恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

3/29(金)第12回どんぶらこっこ ゑ彦印 ~小ゑん・彦いち二人会~

2019年03月29日 | 噺とか
定期的に開催されている新作派の両師匠の会です。
ゆったりと椅子席で楽しめるのと、ほどほどのキャパが何ともいい感じ。
今月は何かと忙しくて、ちっとも寄席に足を運べておらず、
この会でその辺のフラストレーションを解消させていただくつもりで参加。

きよひこ「鮑のし」
小ゑん「注文の多いらーめん屋」
彦いち「臼親父」
-仲入り-
小ゑん「鉄寝床」
彦いち「愛宕山」

小ゑん師匠の1席目はネタ出しで「注文の多いらーめん屋」。
新作落語台本で入選した作品なんだそうです。
3月下席の池袋で行われている新作落語の会でも2度ほどかけたようで、
ある意味で満を持して、という感じでしょうか。
前半部分は面白いものの、後半部分が面白くなかったそうで、
小ゑん師匠が後半部分はかなり手を入れたそうです。
なるほど、前半部分は最近のラーメン屋さんのあるあるネタに近く、
麺の固さやらスープの濃さ、野菜の量などにこだわるラーメン店への皮肉。
後半部分はそこから内容は急展開するものの、
小ゑん師匠の持ち味であるマニアックな内容でぐいぐい世界に引き込まれます。
あれがあってこそ小ゑん落語の神髄という感じですが、
おそらく原作の原形はとどめていないのかもしれませんね。

彦いち師匠も1席目からネタ出しの「臼親父」。
まったく内容の想像がつきませんでしたが、
ネタの中に「猿蟹合戦」を思い起こさせるような描写から、
あれやこれやとパラレルワールドの世界へ。
全然関係ありませんが、先日一之輔師匠のマクラで「猿蟹合戦」の話題があったので、
そんなことと結びつけながら楽しませてもらいました。
蟹の所作はともかく、イガグリとか牛の糞の所作はちょっとないですよねぇ。
これこそ新作落語の自由さと面白さかもしれませんが。

仲入りをはさんで小ゑん師匠。ネタは鉄道落語の「鉄寝床」。
本日の会場では3月末の末廣亭での余一会のチラシが配布されており、
そこには小ゑん師匠のがネタ出しで「鉄寝床」を出しています。
仲入りの最中に何気なく見て気になっていたのですが、まさかここでかけるとは。
基本の筋は古典の「寝床」ですが、登場人物がみんなマニア。
鉄道のみならず、天体ネタや熱帯魚ネタ、料理ネタなどもうすごいですね。
客席でどれだけ理解していたのかわかりませんが、
その熱量たるや他の噺家とはレベルが違うような。
2席目もたっぷりと楽しませていただきました。

トリは彦いち師匠の「愛宕山」ですが、タイトルとは裏腹に古典ではないのです。
登場人物こそ旦那と一八ですが、噺の舞台は京都ではなく、カナダのユーコン川。
入りだけは古典と思わせつつ、中身は改作(新作)なのは小ゑん師匠と同じですかね。
これまた彦いち師匠の所作がもうすごい創造力でして。
扇子と手ぬぐいでマシンガンの所作をするって、もう、ね。

今月は仕事の忙しさに追われていましたが、こういういい会に参加できるのも幸せなもので。
客席も満席でなく、ゆとりがあってアットホームなのもいい感じ。

次回は6月8日の土曜日に開催されるそうです。

恐懼謹言。
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3/16(土)池袋演芸場昼席(主任:三遊亭圓丈)

2019年03月16日 | 噺とか
仕事が忙しいこともあって、全く寄席に通えない日々でした。
前回が2月末ですから、約3週間ぶりということになります。
顔付けとしては池袋と新宿で迷うところですが、ここは圓丈師匠トリの池袋へ。
開場30分前ですが、すでに長蛇の列になっていました。
幸いにも良席を確保して、久しぶりの池袋を楽しみます。

ごはんつぶ「牛ほめ」
めぐろ「あま噛み」
青 森「怪獣に愛の手を」
亀太郎「粋曲」
一之輔「噺家の夢」
丈 二「1パーミルの恋人」
勝 丸「太神楽」
吉 窓「本膳」
小ゑん「ミステリーな午後」
ロケット団「漫才」
正 蔵「蜆売り」
-仲入り-
究 斗「ミュージカル小噺」
小さん「不精床」
二 楽「紙切り」(花見・卒業式)
圓 丈「夢一夜」

二つ目昇進の青森さんは鈴本で2度これを聞いて、これで3回目。
聞くたびにちょこっとずつ改良されている感じはあります。
途中、前座さんの「牛ほめ」のくだりを入れてくるあたりとか、
ちょっとした変化が面白いですね。
でもやはり、古典もいいのではないかなぁと思ってみたり。

亀太郎師匠の高座はおそらく初めてかも。
黒門亭の関係でお顔は拝見したことがありましたが。
女流の三味線弾きが多い中で、一風変わていて面白い。

一之輔師匠の「噺家の夢」は初めて聞きました。
亡き喜多八師匠がよくやられていた噺のようですね。
寄席の浅い時間帯でもしっかりと笑いを取る人気者、さすがです。

丈二師匠はいつものマクラから「1パーミルの恋人」へ。
代表作といてもいいでしょうね。
池袋でもたびたび漫談で降りてしまわれることがある丈二師匠ですが、
新作の中身はとても面白いし、もっと聞きたいんですよね。

小ゑん師匠の「ミステリーな午後」も久しぶり。
この師匠のおじさんキャラというか上司キャラが何とも味があります。
いろんな新作を絶えずかけてくるあたり、さすがです。

正蔵師匠は「蜆売り」をたっぷりと。
初めて聞く噺なのですが、人情噺のようでもあり、しっとりと。
こういう噺が聞けるのも池袋ならではでしょうかね。

究斗師匠は膝の半月板を悪くされているそうで、椅子に座っての高座。
仲入りで押していたのか、さらっと小噺で。

トリの圓丈師匠、昨日は鉄板ネタの「グリコ少年」をかけたそうですが、
イマイチだったという感想から今日の「夢一夜」へ。
以前も一度聞いたことがあったかな?
末期ガン患者を描いた作品で、ちょっとすると悲惨な噺なのですが、
そういう雰囲気を微塵も感じさせないところがさすが。
惜しむらくは、ちょいちょい噺に詰まって台本に頼るあたり。
むしろそれが芸になっているのですが、度重なるとちょっと…という気はします。
とはいえ、圓丈師匠の作品らしさを感じる一席だったのかもしれません。

で、夜席も少しだけ。

寿 伴「狸の札」
市 童「高砂や」
あお馬「悋気の独楽」
にゃん子・金魚「漫才」
こみち「豊竹屋」
金 時「唖の釣り」
正 楽「紙切り」(汐汲み・卒業式・にゃん子金魚・大坂なおみ)

こみち師匠の「豊竹屋」は、志ん輔師匠でしか聞いたことがなかったので、
ちょっと新鮮な感じがしました。
発声から表情から何とも素晴らしくて引き込まれますね。

金時師匠の「唖の釣り」も近年の状況では演じにくい噺かもしれません。
とはいえ、好きな噺でもあるので、聞けて良かった。

※ちょっと残念なのが、客席にいる常連と思しき方。
 しきりと高座に向かって声をかけたり、独り言をぶつぶつと。
 そこまでならまだいいのですが、芸人さんのネタを先に叫んでしまう。
 今日だけでも、めぐろさん・丈二師匠・ロケット団・にゃん子金魚などなど。
 昼夜通しでいたようですが、こういう行動をとることによって優越感でも感じるのですかね。
 昼席の途中で別の人のいびきが聞こえてきたりもしましたが、
 そういうところでマイナスな点のあった池袋でした。

恐懼謹言。
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