恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

7/27(土)季節寄席(夏)@大田文化の森

2019年07月27日 | 噺とか
大田区で行われている地域寄席で、これが二度目の参加になります。
私が参加した前回は1月だったので、約半年ぶりということになります。
春風亭柳朝師匠を中心に、毎回いろいろなゲストが出演します。
今回は三遊亭粋歌さんが出るというのもあって、前日に予約して会場へ。
14時開場なので、余裕をもって20分ほど前に行くとすでに長蛇の列。
今回は1階の大ホールではなく、5階の多目的ホール。
どういう事情かは分かりませんが、そのせいか座席数も少ないのでしょう。
並んでいるお客さんのほとんどが地元の常連客と見えて、
なんとなく和やかな雰囲気でした。
年齢層もなかなかに高め。

乃ゝ香「ざる屋」
柳 朝「源平盛衰記」
-仲入り-
粋 歌「わんわーん」
柳 朝「ふたなり」

前座は乃ゝ香さん。
ここのところ女流の前座さんが増えていますねぇ。
地域寄席で高齢者が多めということもあって、
つかみの小噺でもどんどん笑いが起こる、そんな感じです。
よくある高座の座布団の縫い目の蘊蓄をあれこれと話すのですが、
座布団の縫い目がない方をお客さんの側に向けるのは、
「お客さんとの縁の切れ目にならないように」みたいな理由だったと思いましたが、
乃ゝ香さんは「お客さんとの境を作るため」と説明された。これは初めて聴きました。
んー、どうなんですかね。
本題の「ざる屋」はよく雲助一門で聞く噺のように思いますが、
もともとは先代の馬生師匠がよくかけてた噺なんだそうで。
んでもって、本来のサゲまで聞いたのも初めて。
たしかに多くの噺家さんが途中で切るのも納得。

柳朝師匠の一席目は「源平盛衰記」でした。
柳朝師匠でこれを聞いたことはなかったのですが、
たしかに師匠の系譜をたどっていけば先代の三平師匠につながらなくもない。
きっちりとした古典をやるイメージがありましたが、こういうネタもあるのですね。
地噺といった話の性質上、あれこれと楽しいエピソードがてんこ盛り。
会場も盛り上がっておりました。

仲入りをはさんで粋歌さん。自己紹介のマクラから「わんわーん」へ。
演題はかねてより見ておりましたが聞くのはこれが初めて。
新作派の噺家さんはたくさん見て来て、もちろん粋歌さんも幾度となく見ていますが、
最近になって彼女の良さを再認識しつつあります。
ゲストで呼ばれた地域寄席で、しっかりと場にあった新作をチョイスし、
爆笑をさらうあたりはさすがです。
私も初めて聞く噺でありながら、すっかりと世界に引き込まれてしまいました。
粋歌ワールド、おそるべし。

柳朝師匠の二席目は「ふたなり」でした。
これもなかなか珍しい噺ですよね。
以前に一度池袋あたりで聞いたように思いますが、あまりかかる回数は多くないのでは。
本題に入った後も、なかなかピンとくるまで時間がかかりました。
決して万人受けするような噺でもなく、ましてや地域寄席でかける噺でもなさそうなのですが、
そこは回を重ねた自分の会ということもあって、思い切ってかけたのか、
はたまた高齢者ウケる噺であるとにらんだのか・・・。
いずれにしても二席目もしっかりと聞かせる噺で大満足。

2時間きっちりの会で前売り価格1000円はお値打ちでしょうね。
会場もほとんど満席状態でありました。地域に愛されている会ですね。
今後も機会があれば足を運んでみたいものです。

恐懼謹言。

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7/20(土)鈴本演芸場昼席(主任:三遊亭歌武蔵)

2019年07月20日 | 噺とか
本来は柳亭燕路師匠がトリなのですが、千穐楽の今日は休演で、
三遊亭歌武蔵師匠が代バネを務めます。
寄席の昼席、ここのところどうも敬遠していたのですが、
顔付けもいいので足を運んで見ました。

枝 次「子ほめ」
小もん「金明竹」
ストレート松浦「ジャグリング」
こみち「茗荷宿」+踊り(かっぽれ)
菊 丸「たがや」
小 菊「粋曲」
文 菊「親子酒」
市 馬「山号寺号」
にゃん子・金魚「漫才」
はん治「妻の旅行」
-仲入り-
正 楽「紙切り」(七夕・川開き・紙切り・剣道)
小ゑん「ほっとけない娘」
正 朝「紙入れ」
ロケット団「漫才」
歌武蔵「稲川」

こみち師匠で「茗荷宿」を聞くのは初めて。
いつもは白酒師匠で聞くイメージが強いのですが、
登場人物のとぼけたキャラクターなどが何とも面白いもので。
3分ほど早く終わったので踊りかな?と思ったらその通り。

菊丸師匠もあまりお見掛けしないのですが、こちらもいい感じ。
「たがや」を聞くと夏だなぁという気分になりますがね。
梅雨明けが待たれる今日この頃です。

小ゑん師匠は前回に続いて「ほっとけない娘」でした。
時間がちょっと押し気味だったためか、少し早口で。
これもフルバージョンで聞いてみたいなぁ。

代バネの歌武蔵師匠は「支度部屋外伝」で前半15分を消費し、後半部分で「稲川」。
どこかで聞いたことあるんだけどなぁと思って調べてみたら、
2年前に紀伊国屋ホールで聞いていたようです。
15分でも楽しめる噺なのですが、もっとたっぷりと聞けたらなぁ、
などと贅沢なことを考えてしまいました。

土曜日の昼席ということもあって客席はほぼ満員といったところ。
落語初心者の方が多いのか、前座さんの噺からよく笑い声が聞こえました。
前回の鈴本夜席がかなり静かだったので、かなり対照的。
演者としては今日みたいな日のほうがやりやすいのでしょうね。

恐懼謹言。
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7/14(日)葛西イオン寄席(三遊亭ぐんま・川柳つくし)

2019年07月14日 | 噺とか
イオンの葛西店で行われている無料落語会に足を運んできました。
昨年の8月に足を運んで以来で、合計3度目になるでしょうか。
4階の催事場スペースで行われるので、物音などは気になりますが、
地域の方からは愛されている会のようで、ほとんど満席の盛況でした。
しかし、改めて思い出してみるに、この4階の会場は、
もともとアイススケート場だったと知る人はほとんどおりますまい。
天井に残るそんな痕跡を見て思い出にひたりつつ、いざ。

ぐんま「権助魚」
つくし「お菊の皿」+ウクレレ漫謡

無料の落語会ということもあって前座のぐんまさんがたっぷりとマクラと小噺。
会場をしっかりと温めておいてから「権助魚」へ。
前座噺では珍しいのではないかと思いますが、
二つ目の昇進が見えてきたのでしょうかね、ネタも増えてきているのでしょう。
先日も鈴本の夜席でぐんまさんの高座にあたりましたが、
古典をしっかり演じさせてもなかなか面白いんじゃないかと思います。
新作派の会の時には自作の新作を披露されたりもしていますがね。
独特のくすぐりなんかも入れていますが、これもけっこう面白いのです。
「湯河原へお繰りこみ」のところを群馬の温泉にしてみたり。
でも尻焼温泉って聞いたことはあってもわからないですよねぇ。
こういう不意なくすぐりは定席ではできないでしょうけど、
二つ目になったときにいろいろと生きてくるように思います。

つくし師匠は最近あまり寄席ではお目にかかっていません。川柳師匠も。
噺のほうは怪談噺に関するマクラから「お菊の皿」へ。
無料の落語会ですから、わかりやすい噺のほうがいいんでしょうね。
ただ、オーソドックスな形とは少し違って、
皿屋敷へと出向いていくのは女の姉妹という設定。
姉がかわら版の記者で、のり屋の婆さんから皿屋敷の噂を聞いて、という流れ。
途中からは通常の流れへ戻っていきますが、
姉妹のやり取りの可笑しさなどはつくし師匠ならではの味というところ。
噺を終えて、残りの時間でウクレレを使った替え歌へ。
調べてみると、つくし師匠は過去にウクレレ漫談で賞を受賞してるんですねぇ。
土用の丑の日も近いということで、鰻を題材にした楽しい歌でした。
どこかでまた聞く機会はあるのかしら。

毎月行われているこのイオン寄席ですが、どうも音響の担当者が不慣れだったようで、
出囃子のCDなどのタイミングが狂いまくりでずっこけてしまいました。
ぐんまさんがやんわりと指示を出していましたが。
ま、ともかく無料寄席としては楽しめる会だと思います。

恐懼謹言。
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7/9(火)鈴本演芸場夜席(主任:三遊亭天どん)

2019年07月10日 | 噺とか
鈴本の7月上席は天どん師匠がトリを務め、他の顔付けも何とも魅力的。
一度は足を運ばなかれば、と思いながら気が付けば9日。
何とか仕事に区切りをつけて久々に定席へ、しかも夜席へまいります。
平日の夜席ということもあって、客席はほどほどの客入り。
後刻、これが「精鋭のお客様」と評されてしまうのですが・・・。

ぐんま「金明竹」
めぐろ「ニワトリ」
翁家社中「太神楽」
駒 治「生徒の作文」
扇 遊「初天神」
ニックス「漫才」
小ゑん「ほっとけない娘」
白 酒「粗忽長屋」
-仲入り-
のだゆき「音楽パフォーマンス」
歌 奴「西行鼓ヶ滝」
正 楽「紙切り」(女子バスケ・パリ祭・家庭菜園)
天どん「船徳」

前座のぐんまさんは久しぶりに拝見しました。
兄弟子の青森さんが二つ目になって久しいですが、
こちらにも頑張ってほしいものであります。
古典の「金明竹」ですが、かなり腕を上げられたかな、と。

めぐろさんの「ニワトリ」は初めて聞く新作。
焼き鳥屋を訪れて、そこで出会うニワトリを助けて・・・、
というところから始まるありがちな展開ですが、なかなか面白い。
なんというか、もっとウケてもいいような気もするのですが、
なんせ客席もまばらで、どうもつかみどころのない感じでありました。

駒治師匠の「生徒の作文」も久しぶりに聞きました。
改めて鉄分の多い落語だと思いますね。
テーマはそっち系ではないわけですが、端々にちりばめられているという。
ファンやマニアにはたまらないのですが、一般ウケするのかしら。

小ゑん師匠は久しぶりの「ほっとけない娘」でした。
ロングバージョンもあるということなので、どこかで聞いてみたいものです。
客席の空席に目をつけて、光る背もたれのビニールが星空のよう、とは何ともロマンチック。
弥勒菩薩や金剛力士像の所作はもう芸術の域ですね。

白酒師匠は相変わらずの毒舌で「粗忽長屋」へ。
行き倒れ→粋なオーレ あたりが油断したところに可笑しな笑いを呼びます。
それまで硬かった客席が緩んだ瞬間でもありました。

仲入り後、のだゆきさんに続いて歌奴師匠の登場。
本来は白鳥師匠と百栄師匠の交互で、この日は文蔵師匠だと思ったのですが、
出囃子を聞いてびっくり。
後で調べて分かりましたが、文蔵師匠は歯の治療のため休演なんだそうな。
そういう時でも手堅くいい話を聞かせてくれる歌奴師匠、さすがです。

天どん師匠、Twitterでは新作と古典の五分ということで、
どちらをかけてくるかなぁと思っていましたが、ここでまさかの「船徳」でした。
天どん師匠の古典らしい古典を聞くのは本当に久しぶりかもしれません。
(先日の「大師匠噺」での「不精床」は置いといて)
やたらと自分が大好きでナルシストな若旦那がある意味で今風にアレンジされており、
船に乗る二人の客のやり取りもまた秀逸。
新作でなくて少し残念だなぁとも思いましたが、
終わってみるとなんとも満足感のあるトリネタでありました。

なかなか夜席に足を運べなくなりましたが、こういうのんびりした空気こそ一番。
ゆったりとした贅沢な時間を過ごさせてもらいました。

恐懼謹言。
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