共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

その時

2013年03月11日 17時45分38秒 | 日記
そして『その時…14:46』が来ました。

とりあえず1枚だけ写真を撮ってから、時計に向かって黙祷を捧げました。しかし、駅前モニターで黙祷を呼び掛けるわけでもなければ市放でのサイレンが鳴るわけでもなく、駅ビルのデパート内や駅の周囲では人々が普通に闊歩し、マツ○ヨの売り子の声は高らかなままでした。

あぁ…直接の被災地でなければ、もはやあの出来事に対する思いなんてこんなレベルか…と、改めて落胆の思いを禁じ得ませんでした。昨日いた水戸市内では、未だに落ちた屋根瓦の葺き替えも儘ならない家や、ひび割れたままの道路があちこちにあるというのに…。

こうして、被災地の人々が最も恐れている『記憶の風化』が粛々と進んでいくのだろうな…と、一人溜め息をついたのでありました。
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正念場

2013年03月11日 11時10分15秒 | 日記
『あの日』から今日で丸2年経ちます。この間に変わったこと、変わらないこと、いろんなことがこの国中を駆け巡ったことと思います。

勿論、あるところでは着々と復旧が進められています。でも個人的見解としては『復旧』は進んでいるかも知れませんが『復興』は遅々として進んでいないように見えてなりません。『復旧』と『復興』…辞書で調べてみるとわかりますが『復旧』という言葉の意味は文字通り『壊れたものを元に戻す』ということです。これに対して『復興』という言葉の意味は『一度衰えたものが再び勢いを取り戻すこと』とあるのです。

ここ最近テレビのニュースを見ていると、何かというと仮設住宅で不便を強いられている光景が映し出されることが必要以上に多いように思います。確かにあの生活状況はお気の毒だとお察ししますが、あれから2年も経つのに未だにそんな生活をしなければならない理由の一つに、以前自分の家があったところでなければ移住に応じない一部の『復旧』を求める頑強な人のために、本来もっと早く『復興』できるはずだったものが進められないということも残念ながら事実としてある…ということを、我々は認識しなければなりません。

嘗てナポレオン3世は、それまでいくつもの袋小路がとぐろを巻いていたパリの街を大改造すべく、殆どの住居建築を破壊しまくって、凱旋門から放射線状に幅の広い道路の伸びた現在のパリの街を作り上げました。それがいいことか否かということについては意見が分かれるところでしょうが、そういう一見乱暴とも思えるような思い切ったことを「エイヤッ!」としたからこそ、嘗て窓から通りに汚物を投げ捨てていたような『糞の都パリ』が、今日の下水道や地下鉄といったインフラが整った清潔な『花の都パリ』に変貌を遂げられたわけです。そういった意味では、あのボンクラ皇帝も少しは歴史に功績があったと認めてあげるべきでしょう。

今回の東日本大震災の復興についても、一つの町そのものを一瞬で破壊してしまうようなことがおきていまったわけですから、また同じ轍を踏まないためにもある程度思い切った都市計画が必要になります。もしまた以前と同じような海縁に町を『復旧』してしまったら、またいつかこういう震災・津波が発生した場合に、同じくらいか、或いはそれ以上の被害を受けることは目に見えています。

「世の中がみんなお前みたいに割り切った考え方の出来るやつらばっかりじゃないんだよ!」と言う方もおられるでしょう。ただ、壊れた港は一から作り直す、二度と津波の被害に遭わないよう、居住区は町ごと高台に作り直す…そのくらいの行動力を発しない限り『真の復興』というものはいつまで経っても『絵に描いた餅』の域を出ません。その『真の復興』を成し遂げるためにどうしても必要だという具体的なビジョンを示して頭を下げたら、消費税が10%になろうが20%になろうが国民は反対しないと思うのです。

ナポレオン3世ほど乱暴にではないにせよ、そういう必要性を丁寧に説明して具体的なリーダーシップを発揮できる宰相や自治体の長がいるのかどうか、ぐずぐずしている間に否が応にも2年目を迎えてしまったこの国の正念場での手腕が問われています。
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