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浦幌の国史跡チャシ跡保全を アイヌ民族団体、年内にも要望書 波で浸食の可能性指摘

2022-12-23 | アイヌ民族関連
北海道新聞12/22 21:49

右奥のオタフンベチャシ跡の手前を道道直別共栄線が通り、海側に鉄筋コンクリート製の海岸擁壁がある=8月13日
 【浦幌】町内のアイヌ民族団体「ラポロアイヌネイション」(旧浦幌アイヌ協会)は22日、アイヌ民族の遺跡で国の史跡に指定されている「オタフンベチャシ跡」(町直別(ちょくべつ))が海に浸食される恐れがあるとして、保全を求める要望書を文化庁と道、町へそれぞれ年内にも提出する方針を固めた。史跡周辺では道道直別共栄線のルート変更工事が進んでおり、現道道を波による浸食から守る海岸擁壁を残し、史跡を保全するよう求める。
 要望書はこの史跡を「近世に構築された道東のアイヌ民族にとって大切な遺跡」と指摘。「地域の人々からお供山(そなえやま)と呼ばれてきたこのチャシには、白糠アイヌと厚岸アイヌの戦闘伝承も伝わっている」と価値を訴え、国の史跡でもあることから「国民全体にとっての大切な文化遺産」と保全の必要性を記している。
 そこで同団体は、道道移設後も史跡が良好な状態で保全されるように《1》海岸擁壁を残し、史跡保全に活用すること《2》国、道、町は協力して積極的な対策を検討すること《3》アイヌ文化に関する文化財の保全・活用策の策定に当たっては、地域のアイヌ民族団体でもあるラポロアイヌネイションにも事業内容を説明し、必要な協議を随時行うこと―の3点を求める。
 十勝総合振興局帯広建設管理部によると、道道直別共栄線のルート変更工事は2021年度に着工。主に海沿いを走る延長800メートルを内陸側に移すことで、波による損傷の可能性を減らすのが狙い。一方、海岸擁壁は鉄筋コンクリート製で高さ4メートル、延長120メートル。波から道道を守る目的で07年に設置された。新ルート開通(24年度以降)後の現道道や海岸擁壁の取り扱いは「調整中」としている。
 ラポロアイヌネイションは新ルート開通後、仮に海岸擁壁がなくなると、史跡が太平洋の荒波で「数年のうちに浸食される恐れがある」と要望書で訴える。差間(さしま)正樹会長(72)は「オタフンベチャシは私たちの祖先が構築した。この史跡を未来に残すことが、今を生きる私たちの責任なので保全を求めていく」と話している。(椎名宏智)
 <ことば>オタフンベチャシ跡 1981年8月に国の史跡に指定された。標高27メートルの遺跡でお供山形。頂上部を取り巻くように壕(ごう)がある。オタフンベはアイヌ語で砂鯨(オタ・フンベ)の意味。かつて厚岸アイヌと白糠アイヌの攻防で、厚岸アイヌが夜中のうちに砂でクジラを造ったという伝承が名の由来。白糠アイヌが「寄りクジラ(死んだり弱ったりして海岸に漂着したクジラ)」と間違えて集まったところを厚岸アイヌが不意打ちしたと伝わる。チャシは「囲い」を意味する。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/779367/
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