北海道新聞 05/21 05:00、05/21 19:58 更新
政府は2020年までの制定を検討するアイヌ民族に関する新法について、「先住民族」を明記した基本法とする方向で検討していることを、北海道アイヌ協会側に伝えていたことが分かった。政府が検討しているアイヌ民族への生活・教育支援については「盛り込むことは難しい」としており、政府に具体策を要請してきた協会幹部らは「新法は理念をうたうだけで骨抜きの内容になりかねない」と警戒している。
北海道アイヌ協会は昨年3月、生活・教育支援を政府に要請し、菅義偉官房長官が「法的措置の必要性を総合的に検討する」と表明。昨年7月からアイヌ政策関係省庁連絡会議で、「生活の安定・向上」や「幼児教育の充実」など6項目の検討に着手していた。
現在も検討は続くが、内閣官房アイヌ総合政策室の担当者は3月下旬、北海道アイヌ協会の理事らの会合で政府が08年にアイヌ民族を先住民族と認めたことを踏まえ「新法に『先住民族』を掲げるべきだ」との認識を示した。生活・教育支援を位置づけることについては困難との見通しを示した。
理由の一つとして、道は現在、道内の高校生以上のアイヌ民族の子弟を対象に教育資金の貸付制度を独自に行っているが、新法で国の基準に照らして具体策を定めると「支援の規模が縮小する恐れもある」と協会側に説明したという。
別の政府関係者は「基本法で先住民族としての土俵をつくった上で、具体的な政策を展開したい」と話す。これに対し、北海道アイヌ協会幹部の一人は「政府は20年の 東京五輪 ・ パラリンピック に向け、人権を重視する国際世論を意識してアイヌ政策を充実させようとしてきた。今回が基本法に終われば、具体策の実現は遠のくのではないか」と反発している。
生活・教育支援については、北海道アイヌ協会の前身の北海道ウタリ協会が1984年に決議した「アイヌ民族に関する法律案」に定めたが、97年制定のアイヌ文化振興法に反映されなかった。政府の有識者懇談会は、09年の報告書で生活・教育支援の必要性に触れた上で「立法措置がアイヌ政策の推進に大きな意義を有する」と言及していた。
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/politics/politics/1-0401944.html
政府は2020年までの制定を検討するアイヌ民族に関する新法について、「先住民族」を明記した基本法とする方向で検討していることを、北海道アイヌ協会側に伝えていたことが分かった。政府が検討しているアイヌ民族への生活・教育支援については「盛り込むことは難しい」としており、政府に具体策を要請してきた協会幹部らは「新法は理念をうたうだけで骨抜きの内容になりかねない」と警戒している。
北海道アイヌ協会は昨年3月、生活・教育支援を政府に要請し、菅義偉官房長官が「法的措置の必要性を総合的に検討する」と表明。昨年7月からアイヌ政策関係省庁連絡会議で、「生活の安定・向上」や「幼児教育の充実」など6項目の検討に着手していた。
現在も検討は続くが、内閣官房アイヌ総合政策室の担当者は3月下旬、北海道アイヌ協会の理事らの会合で政府が08年にアイヌ民族を先住民族と認めたことを踏まえ「新法に『先住民族』を掲げるべきだ」との認識を示した。生活・教育支援を位置づけることについては困難との見通しを示した。
理由の一つとして、道は現在、道内の高校生以上のアイヌ民族の子弟を対象に教育資金の貸付制度を独自に行っているが、新法で国の基準に照らして具体策を定めると「支援の規模が縮小する恐れもある」と協会側に説明したという。
別の政府関係者は「基本法で先住民族としての土俵をつくった上で、具体的な政策を展開したい」と話す。これに対し、北海道アイヌ協会幹部の一人は「政府は20年の 東京五輪 ・ パラリンピック に向け、人権を重視する国際世論を意識してアイヌ政策を充実させようとしてきた。今回が基本法に終われば、具体策の実現は遠のくのではないか」と反発している。
生活・教育支援については、北海道アイヌ協会の前身の北海道ウタリ協会が1984年に決議した「アイヌ民族に関する法律案」に定めたが、97年制定のアイヌ文化振興法に反映されなかった。政府の有識者懇談会は、09年の報告書で生活・教育支援の必要性に触れた上で「立法措置がアイヌ政策の推進に大きな意義を有する」と言及していた。
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/politics/politics/1-0401944.html