恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

1/30(土)連雀亭ワンコイン・昼席

2021年01月30日 | 噺とか
緊急事態宣言はまだまだ解除される見込みはなさそうです。
落語協会からコロナ陽性者が2名出てしまったこともあり、
寄席の定席はすべて休業になっています。
余談ながら、1/16に末廣亭で何の予告もなく馬風師匠が出てこなかったのは、
そういうことだったのかと後で合点がいきました。
そんなわけで、小さい会場での落語会の数も少なく、困ったときの連雀亭です。
末廣亭の芸協の興行も悪くないんでしょうけど、ここはコンパクトに。

ワンコインのメンバーがなかなかいい顔付けだなぁと思っていて、
そのあとの昼席まで行こうかどうか迷っていたのですが、
結局そのまま昼席もあわせて楽しんで参りました。
が、結果的に言えばワンコインで切り上げるのが正解だったかも・・・。

【ワンコイン】
「転宅」     柳若
「洒落番頭」   市寿
「唖の釣」    小もん

【きゃたぴら昼席】
「紀州」     兼太郎
「つる」     談吉
「紙入れ」    志の彦
「二番煎じ」   鷹治

ワンコインが落語協会から2名、芸術協会から1名。
昼席は圓楽党1名、立川流2名、芸術協会1名という構成。
流派によって技巧の優劣があるかどうかなどというのは、
私ぐらいの人間があれこれというものでもないと思うのですが、
それでも寄席に慣れているかどうかというのも芸に大きな影響を与えるのでは。
今日聞いていて、よかったなーと思えるのは、
柳若さん、市寿さん、小もんさん、鷹治さんですかね。

柳若さんは「転宅」で、前回の連雀亭でもこの噺にあたっています。
15分程度でコンパクトにできる噺なんですね。
マクラでは、末廣亭でもアクリル板が導入され、
真打の師匠連中がアクリル板に戸惑っている様子を。
連雀亭に出ている二つ目はそんなのとっくに慣れっこなので、
そんな師匠方をほほえましく思って見ているなんてところから、
鯉八師匠のエピソードをあれこれ。楽しい一席でした。

市寿さん、見た目が大泉洋や高橋大輔に似ているというのは納得。
「洒落番頭」を演じられましたが、とても楽しく聞かせていただきました。
小さな会もやっているようなので、今後もチェックしてみたいところ。

トリの小もんさんは「唖の釣」で、これもかなり久しぶり。
噺の特性上、寄席ではなかなか聞くことはできないでしょうね。
久しぶりに聞いた話でしたが、素晴らしい出来だったと思います。
小もんさんの演じる与太郎もなかなか味があります。
役人とのやりとりのあたりもとても楽しく聞かせてもらいました。

その後再入場で、きゃたぴら昼席。
地噺である「紀州」をかけた兼太郎さん。
まぁ、ここはいいんですが、その後に「つる」「紙入れ」と、
寄席でよくお見掛けするネタにあたります。
これらもだいたい教科書通りといいますか、
特に特筆するべくもないような感じで。
定席のように何人もの演者が入れ替わり立ち替わり出てくるならともかく、
つ離れしない今日のような会場でこのネタ選択でよかったのかは疑問。
かろうじてトリの鷹治さんが巻き返したからよかったものの、
ワンコインの満足度に比べるといささか残念な印象でした。

鷹治さんの「二番煎じ」は、前半部分は大きくカットしており、
番屋の中でのやりとりを中心に演じられました。
今まで幾度となく聞いているこの噺ですが、どうも役人の性格というか、
そんなところがちょっと個性的なのかなーという感じ、
どちらかというと、「禁酒番屋」に出てくる役人のような、
どことなく強欲なイメージで描かれていましたが、
まぁいろんなパターンがあっていいのかな、と。

ところで、志の彦さんの「紙入れ」の中で、
旦那のセリフとして「人の嫁さんに手を出しちゃ・・・」というのがあり、
「嫁さん」じゃなくて「かみさん」じゃないのかな?と細かい疑問。
「嫁さん」ってなんとなく関西系の言葉のイメージなので。

とにかく、少人数ながらも落語を聞くことのできる場所があるのはありがたいもので。
アクリル板があろうとなかろうと、やはり生の演芸はいいですねぇ。
噺の途中で、ちょっとうとうとしてしまうのも申し訳ないながら、
それはそれで贅沢なものです。

恐懼謹言。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

1/23(土)矢来町土曜早朝寄席 三遊亭ふう丈

2021年01月23日 | 噺とか
神楽坂の新潮講座神楽坂教室で土曜に行われている落語会です。
その存在は知っていたのですが、9時半開場という微妙な時間から、
今まで足を運ぶことはなかったのですが、
落語協会の定席がすべて休席になっていることに加え、
午後から仕事があるというスケジュールもあり、足を運んでみることに。
開場時間からちょっとしてから入場するとすでにそれなりの人になっており、
最終的には30人程度は入っていたかという盛況ぶりでした。
ふう丈さんのファンと思しき人と、落語好きの人、
さらには初めて落語を聞くという人もいるなんとも不思議な空間でした。

さて、ふう丈さんは新作の会や連雀亭などでたびたびお見掛けします。
新作をやるかと思えば、古典もしっかりやられているイメージ。
兄弟子の天どん師匠もそうですけどね。
今日の演目は、
「ターミネーター初天神」
「時そば」
「子別れ」
でした。

落語が初めて、という人がいたこともあってか、
小噺で「みそ豆」を演じたのと、
「ターミネーター初天神」の前に通常版の「初天神」も。
たしかに「ターミネーター初天神」は元ネタ知らないといけないですからね。
この噺、昨年に連雀亭で聞いていますが、
どちらかといえば落語をそこそこ知っている人が笑える作品ですし、
暗に小三治師匠や一之輔師匠をいじるあたりも、なかなか。
若手が「初天神」で笑いを取りに走りたがる、そんな裏事情もしれっと入れてある。
学校寄席で「初天神」をやると飴の部分が全くウケない、というのもなるほどなぁと。
破壊力のある作品ですが、そんな落語界の裏事情を俯瞰するあたりも面白いですね。

その後スタンダードに「時そば」を演じた後で、仲入り。
仲入りのあとには「子別れ」を演じられました。
得意ネタの新作で笑いを取り、定番の古典もやる。
最後にほろっと来る「子別れ」を入れてくるのもいい構成ですよね。
この噺、久しぶりに聞いたような気がしますが、
ふう丈さんの「子別れ」も大変に良い出来でした。
約30分のサイズでしたが、時間を感じさせない、そんな一席でした。

午前中の早い時間、しっかりと3席やって楽しませてくて木戸銭1100円。
これだけの人が集まるのもうなずけますね。
そして、何よりふう丈さんの技量の高さも光りました。
コロナ禍で高座が少なくても、YouTubeなんかも精力的にやってますもんね。
今後も注目していきたいと思います。

恐懼謹言。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

1/16(土)末廣亭昼席(主任:三遊亭圓歌)

2021年01月16日 | 噺とか
末廣亭友の会の招待券が1月末で期限が切れてしまうという状況で、
例年だと二之席の末廣亭へ行くのが恒例になっていました。
とはいえ今年はこんな状況で、どうしたもんかなぁと思案し、
昼席だけに限っていってまいりました。
いや、顔付けだけ見ると一之輔師匠トリの鈴本も惹かれるのですがね。
昨年までとどう違うのか、そんなところも気になりながら新宿へ。
こんなコロナ禍にあって不要不急の外出であろうことはわかっていますが。

通常なら前座さんが上がっている時間ですが、
早まっているのか二つ目の天歌さんから。

「暴走族」     天歌
「ジャグリング」  ストレート松浦
「真田小僧」    柳朝
「支度部屋外伝」  歌武蔵
「紙入れ」     玉の輔
「漫才」      ロケット団
「転失気」     鉄平
「二階ぞめき」   花緑
「顔の男」     小ゑん
 -仲入り-
「紙切り」     楽一
「宗論」      歌る多
「たらちめ」    扇遊
「大師の杵」    勢朝
「奇術」      美智・美登
「替り目」     伯楽
「粗忽長屋」    小さん
 -仲入り-
「松づくし」    歌る多・美るく
「強情灸」     圓太郎
「権兵衛狸」    文楽
「浮世節」     橘之助
「やかん」     圓歌

入場したときは10名前後の客数で、昨年までの通常時とは大違い。
普通なら立ち見だって出るような盛況なので、
良席を確保しようとしたら1時間並ばなきゃならなかったのが夢のよう。
最終的には30名そこそこにまで増えましたが、とにかくそんな感じ。

花緑師匠は仲入りでもトリでもなく「二階ぞめき」をかけられました。
短時間でこの噺をかけるのって初めてだなぁと思ったり。

小ゑん師匠もここのところ古典をかけているので、
ひょっとしたらと思いましたがここは新作で。
それでも「顔の男」も随分と久しぶりだったのでラッキー。
鈴本では「ぐつぐつ」だったようで。
これだけでも来た甲斐はあります。

勢朝師匠から「大師の杵」を初めて聞きました。
この噺もあんまり聞く機会がないかも。

伯楽師匠の「替り目」は途中で切らずに最後まで。
前半部分はかなり省略されていますが、
それでも途中で切らずに最後まで聞けるのはうれしいものです。

トリの圓歌師匠はいつもの鉄板ネタ「やかん」でした。
しかしながら、最近のコロナをめぐる動向に対して、
あれこれと時事ネタを冒頭のマクラで話されていたのはちょっと意外。
いつも高座に上がると即座にネタに入っていく印象があり、
フリートーク的なマクラは聞いたことがなかったので、それは新鮮でした。

人数の関係もあるのか、なんとなく全体を通じて客席もおとなしく、
のんびりとした客席ではありましたが、
要所要所ではしっかりと盛り上がっていました。
逆に言うと「?」というような高座もあったのは事実。
のんびりと寄席を楽しむというのが贅沢な昨今、
あんまりあれこれ言うもんじゃありませんがね。

鈴本演芸場が2月いっぱい休業との報も入り、
果たして落語をはじめとした演芸を心置きなく楽しめるのはいつになるのか。
いち早くコロナ終息することを願うのみです。

恐懼謹言。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

1/9(土)連雀亭ワンコインのち昼席

2021年01月10日 | 噺とか
世の中が再びコロナ禍での緊急事態宣言発出となり、
なんとなく息苦しい世の中ではありますが、
寄席は開いているんですよね。
もちろんどこも人数制限や食事制限をしているわけで、
通常通りの興行ではないにしろ、やってることはやっている。
本来であれば自粛するのが望ましい国民なのでしょうが。
寄席に行くのは不要不急なのでしょうが、
日常の殺伐とした生活の中で、やはり生の演芸を見ることが、
私にとっては一服の清涼剤であったりするわけで、
そこは感染対策を万全にして出かけたのでありました。

連雀亭のワンコインから昼席まで。
どちらも10名前後の客数でありました。
思ったより来ているなーという印象。

【ワンコイン寄席】
「締め込み」   小太郎
「ガマの油」   昇羊
「鰻屋」     吉馬

【きゃたぴら昼席】
「弥次郎」    吉馬
「粗忽長屋」   信楽
「黄金の大黒」  あお馬
「転宅」     風子

こんな感じでした。

人数のせいもあるのか、どちらもいまいち盛り上がりには欠けるものの、
決してつまらなかったというわけではありません。
とはいえ、どうも無理に笑わせようとして裏目に出てしまったのかな、
という空回りな高座もあったのは事実。

真打昇進が決まっている小太郎さんや、
昼席トリの風子さんは特に楽しい高座でありました。

恐懼謹言。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

1/4(月)第153回 四の日昼席@スタジオフォー

2021年01月04日 | 噺とか
新年の演芸始めはスタジオフォーから。
寄席の初席はにぎやかですが、しっかりと噺を聞く雰囲気ではないので、
こういう小さい会で、しかも実力派の師匠方の噺をたっぷり聞けるのはありがたいもので。
思い返せば昨年と一昨年は連雀亭でしたかね。
「4の日」の縁日に開かれるこの会ですが、
集客分散もあって、昨日も行われていたようですが、
この日もほぼ満席の盛況なのでありました。

「粗忽の釘」    左橋
「車内販売の女」  駒治
「うどん屋」    文菊
 -仲入り-
「夢の酒」     やまと
「大工調べ」    馬石

本来は駒治師匠が一番に上がるはずだったようですが、
勘違いなどもあって順番変更。左橋師匠が最初に上がります。
うっかりつながりで「粗忽の釘」でした。
寄席でもよく聞くこの噺で、私も好きな噺。
演者によって結構な違いがあるもので、その違いも面白いですね。
余計なくすぐりなどはほとんどないのですが、
粗忽っぷりがなんともおかしくて、非常に楽しい一席でした。

続く駒治師匠はさらっと謝罪があって、今日の午前中に健康診断に行った話から。
いつも嫌いなのが眼底検査で、目を大きく開けているのに、なんてマクラ。
そこから師匠である志ん駒師匠とのエピソードから「車内販売の女」へ。
この噺を聞くのも2度目でしょうかね。
お得意の鉄道落語のジャンルなのかもしれませんが、
駒治師匠の持ちネタである「ビール売りの女」とは姉妹編なのだそうで。
久しぶりに聞きましたが、新幹線車内の熱い女の争いと客のやり取りがなんとも面白い。
氷結を買い求める架空の落語家、「今昔亭駒ん治」とその弟子である、
「駒んどー」と「駒ねち」のネーミングセンスにもくすっと。変換は適当ですが。
あまり客いじりをするイメージがない駒治師匠ですが、今日は珍しく客席いじり。
そりゃ最前列の高座真ん前で思いっきり居眠りされたら、ねぇ。
とにかく駒治師匠らしい楽しい一席でした。

続いて文菊師匠。
江戸の物売りの話をあれこれとされたので、てっきり時そばかと思いましたが、
そば屋の話からうどん屋の話に変化して、「うどん屋」へ。
有名な噺ながらあまりお目にかかる印象がなく、私自身も生で聞くのは3度目ぐらいかも。
さすが文菊師匠、冬の寒さが伝わってくるなかで翻弄されるうどん屋と、
それをからかう婚礼帰りの酔っぱらいのやり取りがなんとも言えず可笑しく、
最後のサゲまで引き込まれる一席でした。さすが。

中入り後はやまと師匠。初夢の話をマクラで。
なんでも、大師匠にあたる志ん朝師匠が住吉踊りの格好で現れるという。
たしかに夢の中の出来事って不思議なことが多いですよね。
そんな夢の話をしていたので、「天狗裁き」かと思いきや、「夢の酒」へ。
この噺もなんともバカバカしい噺ではあるのですが、
夢の中での新造さんとのやりとりや、現実世界の奥さんとのやりとりなど、
女性の演じ方が問われる噺なのかもなぁ、などと感じました。
ときどき落語でこういう無茶苦茶な女性って出てきますよね。「厩火事」とか。
だいたいそういう役回りった男なんだと思うのですが、
とにかくこれはこれで楽しい噺でした。

トリの馬石師匠は「大工調べ」の序。
時間的にはもう10分やって15時半までやったら最後まで行けたのになぁなんて、
ちょっと贅沢なことを言ってみますが、序で終わる今日の一席もお見事。
なんとなくとぼけた若旦那なんかを演じることの多いイメージの馬石師匠。
もちろんこの噺でも前半部分の与太郎なんかはそんな感じなのですが、
大工の棟梁が啖呵を切る見せ場もしっかりと楽しませてくれました。
一通り棟梁が啖呵を切った後で、オウム返しよろしく与太郎が毒づくあたりが、
馬石師匠のキャラクターが存分に発揮されていて、大笑いでした。

なかなか平日には来ることのできない「4の日」昼席ですが、外れがないですね。
2月は残念ながらこれそうもありませんが、
時間が合う時にはぜひとも足を運び続けたい、そんな会です。

恐懼謹言。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする