約1年半ぶりの黒門亭です。
コロナが一時期収束していた頃、
10名限定で行われていましたが、
その後にまた感染が拡大し、休止。
この7月から久々に復活することになり、
20名限定で電話予約必須ということに。
顔付を見ていたら、天どん師匠の新作がネタ出しされており、
「スイカ泥」というのは未聴だったので、
早速電話予約をしたという次第です。
電話予約制なので、満員札止めになることもなく、以前のように並ぶ必要もなし。
受付名簿がチラッと見えましたが、
今日は16名だったようです。
「田能久」 花飛
「悋気の火の玉」 圓王
「死ぬなら今」 たけ平
「スイカ泥」 天どん
前座は扇遊一門の扇ぱいさん。
語り口がかなり師匠のそれとそっくり。
鮑のしを途中のところまで。
前座さんながらかなり安定していて、
笑いもふんだんにとっていました。
これも黒門亭の暖かさですね。
花飛さん、たびたび拝見します。
この日は最近ご無沙汰の田能久でした。
全体的に笑いの多い噺ではありませんが、
じっくりと聞かせて、最後のところでしっかり落として笑いをとる、そんな感じ。
安定感があってとてもよい高座でした。
圓王師匠はたぶん初めまして。
昨年来から一門の不幸が続き、
さらには昨今の暗い話題とあいまって、
なかなか楽しい話がない。
兄弟子との思い出から、いくつか小噺で、
悋気の火の玉でした。この噺は、
当代の文楽師匠でよく聞くイメージ。
くすぐりをふんだんに入れつつ、
楽しく聞かせてもらいました。
仲入りに続いて、たけ平師匠。
浅草で多く顔付されているせいか、
最近はあまりお目にかかりません。
七月上席は浅草で夜のトリを取られているようですね。
後で天どん師匠がネタバラシしてますが、
やたらと声のボリュームが大きいのは、
敬老会などによく呼ばれているから。
黒門亭のキャパで十分すぎるボリューム。
少々の圧を感じないこともありませんが、
死ぬなら今、を楽しく聞かせてくださいました。
トリの天どん師匠のスイカ泥は、
独特の泥棒美学をもった二人組が、
スイカを盗みに入るところから繰り広げ割られるドタバタ劇。
新作ですが、古典の泥棒噺にも通じるような面白さがありました。
マクラを除くと15分程度のコンパクトさなので、寄席でも聞けるかもしれません。
久しぶりの黒門亭は安定の楽しい空間。
一年半ぶりなのに、客席の顔がほとんど変わっていない、というのはたけ平さんの言葉ですが、それは私も感じるところ。
感染が拡大しつつありますが、
ぜひ継続してほしいものです。
暑い最中、効きすぎなぐらいの冷房もまたサービスの一つということで。
恐懼謹言。