小田原の教室に着いたら、スタジオのディスプレイが変わっていました。
以前はザルツブルク音楽祭の《こうもり》のポスターを額装したものが飾ってあったのですが、先日それが何らかの原因で落ちてしまっていたのです(額を留めていた鋲が、太子サイズの額には脆弱過ぎたのも一因かも知れませんが…)。
で、今日伺ったら、もう一回り小さめの額の中にシューベルト作曲の《野ばら》の楽譜のファクシミリを額装したものが飾られていました。ちょっとわかりにくいかも知れませんが、下方のスペースには野薔薇の押し花も添えられています。心憎い演出です。
話は逸れますが、《野ばら》の曲には個人的に忘れられない思い出話があります。10年程昔、ある音楽事務所からの依頼でコントラバスを含めた10人程の弦楽アンサンブルを組んで、熱海近くの薔薇園で開催されたお茶会のBGMを演奏するという仕事がありました。
演奏曲目は事前に発注されていて、それをこなせばOKという、比較的簡単な内容だったのですが、その宴席で参加していたヲバサマ達が、シューベルトではないのですが、ウェルナーという作曲家の作った同じゲーテの詩の《野ばら》という曲をオケで演奏してほしいと、その場で急にリクエストしてきたのですΣ(゜Д゜)。
勿論そんな楽譜の持ち合わせは無かったのですが、音楽事務所の人というのは基本的にお客様のムチャブリ…基、オーダーは断らないようにしていますから「何とかなりませんか」と言ってきたのです。その時、私がたまたまケースに何も書いていない五線紙を入れっぱなしにしていたので、急遽自分の記憶を頼りに手書きで楽譜を作って、それをコピーしたものを奏者全員に配って何とか対処することにしました。
そしていざ演奏する場面になったら、そのヲバサマ達の代表者と思しき御婦人が立ち上がって「それでは皆さんで歌いましょう」と言い出したのです。
その瞬間、ちょっと焦りましたΣ(゜ロ゜ノ)ノ。というのも、実は楽譜を作成する段階で『ヲバサマ達がオケに合わせて一緒に歌う』ということを聞かされていなかったので、ウェルナー自身が作曲したオリジナルのト長調で楽譜を作ってしまったのです。実はこの『ト長調』の高さというのが、例えばちゃんと訓練されたプロのソプラノ歌手がリサイタルで歌う時に使うような高さなのです((゜Д゜ll))。
しかしながら配り終えてしまった現場で、同好会程度のヲバサマ達に合わせて今更低く書き直す時間はありません。あとはもう『ちゃんと使用目的を告げないで。しかも当日発注したのがいけないんだからね…!』と心で念じながら、そのままの高さでシレっと演奏を始めました。そして…海を臨む美しい薔薇園中に、ヲバサマ達の締め上げるような断末魔の《野ばら》が、都合3回も響き渡ってしまった(《野ばら》は3番まである)のでありました…( ̄_ ̄|||)。
この愛らしい楽譜を見ながらそんなスチャラカなことを思い出して、何とも複雑な気持ちになってしまったのでありました(;=^ω^=)。
以前はザルツブルク音楽祭の《こうもり》のポスターを額装したものが飾ってあったのですが、先日それが何らかの原因で落ちてしまっていたのです(額を留めていた鋲が、太子サイズの額には脆弱過ぎたのも一因かも知れませんが…)。
で、今日伺ったら、もう一回り小さめの額の中にシューベルト作曲の《野ばら》の楽譜のファクシミリを額装したものが飾られていました。ちょっとわかりにくいかも知れませんが、下方のスペースには野薔薇の押し花も添えられています。心憎い演出です。
話は逸れますが、《野ばら》の曲には個人的に忘れられない思い出話があります。10年程昔、ある音楽事務所からの依頼でコントラバスを含めた10人程の弦楽アンサンブルを組んで、熱海近くの薔薇園で開催されたお茶会のBGMを演奏するという仕事がありました。
演奏曲目は事前に発注されていて、それをこなせばOKという、比較的簡単な内容だったのですが、その宴席で参加していたヲバサマ達が、シューベルトではないのですが、ウェルナーという作曲家の作った同じゲーテの詩の《野ばら》という曲をオケで演奏してほしいと、その場で急にリクエストしてきたのですΣ(゜Д゜)。
勿論そんな楽譜の持ち合わせは無かったのですが、音楽事務所の人というのは基本的にお客様のムチャブリ…基、オーダーは断らないようにしていますから「何とかなりませんか」と言ってきたのです。その時、私がたまたまケースに何も書いていない五線紙を入れっぱなしにしていたので、急遽自分の記憶を頼りに手書きで楽譜を作って、それをコピーしたものを奏者全員に配って何とか対処することにしました。
そしていざ演奏する場面になったら、そのヲバサマ達の代表者と思しき御婦人が立ち上がって「それでは皆さんで歌いましょう」と言い出したのです。
その瞬間、ちょっと焦りましたΣ(゜ロ゜ノ)ノ。というのも、実は楽譜を作成する段階で『ヲバサマ達がオケに合わせて一緒に歌う』ということを聞かされていなかったので、ウェルナー自身が作曲したオリジナルのト長調で楽譜を作ってしまったのです。実はこの『ト長調』の高さというのが、例えばちゃんと訓練されたプロのソプラノ歌手がリサイタルで歌う時に使うような高さなのです((゜Д゜ll))。
しかしながら配り終えてしまった現場で、同好会程度のヲバサマ達に合わせて今更低く書き直す時間はありません。あとはもう『ちゃんと使用目的を告げないで。しかも当日発注したのがいけないんだからね…!』と心で念じながら、そのままの高さでシレっと演奏を始めました。そして…海を臨む美しい薔薇園中に、ヲバサマ達の締め上げるような断末魔の《野ばら》が、都合3回も響き渡ってしまった(《野ばら》は3番まである)のでありました…( ̄_ ̄|||)。
この愛らしい楽譜を見ながらそんなスチャラカなことを思い出して、何とも複雑な気持ちになってしまったのでありました(;=^ω^=)。