読売新聞2017年05月10日

今年度テーマは「衣食住」
平取町立二風谷にぶたに小学校で、今年もアイヌ語の授業が始まった。二風谷地区は人口の約8割がアイヌ民族の血を引いているといわれるが、家族間での伝承が途絶えかけていた。アイヌ文化への理解と郷土愛を深めてほしいと始めた授業は今年で3年目。講師の町立二風谷アイヌ文化博物館の関根健司さん(45)は「今後は道内の全学校で使えるカリキュラムを開発したい」と語る。
今年度初のアイヌ語の授業は4月27日、全校児童約20人が参加。児童はアイヌ語に訳した童謡を歌ったり、アイヌ語で「レンネワロクヤン」(3人になって座ってください)などと言われた通りに行動するゲームをしたりした。
あいさつや1~10までの数字の数え方、体の部位の名称などを学んだ3年の露木慶治君(8)は「歌を歌っていたらいつの間にか覚えていた。次も楽しみ」と笑顔だった。
国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)は、アイヌ語を消滅の危険性が最も高い言語と指摘している。しかし、道や道アイヌ協会などによると、道内で年間を通してアイヌ語の授業を行っているのは同校だけだ。授業をきっかけに、町内のアイヌ語教室に通う児童もいるという。
同校は2015年度から3年生以上を対象に、総合学習の時間を利用して教えている。だがアイヌ語の授業に割けるのは10回程度で、これまであいさつなどの簡単な会話を教えてきた。
関根さんは「学校で教える意義は大きいが、時間的な制約もあり、昨年までは手探りだった」と振り返る。
初日の授業はアイヌ文化に親しみをもってもらうための特別授業だったが、今年度からはテーマを「衣食住」に決め、アイヌ文化を体系的に教えることにした。
アイヌ民族は夜中に水をくむ時、水の神様を驚かさぬよう、「ワッカモーシモーシ」(水よ目覚めて)と唱える。「これは自然への畏敬の念からきた儀式であり、他者への思いやりでもある」と話す関根さんは、「アイヌ語の学習を通じて心豊かな人に成長してほしい」と願っている。
同校の阿部秀智校長(55)は「北海道の自然と共生してきたアイヌの文化を、二風谷の子どもたちは誇りに思ってほしい」と話す。
http://www.yomiuri.co.jp/hokkaido/news/20170510-OYTNT50071.html

今年度テーマは「衣食住」
平取町立二風谷にぶたに小学校で、今年もアイヌ語の授業が始まった。二風谷地区は人口の約8割がアイヌ民族の血を引いているといわれるが、家族間での伝承が途絶えかけていた。アイヌ文化への理解と郷土愛を深めてほしいと始めた授業は今年で3年目。講師の町立二風谷アイヌ文化博物館の関根健司さん(45)は「今後は道内の全学校で使えるカリキュラムを開発したい」と語る。
今年度初のアイヌ語の授業は4月27日、全校児童約20人が参加。児童はアイヌ語に訳した童謡を歌ったり、アイヌ語で「レンネワロクヤン」(3人になって座ってください)などと言われた通りに行動するゲームをしたりした。
あいさつや1~10までの数字の数え方、体の部位の名称などを学んだ3年の露木慶治君(8)は「歌を歌っていたらいつの間にか覚えていた。次も楽しみ」と笑顔だった。
国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)は、アイヌ語を消滅の危険性が最も高い言語と指摘している。しかし、道や道アイヌ協会などによると、道内で年間を通してアイヌ語の授業を行っているのは同校だけだ。授業をきっかけに、町内のアイヌ語教室に通う児童もいるという。
同校は2015年度から3年生以上を対象に、総合学習の時間を利用して教えている。だがアイヌ語の授業に割けるのは10回程度で、これまであいさつなどの簡単な会話を教えてきた。
関根さんは「学校で教える意義は大きいが、時間的な制約もあり、昨年までは手探りだった」と振り返る。
初日の授業はアイヌ文化に親しみをもってもらうための特別授業だったが、今年度からはテーマを「衣食住」に決め、アイヌ文化を体系的に教えることにした。
アイヌ民族は夜中に水をくむ時、水の神様を驚かさぬよう、「ワッカモーシモーシ」(水よ目覚めて)と唱える。「これは自然への畏敬の念からきた儀式であり、他者への思いやりでもある」と話す関根さんは、「アイヌ語の学習を通じて心豊かな人に成長してほしい」と願っている。
同校の阿部秀智校長(55)は「北海道の自然と共生してきたアイヌの文化を、二風谷の子どもたちは誇りに思ってほしい」と話す。
http://www.yomiuri.co.jp/hokkaido/news/20170510-OYTNT50071.html