恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

10/5(土)末廣亭昼席(主任:柳家小せん)

2019年10月05日 | 噺とか
「末廣友の会」に入会しておりまして、この7月で更新したため、
10月まで有効の招待券が2枚あるんです。
先日も鈴本へ足を運んでしまったし、どこかで使わねば、と、
末廣亭の昼席に足を運んできました。
夜席は新真打の披露興行で、今日は柳家喬の字改め小志ん師匠の披露目ですが、
時間の都合もあって昼席だけで失礼しました。
場内はたくさんの花で彩られ、お祝いムードで溢れておりましたが。

まめ菊「手紙無筆」
あお馬「両泥」
のだゆき「音楽パフォーマンス」
馬 石「ざる屋」
琴 調「出世の春駒」
ダーク広和「奇術」
駒 治「十時打ち」
志ん輔「夕立勘五郎」
小 菊「粋曲」
正 蔵「西行鼓ヶ滝」
小袁治「犬の目」
小 猫「ものまね」
文 楽「替り目」
-仲入り-
こみち「トンビの夫婦」
正 楽「紙切り」(悪代官・紅葉狩り・お月見)
文 蔵「道灌」
小里ん「真田小僧」
勝 丸「太神楽」
小せん「ガーコン」

あお馬さんの泥棒の噺は「両泥」というんだそうで。
あれこれ調べてみると、芸協の新真打である小痴楽師匠がやってるようで。
空き巣の帰りにぶつかった相手が偶然にも空き巣で、という噺。
なんだかありがちな展開で軽い噺ですが、初めて聞きました。
あお馬さん、なかなかいい腕だなぁと。

駒治師匠の「十時打ち」は演題こそ知っていましたが、初めて聞くことができました。
鉄道落語ここに極まれり、といった感じですが、
途中から出てくるSF的な展開もとてつもなく好きですね。
東京駅と上野駅の熾烈な争い、鶯谷駅のどうでもいい扱いなど、
細かい設定についつい笑ってしまいつつ、引き込まれます。
末廣亭でこれが聞けたというのが驚きというか。

小袁治師匠の毎日更新される新日刊マックニュースの読者となって久しいのですが、
高座では久しぶりにお見掛けしました。
噺は軽めの「犬の目」ですが、こういう噺がしっかりと面白いのっていいですね。

仲入りをはさんでこみち師匠は「トンビの夫婦」という噺。
これも初めて聞いたのですが、百栄師匠あたりもやられているようで。
乱暴者の夫にあえて手を上げさせておいて、
そこに付け込んで何か買ってもらおうとするちゃっかり者の妻。
現代社会ならだったらDVだなんだと大変なことになりそうですがね。
珍しい噺を聞かせてもらいました。

文蔵師匠は扇辰師匠の代演で、なぜか羽織を着ずに高座へ。
特にそのことについては言及されていませんでしたが。
十八番の「道灌」は何度も聞いていますが、
前座さんがやるそれとは大きく違ってまぁ面白い。
短い時間の、しかも代演でもしっかりとお仕事される文蔵師匠でした。

トリの小せん師匠はまさかの「ガーコン」でした。
持ちネタにあるということは知っていましたが、ここで聞くことになるとは。
川柳師匠をあまり寄席でお見掛けしなくなりましたが、
数年前までこの「ガーコン」が寄席の定番だったことを思うと、
ついついそれと重ね合わせて胸が熱くなりました。
もちろん、川柳師匠のそれとは違いもあって、
いい声で昭和前期の歌謡曲を歌い上げるあたりや、
ところどころに入る噺家のパロディが場内を沸かせていました。
脱穀機の所作(?)もあって、川柳師匠を彷彿とさせつつも、
小せん師匠のオリジナルな「ガーコン」なのでありました。
しっかりとした古典のトリネタを聞くつもりのお客(私もでしたが)からすると、
ちょっと戸惑いもあるかもしれませんが、
終わってみると大きな拍手で幕が締まりました。

引き続き場内は夜の披露目へと向かっていくわけですが、
時間の制約もあって、客席後方の花を手直しするスーツ姿の小志ん師匠を横目に、
場外へと去っていきました。
んー。披露目まで見たかったなぁ。

恐懼謹言。

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