恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

5/25(土)第90回 清瀬けやき亭落語応援会「そうだ じゅげむ きこう」

2019年05月25日 | 噺とか
清瀬で古今亭駒治師匠の会があるというので足を運びます。
清瀬けやき亭にはこれで3回足を運ぶことになるのですが、
過去はいずれも大ホールでの公演だったのに対し、今日は4回の和室。
こじんまりとした地域寄席の雰囲気ですが、むしろこっちのほうが好きかも。
和室に椅子を設えてだいたい40席といったところでしょうか。
黒門亭よりはやや広く、開放的な感じ。
無料でお茶の提供があるのもなかなかいいもんで。

扇ぽう「子ほめ」
駒 治「天野家の孫」
駒 治「おこっぺ本線」
-仲入り-
駒 治「すももの思い出」

前座は扇ぽうさん。
発声もしっかりしていて、聞いていて安定感があります。
師匠譲りのくすぐりでしょうか、通常とはちょっと違った言い回しも。

駒治師匠の一席目は「天野家の孫」。多分演題はこれです。
白鳥師匠の「秘密の花園」とか「隅田川親子」ほどではありませんが、そっち系のネタ。
なんでも今から十数年前に作った話だといいますが、私は初めて聞きました。
本題自体は10分ほどの軽いネタなのですが、
ところどころに入っている笑いどころがさすがというところ。

一席目が下りて高座を降りたので、ここで仲入りかと思いきや、
もう一度上がりなおして二席目へ。次は「おこっぺ本線」なるネタ。
おそらくは「興部本線」なんでしょうが、調べてみるとこの演題なので。
実在しない北海道のローカル線が廃止になる、というのがメインテーマ。
この辺も鉄道に興味がある人だと笑いどころが随所にあると思うのですが、
今日の会場はあまり鉄分が多くなかったせいか、ややウケぐらい。
個人的には深く作りこまれていて面白いと思うのですがねぇ。
ここでウケていたらトリネタも違ったかもなぁ、などと。

仲入りをはさんで三席目は「すももの思い出」でした。
先日の連休中に聞いたので、20日ぶりといったところ。
噺の筋はわかっているのですが、これも面白いですね。
できることなら鉄道ネタをもう一席、と期待したのですが、
これはこれで。
途中、この日に起こった千葉県での震度5弱の地震の影響が清瀬市にもあり、
噺の途中で会場にも揺れが伝わりました。
そこまで大きい地震でもなかったのですが、客席では少しざわつき、
そのまま話を進めていた駒治師匠もそれに気づいて話を一時中断。
もっとも、うまい具合にアドリブにして笑いに変えていたのもさすが。

清瀬という少し遠方の地域寄席ではありますが、
駒治師匠をたっぷり満喫できる独演会でありました。
これで1000円はお値打ちですよねぇ。
明日も中野で駒治作品の会が昼夜であるそうで。

恐懼謹言。
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5/15(水)179回 熱血若手落語会@池袋山野楽器

2019年05月15日 | 噺とか
二日続けて落語を聞きに行きます。
本当なら同じ池袋の演芸場に一日籠りたいのですが、そうもいきませんで。
この会は以前に一度参加したことがあり、3部構成になっています。
第1部が落語の講座のようなもので、二部がこの熱血若手落語会。
第3部には独演会などが行われているようですが、
この第2部は真打が4人も出て1000円という安さ。
告知では当日1500円とあるのですが、当日行っても1000円。
不思議なもんですが、高いのではないから質問することもあるまいと。

美 馬「金明竹」
おさん「本膳」
たこ蔵「粗忽長屋」
馬るこ「野ざらし」
馬 桜「景清」

前座の美馬さんは初めてお目にかかります。
小柄な女性ながら語り口はしっかりとしていて、かなりいい感じ。
「金明竹」をフルで口演されましたが、なかなかのものです。
関西弁の細かいイントネーションなどはちょっと耳になじまない感じ。
あとは馬るこ師匠のオリジナルに習ったのか、
サゲのあたりがちょっと通常のバージョンとは違います。
寄席でもそのうちお目にかかるようになるでしょうか。

おさん師匠は「本膳」。
マクラでは馬桜師匠がかつてドラえもんを知らなかったことに触れて、
知ったかぶりをせずに何でもわからないことは、
人様に聞いて確かめることの大事さを説いて、本題へ。
この噺もそんなに多くかかる噺ではないようにも思いますが、
のんびりとした空気の中でさらっと。

たこ蔵師匠はかつて末廣亭で披露目を見て以来かしら。
10連休はフルで休んでいたというちょっと変わった噺家さん。大丈夫かしら。
前座時代の思い出で、師匠の息子である現・たま平を運転手として送り迎えしていた話など。
たま平さんのことをあれやこれやといってましたがねー。
内弟子だとこういう経験もあるのでしょう。
また、前座時代に兄弟子のたけ平さんとともに、
病に倒れた九官鳥を動物病院まで送り届けるエピソードなど、
いろんなドラマを聞かせていただきました。
本題の「粗忽長屋」は昨日も聞いていますが、はやりこちらはスタンダード。
笑いのポイントをしっかり押さえているなぁと思います。
慣れというのも恐ろしいもので。

馬るこ師匠は笑点の若手大喜利のエピソードをあれこれと。最近見てないなぁ。
また、寝過ごして中央線の大月や青梅線の中神まで行ってしまったエピソード。
寒さをしのぐためにコンビニでごみ袋を買って服に仕立て、防寒した話は圧巻。
そんな酒の話から「野ざらし」へ。
聞き馴染んだこの噺も馬るこ師匠にかかると独自の路線へ。
微妙な下ネタで笑いを取ったり、一龍齋貞水をネタにするあたりもさすが。
今日一番笑わせていただきました。
いつもながらの熱演で、次に上がった馬桜師匠は苦言を呈していましたが・・・。

トリは馬桜師匠で「景清」。
盲人が出てくる噺についてあれこれとエピソードを披露し、
なかでも橘家円蔵師匠がネタ出しで「心眼」を出して、
それを楽しみに聞きに来た盲人の人へのエピソードなどは考えさせられます。
で、本題へと入っていきます。この噺は2度目でしょうかね。
光を失った人の悲哀と信心への疑念。
聞きながらも考えさせられる話ですが、笑うポイントも随所に。
なかなか寄席では聞くことのできない貴重な話ですね。

いろいろな立場の人への配慮ということが言われる現代社会ですが、
こういう落語を聞くといろいろなことを考えてしまいます。
そんなに堅苦しく考えることもないんでしょうけどね。
ともかく、2時間以上たっぷり楽しんで1000円はお値打ち。
平日休みがあればまた足を運びたいもので。

恐懼謹言。
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5/14(火)連雀亭 日替り昼席

2019年05月14日 | 噺とか
ひょんなことから平日の昼に時間ができまして、
できることなら顔付けの素晴らしい池袋に昼夜で入り浸りたいのですが、
時間的にそこまでの余裕もなく、久しぶりに連雀亭へ。
元日以来ですかね。
様々な協会からの出演者のある連雀亭ですが、
竹千代さんと小んぶさん以外は初見。
開演前にようやっと「つ離れ」した連雀亭はこんな感じでした。

竹千代「壷算」
ぽん太「五月幟」
笹 丸「粗忽長屋」
小んぶ「そば清」

竹千代さんは鼻血が止まらなくなったというエピソード。
少し話は盛っているんでしょうがねぇ。面白く聞きました。
お医者さん関係の話かと思いきや、「壷算」へ。
やはりいつも聞き慣れているものと細部が違うんですねぇ。
芸術協会の寄席にも顔を出してみようかしら。

ぽん太さんは好楽師匠の弟子ということで普段の寄席ではお目にかかりません。
かけた噺は珍しい噺なのでしょうか、「五月幟」という季節の話。
酒飲みの亭主が五月人形を買うはずが飲んでしまって、
というようなありがちな展開の噺ですが、初めて聞きましたね。
年中行事があまり意識されなくなってしまった昨今、
サゲのあたりの面白い言い回しが若い人にはピンとこないのかも。
かくいう私も後で復習して合点がいったわけで。
なかなか珍しい噺を聞くことができました。

笹丸さんも初めてお目にかかります。
丸眼鏡をかけた方なので、新作でもやるのかと思いきや、しっかり古典。
眼鏡をかけていて、古典に入ると眼鏡を外す人がいますが、
この方はそのまんま。
粗忽なキャラクターを演じるのもなんとなくキャラにあって面白いですね。

トリの小んぶさんが唯一の落語協会所属の方。
ちょいちょい寄席でお見掛けしたように思います。
この日は番頭として受付にも立っておられた小んぶさんは、身長が180㎝を超える巨漢。
整体ポリープの疑いがあって医者にかかった話と、
相撲取りと間違えられたエピソードをマクラにして「そば清」へ。
師匠であるさん喬師匠の型を踏襲しつつも、独自のくすぐりも入っています。
そばを手繰る所作はもちろん、噺の間もいい感じ。

平日の昼、連雀亭ののんびりとした空気はいいもんですね。

恐懼謹言。
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5/5(日祝)第134回 四の日寄席@スタジオフォー

2019年05月05日 | 噺とか
平成の間にもう一度、といっておきながら結局果たせず今日になりました。
世間では聞き飽きるほど「令和初」などということを言っておりますが、
そこに乗っかるとこれが私にとって「令和初落語」になります。
GW期間中はどこの寄席も特別興行で混雑しているので、
何かいい落語会は、と探していたらこの会を探し当てました。
前々から4のつく日に落語会を開催しているのは知っていたのですが、
平日だったりなんだったりと予定が合わず、これが初参加。
しかも、今年で10周年の節目なんだそうで、3日間の連続興行だそうです。

初めての会場なので、早めに会場入りして席を確保。
開演前にはほぼ満席という盛況ぶりでした。

やまと「初音の鼓」
駒 治「すももの思い出」
左 橋「家見舞い」
-仲入り-
文 菊「幇間腹」
馬 石「居残り佐平次」

やまと師匠の「初音の鼓」は、演題こそ何度も見ているのですが、
しっかりと聞くのはこれが初めてのように思います。
個人的に長唄の稽古に通われているやまと師匠は、
5月末より流派の名前を名乗ることができるんだそうで、
この噺の鼓をうつ所作にもきちんと活かされているのでしょう。
しかしまぁ、噺家さんの余技っていうのはあれこれあるものです。

駒治師匠の新作もタイトルは知っていましたが聞くのは初めて。
鉄道ネタなどのイメージが強いのですが、
なんとなくこういう青春モノとでもいうような噺もありますね。
真打になっても引き続き独自の新作を披露し続けてほしいものです。

左橋師匠は「家見舞い」をたっぷりと。
後で聞いたのですが、文菊さんの入り時間の調整であえてゆっくりやったとか。
たしかに寄席の15分で聞くバージョンに比べると描写が丁寧で、
だからこうなったのかと納得することも多々。

仲入りでは手ぬぐいなどが当たる抽選会。当たりませんでしたがね。
で、その後に文菊師匠が上がります。
鈴本も浅草もこの時期は立ち見の出る満席で、という話題から幇間のマクラへ。
「鰻の幇間」あたりがかかったらラッキーだなと思いましたが、
ここはスタンダードに「幇間腹」。
聞きなれた噺とはいえ、やはりところどころがオリジナル。
きちんと聞かせてくれるあたりがさすがの文菊師匠です。

トリに馬石師匠。
用意していた話が少しばかり「幇間腹」とつくかもしれないといいながらも、
この仕事をしていると図太くならざるを得ないという噺から、
寄席でも噺が付くエピソードをあれこれ。
圓生師匠と圓彌師匠の噺や、圓丈師匠の「強情灸」の話題など、
寄席ならではのエピソードで会場を沸かせて、「居残り佐平次」へ。
この噺を聞くのは二度目になりますが、馬石師匠がやると独特の面白みが。
なんというか、登場人物のうろたえ方とか呑気さの加減が何とも言えず面白いのです。
30分超のたっぷりと聞かせる噺でお開きになりました。

地域の会場で10年続く落語会というのもすごいもので。
時間を見つけてまた来てみたいと思う、暖かな会でした。

恐懼謹言。
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