恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

1/3(金)駒込落語会プレゼンツ金曜午前寄席

2020年01月03日 | 噺とか
2020年の落語の聞き初めはここから。
かといって定席の顔見世興行に行く気もせず、
お値段の高いホール落語も敬遠。
何かいいものはないかと「かわら版」を見ていると、
10時半といういささか早い時間から「駒込落語会」の字に目がとまります。
「かわら版」以外にもたびたび目にしていた会ではありましたが、
思い切ってここに行ってみようと足を運びます。

会場は駒込駅と田端駅の中間地点あたりにある住宅街の中に。
個人宅を改造したのでしょうか、20人入ると満席という、
コンパクトな会場に足を踏み入れ、木戸銭500円を支払います。
会場はほぼ満員の盛況ぶりでございました。
高座との距離も非常に近く、なかなか迫力があります。
本日の出演は、柳家小はぜさんと桂しん乃さんの両名。
演目は、

しん乃「あくび指南」
   (踊り:越後獅子・猫じゃ猫じゃ)
小はぜ「道灌」

の1席ずつでした。

しん乃さんはかつて「三遊亭日るね」の高座名でお見掛けしています。
芸術協会に移籍してからは改めて前座修行に励んでおられます。
しん乃さんになってからはお見掛けするのは2度目でしょうか。
細かい事情はネットの各所に書いてあるので割愛しますが、
相変わらずのふわっとした空気に和まされます。
ここに来るまでに寝坊しそうになった話やら、
昨年の夏に屋外で「王子の狐」をやらせれて散々だった話から、
本題の「あくび指南」へ。
やはり師匠が違うと噺の細部にも違いが出るのでしょうか、
聞き馴染んだものとは少し違いましたが、
これもまた楽しませてもらいました。
高座の後には手狭な高座の上で踊りも披露されました。
やはりこの辺、普通の前座さんとはわけが違いますね。

小はぜさんは、この高座が新年初高座。
マクラではしん乃さんとの関係をあれこれと。
入門して初めて寄席に入ったときの立前座がしん乃さんだったそうで、
色々とお世話になったりならなかったり、という話をあれこれと。
わけあって芸術協会に移籍する前は「アネさん」と呼んでいたのに、
移籍後に前座になるとにわかに自分が「アニさん」と呼ばれるようになる。
このあたり、上下関係の厳しい社会のしきたりだとは言っても、
どうにもしっくりこないという悩みを吐露されておりました。
そして極めつけは、このお正月の期間中に真打や二つ目が前座に渡す「お年玉」。
かつての先輩にお年玉を渡すべきなのかどうなのか、これも悩ましいという、
何とも複雑な悩みを語っておられました。
いやはや、こういうことって一般社会ではなかなかないことですもんね。

そんなマクラから「道灌」へ。
ここで前座噺?とつい思ってしまいましたが、
「道灌」は柳家の噺家さんが最初に稽古してもらう演目であることが多いらしい、
との話を思い出して、ここは初心に帰って、ということなのかと思うと合点がいきます。
よく聞くこの噺ですが、演者によって受ける印象も様々。
小はぜさんはきっちりと正攻法でこの噺をかけてきたという印象。
こういう噺をしっかりとやるって大切なんだと思います。

満員の会場ではお菓子や飲み物も振舞われ温かい空気で会は終了しました。
地域の方に愛されている、そんな落語会だなぁと感じました。
通常は金曜の午前中にこの会をやっているそうなので、
なかなか足を運ぶことはできませんが、新たな発見もあった新春の1日でした。

恐懼謹言。

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