「お父さん、もう少し部屋の中をゴージャスにした方がいいんじゃない。これではまるで実験室みたいね、クラシック音楽を鑑賞するムードには程遠いわ」と、時折り「ため息」交じりに家人が宣う。
わかっちゃいるけど止められない(笑)。
およそ、この世で完璧なオーディオシステムはあり得ない、言い換えると一つのシステムであらゆる音楽ソースをこなせるものは皆無だと思うので、ついいろいろ触手を伸ばして様々なサウンドを楽しみたくなる。
で、スピーカーが7系統、それに応じた「DAC」「プリアンプ」「パワーアンプ」を揃えるとなると「5m×6m」のオーディオルームは常に満杯状態。
で、ず~っと「見かけ」なんて「ほどほど」でいい、と割り切っているが、つい最近オークションで興味深い事例を見かけたので挙げてみよう。
一言でいえば、同じSPユニットがちょっと傷があるだけで大きくお値段が異なった話。
それは「GOODMANS レッドアルニコ 30cm フルレンジ 1個」というタイトルで出品されていた。
グッドマンの本格的な赤帯マグネット付きのユニット、それもバランスのいい口径30cmとくれば自分にとっては垂涎の的である。
当然、お値段が見合えば欲しいなあ~。ただし、コーン紙に補修がしてある。
とはいえ、経験上この程度の補修ならまったく音質に影響がないはず。
そして、同様にもう1個出品されていて、そちらの方は補修痕もなくまっさらのきれいな新品状態だった。
さあ「ペアで10万円以内なら買いだね」と意気込んではみたものの、同じ口径30cmの「AXIOM150マークⅡ」を持っているので、ひとまず様子見を決め込んだ。
そして、ためらう中、お値段がぐんぐん上がって入札結果といえば新品同様のユニットが「15万1千円」、そして補修有りの方が「43,499円」と10万円以上もの大きな差が出たのには驚いた。
普通、SPユニットは「サランネット」でカバーするので、補修痕なんか隠れて見えないのにこのありさま(笑)。
そんなに見栄えが大切なのかと、しばし考えさせられた。
「見かけ」なんか「ほどほど」でいいという自分がおかしいのかもしれない。
こと女性となると「美人」に拘るんだけどなあ(笑)。
さて、オークションに関して、この際なのでもうひとつ。
我が家で「骨の髄」までしゃぶり尽されているタンノイのウェストミンスターが出品されていた。
「部屋に置くには大きすぎる」というのが大半のオーディオ愛好家のご意見だろう。それに重さの方も100kg以上はゆうにあるのでいったん据え付けると簡単には動かせない。
しかし、この箱じゃないと出ない音があることもたしかである。独特の長大なバックロードホーンの深々とした低音を味わうと、やっぱり存在価値があるなあといつも自然にため息が出てくる。
ちなみに、同じ大型タイプの「オートグラフ」の低音は、あまりにも遅れ過ぎて嫌という方が多い。その点、ウェストミンスターの方が「ほどほど」かな。
肝心の落札価格は「744、700円」(税込)だった。
この程度のお値段なら、部屋の環境が許せばぜひチャレンジをお薦めします。
ただし、自分なら中のユニットは「口径30cm」に代えますけどね(笑)。
前述のグッドマンの赤帯マグネットなんか最適だと思いますよ~。