出自と向き合う生き方を選んだ。店名はアイヌ語で「小さな家」の意味。「誰もが帰って来られる場所に」との願いを込めた。【鈴木斉】
帯広で生まれ育った豊川さんは、母の加代子さん(65)がアイヌだ。幼少期からアイヌが差別の対象だと感じ、「いつも(アイヌと)ばれるんじゃないかと思い、隠し続けた」と振り返る。
地元の高校を卒業してオーストラリアに留学し、現地で出会ったインドネシア人男性と結婚。2人の娘に恵まれた。帰国後はアジア雑貨の店や飲食店などに勤めていたが、昨年8月、乳がんを宣告され、同9月に摘出手術を受けた。再発を気に掛けながら闘病生活を送る中で、「私の人生、アイヌを隠し、避けて生きているだけでいいのか」と、ふと感じた。
アマチュア歌手として札幌市を拠点にアイヌの音楽活動を続ける、妹の姿も刺激になった。「文化を大切にすることが、かっこよく見えて。自分もやりたいことをやってみようと思った」という。
店では豚骨を4時間ほど煮込み、骨ごとスープとして味わうアイヌの家庭料理「ポネオハウ」などを提供。「以前はアイヌの料理自体も避けていた。不思議な感じだけど、懐かしくておいしい」と笑顔を見せた。
北の屋台は20店が小路を挟んで軒を連ねる。3年ごとに継続店も含め店の入れ替えがあり、20日に新期営業が始まった。ポンチセは8席だけの小さなスペース。「アイヌの食文化を知ってほしい。外国人客も多いので、アイヌ文化を世界に広めたい」と目を輝かせ、「少しは伝承活動になるかな」と、はにかんだ。
https://mainichi.jp/articles/20170421/ddl/k01/040/290000c
帯広市の観光名所として知られる屋台村「北の屋台」に20日、アイヌ料理を提供する店「ポンチセ」が開店した。店主は、アイヌ民族の血を引く豊川純子さん(40)。幼少期から差別を肌で感じ、アイヌであることを隠してきたが、昨年夏の乳がん手術を経て、出自と向き合う生き方を選んだ。店名はアイヌ語で「小さな家」の意味。「誰もが帰って来られる場所に」との願いを込めた。【鈴木斉】
帯広で生まれ育った豊川さんは、母の加代子さん(65)がアイヌだ。幼少期からアイヌが差別の対象だと感じ、「いつも(アイヌと)ばれるんじゃないかと思い、隠し続けた」と振り返る。
地元の高校を卒業してオーストラリアに留学し、現地で出会ったインドネシア人男性と結婚。2人の娘に恵まれた。帰国後はアジア雑貨の店や飲食店などに勤めていたが、昨年8月、乳がんを宣告され、同9月に摘出手術を受けた。再発を気に掛けながら闘病生活を送る中で、「私の人生、アイヌを隠し、避けて生きているだけでいいのか」と、ふと感じた。
アマチュア歌手として札幌市を拠点にアイヌの音楽活動を続ける、妹の姿も刺激になった。「文化を大切にすることが、かっこよく見えて。自分もやりたいことをやってみようと思った」という。
店では豚骨を4時間ほど煮込み、骨ごとスープとして味わうアイヌの家庭料理「ポネオハウ」などを提供。「以前はアイヌの料理自体も避けていた。不思議な感じだけど、懐かしくておいしい」と笑顔を見せた。
北の屋台は20店が小路を挟んで軒を連ねる。3年ごとに継続店も含め店の入れ替えがあり、20日に新期営業が始まった。ポンチセは8席だけの小さなスペース。「アイヌの食文化を知ってほしい。外国人客も多いので、アイヌ文化を世界に広めたい」と目を輝かせ、「少しは伝承活動になるかな」と、はにかんだ。
https://mainichi.jp/articles/20170421/ddl/k01/040/290000c