DXを遣り始めると一番先に行き当たるのがパワー不足、アンテナやタワーにお金を注ぐより簡単に出来る事なので誰しもが考える方法、当然の如く私も其の方向に進んだ。当時の合法局でもパワーの上限は500Wで、各メーカーから出ているリニヤアンプも、テレビの水平出力管を沢山パラレルに使用した怪しげなアンプか、一応、送信管を利用した572Bのパラレルのリニヤアンプが主流の時代、師匠の庄野さんとは知合いに成って居たので相談すると「一回、自分で作ってみい」と言われて自作する事に、まず今でも商売を継続している東京の「球やさん」に572Bを2本注文、当時1本が8000円した様に思う。高かったが球が無くてはパワーが出ないので「清水の舞台から飛び降りる気持ち」で送金し後日、球が到着したら何の変哲も無い白のダンボール箱に怪しげなクシャクシャの紙をクションにした球が届いた。仕事から帰ってきた兄が其れを見て「其のクションに使っている紙には何か菌が付いていて外国で問題に成っているらしい早く捨てないといけない。」等と理由の解らない事を言い出してクション材は直に焼き捨てて球は保管して時々、取り出しては眺めて悦に入っていたのだが、ある日 仕事から帰宅すると572Bが見当たらない?離れの部屋で親は余り立ち入らないので「おかしいな~」2~3日、探し回ったが見付からない。当時の私の給料の半分を掛けて購入した球で「私の大事な宝物」顔色が変わった。
ゴチャゴチャの部屋で有ったが此れだけ探しても見付からないと成ると親父か母親が関係していると思い聞いてみると最初は知らぬ存ぜぬの態度で有ったが、ひつこく聞くと「そういや、小さい白い箱を自宅の前のゴミ焼き場に捨てたな?」と無責任な御言葉、聞いた瞬間、此の球が元気に電波を増幅する事を日々夢見ながら撫で回していた私としては気が抜けて体がフニャフニャに成りそうに成った。「如何して勝手に部屋の物を処分するん」と言ったが「部屋を汚くしている御前が悪い」と一言、次の瞬間、ゴミに火を付けられて炎の中で572Bがボカーンと破裂する情景が浮かび「まさか火を付けとらんだろな?」聞いたら「そんな事、一々覚え取らんわ、気に成るなら自分の目で確かめて来い」と冷たい言葉が倍に成って帰って来た。此れが立場が逆であれば親父は激昂したと思われるが私は諦めムードで家の前の道路の脇に有るゴミ焼き場に向かうと572Bが裸で無造作に転がっていた。火が付けられなかった事も幸いしたが誰か球の値打ちの解る人だと(私だったら持ち帰る)拾われて終わり、胸を撫で降ろした。
其の後、此の球は自作のアンプに組み込まれ、火入れ式は師匠の臨席を賜り行う事に、其の当時、ダミーロードを持って居なかったので投光器の球をダミーにしてSSBで送信してランプが音声に伴なってパカパカ点滅した時は感激、師匠も感想を何も言わなかったがニンマリ笑っていたし其の後は一人前に認めてくれる様に成った。
ゴチャゴチャの部屋で有ったが此れだけ探しても見付からないと成ると親父か母親が関係していると思い聞いてみると最初は知らぬ存ぜぬの態度で有ったが、ひつこく聞くと「そういや、小さい白い箱を自宅の前のゴミ焼き場に捨てたな?」と無責任な御言葉、聞いた瞬間、此の球が元気に電波を増幅する事を日々夢見ながら撫で回していた私としては気が抜けて体がフニャフニャに成りそうに成った。「如何して勝手に部屋の物を処分するん」と言ったが「部屋を汚くしている御前が悪い」と一言、次の瞬間、ゴミに火を付けられて炎の中で572Bがボカーンと破裂する情景が浮かび「まさか火を付けとらんだろな?」聞いたら「そんな事、一々覚え取らんわ、気に成るなら自分の目で確かめて来い」と冷たい言葉が倍に成って帰って来た。此れが立場が逆であれば親父は激昂したと思われるが私は諦めムードで家の前の道路の脇に有るゴミ焼き場に向かうと572Bが裸で無造作に転がっていた。火が付けられなかった事も幸いしたが誰か球の値打ちの解る人だと(私だったら持ち帰る)拾われて終わり、胸を撫で降ろした。
其の後、此の球は自作のアンプに組み込まれ、火入れ式は師匠の臨席を賜り行う事に、其の当時、ダミーロードを持って居なかったので投光器の球をダミーにしてSSBで送信してランプが音声に伴なってパカパカ点滅した時は感激、師匠も感想を何も言わなかったがニンマリ笑っていたし其の後は一人前に認めてくれる様に成った。